おかえり上越

先日に引き続き、今日は直江津で第四北越銀行さんの顧客の皆様方へ向けた講演をさせていただきました。

実はこのお話は地元の高館組という建設会社の社長さんからいただいていたお話で、最初にいただいたのは私が就任してすぐ、2019年の暮れぐらいだったと思います。
ところが、それからコロナが始まってずっとペンディングになっていまして、本日なんだかんだで4年越しに実現したのであります。

高館社長さんから「いやぁ、やっと実現しました。」とおっしゃっていただきまして、うれしかったなあ。

銀行さんは固いところですから、コロナが5類に移行して、ややしばらくたって、やっとこういう会合を開けるようになったのであります。

ということで、直江津地区の企業経営者の皆様方の前で、例によって好き勝手にお話を展開させていただきまして、会場は大うけでございました。

この間の長岡では「雪月花に乗られた方?」と言ったらゼロだつたことはお話いたしましたが、今日はさすが地元です。7~8人の方が手を挙げてくれました。
でも、それでも7~8人ですよ。
これだけいるのに。

皆様何をやってるんですか?
本当に上越の人間ですか?
と、まあ、会場大爆笑でしたが、手を挙げなかった方というのが私の目で見たら将来の需要ですから、将来は明るいということなのです。

そんな中、「最近便利になったですね。」とおっしゃっていただける方がいらっしゃいました。

「えっ?」とお聞きすると、「東京出張から帰ってきて、いい時間に電車がありますよね。」とのこと。

そうなんですよ。
「おかえり上越」がこの春から3本に増えたのです。

昨年のダイヤ改正で1本設定したおかえり上越ですが、なかなか乗りがよいので、この春のダイヤ改正で3本に増やしてみました。

この「おかえり上越」は、東京駅を18時、19時、20時に出る北陸新幹線「はくたか」に上越妙高駅でだいたい15分ほどで接続する電車で、私もそうですが、上越市の人たちというのは、東京からの帰り道はだいたい18,19,20時の「はくたか」に乗りますから、「おかえり上越」は高田、直江津の皆様にとって、乗りやすい時間帯なのです。

地元の皆様が東京へ出張に行くと、たいてい取引先の方と懇親を深める会合があったりしますし、帰りの新幹線の中でちょっと冷たいビールやハイボールを飲みたくなりますよね。

そういう時に「いえ、私は駅に車を止めてあるものですから。」などというのは野暮というもの。
私は江戸っ子ですから、この野暮というのは一番恥ずかしい。

だから、地元の皆様方が東京でそういう恥ずかしい思いをしなくても済むようにと、東京へ行ったら一杯飲んで帰ってきても大丈夫ですよ、という電車を走らせているのです。

でもって、私も実はこの3本の新幹線をよく利用して上越に戻ってくるものですから、簡単に言えば自分のための電車とも言えるわけで、帰ってくるたびに平日休日を問わず、「どのぐらいのご利用があるのか」というのを自分の目で確かめているのです。

はい、こちらが昨夜のおかえり上越1号です。

夜の8時半に田舎の電車にこれだけのお客様が乗られるというのは、地域鉄道にとって見たらある意味奇跡と言えるほどのびっくり仰天現象で、まぁ、都会に比べたら意味のない数かもしれませんし、電車を走らせる経費を考えたらこれだけご乗車いただいても赤字脱却にはなりませんが、でも、ふだん電車に乗らない車生活の地域の皆様方が、これだけご乗車いただいているということは、大きな意義があるのであります。

ということで、この「おかえり上越」はなかなか人気の列車に成長してきているのでありますが、数字だけであれば報告が上がってきますから、それだけ見ていれば「よし、よし」なんですが、ではなぜ私がこうしてことあるたびに実際に電車に乗ったり、見たりするのかというと、交通というのは上がってくる数字を見ているだけじゃダメなんです。

社長とか部長の落とし穴ですね。
数字を見て「ふん、ふん」と分かったような気になる。
これ、交通のシロウト、ていうか経営のシロウトだと私は思います。

なぜなら、その数字の中身が大切だからです。

例えば、新幹線から降りてきてトキ鉄に乗り換えた方々が出張帰りのサラリーマンなのか、行楽帰りの家族連れなのか、それとも旅行者なのか。

こうして実際に見ると、肌感覚でわかるのです。
「アンケートとればいいじゃないか」という人もいるかもしれませんが、田舎の電車の、このぐらいのボリュームの商売というのは、アンケートなんかとろうとする以前に、肌感覚というのが大事なのです。
でも、その肌感覚というのがわからない人にはわからない。
私もそうですけど、しばらく現場に出てないとわからなくなるものなのです。

例えば、田舎の人が東京へ出張に行くでしょ。
東京は外人ばかりでごった返していて、驚くわけです。
でも、そんなことはニュースでも言っていますから、東京へ行かなくたってわかってる。
だから、「俺はわかっているんだ。」という人がいるかもしれませんが、いやいや、違うんですよ。
実際に行ってみて、肌感覚で「こりゃすごいわ」「うかうかしてられない。」と感じることが大事だと私は思うのです。

ということで、このところの「おかえり上越」を見ていると大体20名ぐらいご乗車いただいてます。
一番最後の3号は「しらゆき」の車両を使っていますが、一番少なくてだいたい5~6名でしょうか。

それでも普段使いで電車に乗らない地元の皆様方がご乗車いただいているのですから、私は地域鉄道の一つの役割だと思っております。

今日もこのおかえり上越を直江津の経営者の皆様方にお知らせさせていただきましたので、これからが楽しみであります。

もちろん、雪月花もです。

本日はありがとうございました。