昨日急に降ってわいたようなニュース。
貨物列車が大変です。
全国的に貨物列車が全便運休。
考えられないことです。
いわゆる「想定外」ということでしょうか。
現場が独自の判断でやっていたことが原因で、国家の輸送が止まってしまうということになる。
こういうことがあるとすれば、誰がやったかではなくて、そもそも論としてシステムを変えなければならないのではないでしょうか?
民営化の弊害とは一概に言えないとは思いますが、株式会社化するとどうしてもコストが最優先される。いわゆるPLというもので、いくらお金をかけたらいくら稼げるか。これが採算性という言葉になって、採算が合わないものはやってはならない。
でもこの採算というものは営業的な数字だけではなくて、現場にも落とし込まれる。
例えば、作業時間の短縮や作業工程の見直し。
確かに旧態依然とした作業工程では生産性が上がりませんから採算性も低くなります。
今までのやり方は時代に合わせて変えていかなければならない部分が多くあると思いますし、その辺りの見極めは重要だと思いますが、おそらく現場ではそれほど深刻に考えてやっていたことではないと思います。
貨物というのはひとことでは言えないのは皆様ご存じだと思います。
いろいろな性質があります。
・大きいもの、小さいもの
・重いもの、軽いもの
・安価なもの、高価なもの
・急がないもの、急ぐもの
・会社のもの(B to B)、個人のもの(B to C)
大きく分けるとこのような性質がありますが、鉄道貨物で運んでいるものは基本的には
大きくて、重くて、価格が安くて、急がない、会社のものということになります。
小さくて、軽くて、高価で、急ぐものに属する貨物は飛行機やトラックで運んでいますね。
だから、貨物列車で運ぶような貨物は、個人の所有ではなくて会社のもので、原材料であったり、賞味期限が長い食品類だったり。
例えば新潟の場合はお米はもちろんですが、おせんべいやパックご飯なども貨物列車で運んでいます。
リンゴやミカンなども貨物列車が多いですね。
新鮮さが命の鮮魚や野菜類などはトラックや、あるいは飛行機でしょう。
運んでいる内容物にこのような特徴があるのが貨物列車です。
そして、貨物列車のもう一つの特徴は優先順位が低いということです。
JR各社の線路を借りて走るのが貨物列車です。
当然、JR各社は自社の旅客列車の運行を最優先します。
だから、貨物列車には遅れがつきもので、10時間遅れ、20時間遅れ、30時間遅れなどというのはざらです。
直江津に居たときは毎日指令所から日報が届いていました。
「貨物4〇〇〇列車は350分遅れで直江津に到着」
などと毎日のように報告を受けていました。
実際に貨物会社も荷主さんに対して、「24時間までは遅れとみなさないでください。」というようなご案内をしていて、つまり、貨物列車には急を要するものは預けないでくださいということを宣言していたのです。
でも、だからと言って、自社の失態による全面運休は許されませんね。
日本海側はともかく、太平洋側は特急貨物が個人向けの宅急便を運んだりしていますから。
おそらく、データ改ざんされた車輪を使っているコキの車体番号を割り出して、一斉に止めた列車の中からその車両を現場で検査して、金属疲労が見られなければ運転再開というような手順ではないでしょうか。
それじゃなければ1~2日で運転再開できるとは思えませんから。
航空会社にはDispensationという考え方がありまして、つまり故障や不具合を発見しても、その状況によってはすぐに修理をしないでしばらくその機体を使っても良いという考え方です。
現場で臨検して、異常が見られなければとりあえず目的地へ行き、任務を終えた後に工場に入って部品交換をする、といった作業になるのですが、コンテナ台車の車輪は比較的簡単に点検できますから、そういった手順になるのかもしれません。
私はすでに貨物列車を運行する会社からは離れていますので、何も情報は入ってきませんし、現場は大変だろうと思いますから、連絡することもしませんが、こういうことって、ある日突然やってくるものなのですね。
いずれにしても、早急に混乱を解消していただきたいと思います。
現場の皆さん、頑張ってください。
としか、言えません。
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