昨夜の夜行列車

昨夜は夜行列車を運転しました。

通常の列車というのは目的地へ行くために乗るものです。
これに対して、観光列車というのは「乗ることそのものが目的の列車」です。

同様に、通常の夜行列車というのは一晩中走り続けて朝になったら目的地に到着しているという列車ですが、今の時代に鉄道会社はそういう手間のかかることはやりたくなくて、その部分の隙間を埋めるように夜行バスが主流になりました。

でも、観光列車という夜行列車はどうでしょうか。
観光列車の定義を使えば「乗ることそのものが目的の列車」になりますから、観光列車としての夜行列車は「目的地へ行くための列車」ではなくて、「朝までずっと乗り続けらる」ことができれば、別にどこへも行かなくたっていいのです。

これが私が考える観光列車としての夜行列車です。

だとすれば、同じ区間を行ったり来たりして、「3往復したら朝になる」列車があっても良いじゃないですか。

そう思って私が観光列車としての夜行列車を始めたのが2014年2月15日。今から11年前のことです。

今思えば、あれがきっかけとなって「乗ることそのものが目的」のどこへも行かない夜行列車がかなり市民権を得るようになったのではないかと思います。

いすみ鉄道の時はキハ52・28の2両編成でやりました。
キハの夜行列車は昭和の時代は全国で走っていましたが、私が実際に乗車したのは国鉄の最晩年に四国の高松から高知へ行くキハ28が最後です。

その後、トキめき鉄道で455・413の夜行列車をやりましたが、急行形である455は、これはもう東北から九州まで走っていましたし、内装は165系とほぼ同じですから、大垣夜行など数えきれないほど乗りましたし、413の方は新宿から長野へ行く夜行列車や、上野から長岡へ行く夜行列車など115系の夜行列車と同じような感じですから、これも散々乗車したことを思い出します。

そして現在は大井川鐵道。
大井川鐵道は蒸気機関車が引く旧型客車の夜行列車ですが、昭和35年生まれの私はSLが無くなった昭和50年には中学3年生でしたから、いわゆる夜汽車(陽が暮れてから走る夜の列車)は何度も乗りましたが、蒸気機関車けん引で朝まで走り続ける夜行列車というのは乗車した経験がありません。

でも、電気機関車やディーゼル機関車に引かれる旧型客車の夜行列車というのは何度も乗りましたし、夜行列車といえば旧型客車というのが昭和50年代までは定番でしたから、あの硬い椅子に座って一晩中列車に揺られた経験は今思い出しても「乗っておいてよかったなあ。」と思うのです。

深夜のホームにスチーム暖房の湯気が客車から漏れる。
これぞSLけん引の夜行列車の醍醐味ですね。

夜明の車内です。
こういう、いわゆるニス塗りの木造客車の車内で、スチーム暖房のぬくもり。

昨夜は4両編成約80名のお客様にご乗車いただきましたが、皆様ご満足いただけたようです。
中には息子さんと親子でご参加いただいた方もいらっしゃいましたが、こうやって夜行列車の体験が次の世代に繋がって行ったらいいなあと思います。

新金谷には6:09の到着。
まだ時間が早いのでお客様は7時過ぎまで1時間以上客車の中でお休みいただけます。
その後機関車を切り離して、C108は車庫へと帰って行きましたが、最後まで皆さんカメラを向けてくれていました。

そういえば、終着駅に到着した列車から機関車だけが切り離されて機関庫へ帰って行って、その後に入換用の機関車に引かれて客車が車庫に帰るシーンも昭和の時代の再現ですかね。

ということで、ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
そしてお疲れさまでした。

次回の夜行列車は2月15日の運転ですが、すでにほぼ満席となっております。
その次は3月1日に運転を計画しております。
発表までしばらくお待ちください。

▼最初に夜行列車を運転した日のブログです。(2014年2月15日)
https://www.torizuka.club/2014/02/16/%E5%A4%9C%E8%A1%8C%E5%88%97%E8%BB%8A%E3%82%92%E9%81%8B%E8%BB%A2%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82/