佐賀に来ています。

昨日から佐賀に来ています。

新潟県の橋本副知事(えちごトキめき鉄道の取締役:向かって左)と一緒に旧知の佐賀県知事を表敬訪問しました。

佐賀県知事の山口祥義さんは、実は前職時代にお世話になった方で、当時は総務省にいらっしゃいまして、ローカル鉄道の存続に大変なご協力をいただいた方です。
今回はお時間をいただきまして、当時のお礼と現状報告をさせていただきました。

そして今日は肥前鹿島とそのお隣の肥前浜駅を訪問しました。
西九州新幹線が開業してそれまで特急街道だった長崎本線の江北(旧肥前山口)-諫早間が上下分離されました。
佐賀県と長崎県が一般社団法人「佐賀・長崎鉄道管理センター」という組織を作り、線路施設を所有する第3種鉄道事業者となり、JR九州が列車の運行を行う第2種鉄道事業者という、今までにない全く新しい仕組みで在来線の運営を行っています。

それだけでも新しい試みなのですが、実はこの長崎本線の区間は「もう特急列車が走らないからディーゼルカーで十分でしょう。」ということで、電化設備を撤去してしまったのです。

そうすれば維持管理コストが大幅に削減されますからね。

今、トキめき鉄道の大きな課題は線路設備の維持管理ですが、その中でも大規模修繕といって、変電所の更新工事や架線柱や架線の取り換えなど、電化にかかわる部分の設備更新の時期に来ています。
ところが、トキめき鉄道はひすいラインは基本的にはディーゼルカーですし、はねうまラインも新井-妙高高原間は過疎地域のため乗客が少なく、かつて特急列車が走っていた時代ならともかく、現状の地域輸送では電車である必要はないと私は考えています。

ということで、変電所や電化柱に10億円単位のお金をかけるのであれば、「いっそのこと非電化にしてしまうのも一つの方法かもしれない」ということで、佐賀県のこの取り組みを勉強させていただこうとやって来たのであります。

その時は貨物列車はどうする?

という方もいらっしゃると思いますが、貨物列車のルート確保は別に電化じゃなくてもディーゼル機関車でも良いわけで、それよりも国の大動脈を維持するために財政的に弱体な沿線の市が電化設備の更新費用を負担するということに、スキームとしての無理があると私は感じていますから、電化設備の撤去というのも一つの方法ではないかと考えているのです。

日本の幹線鉄道はだいたい昭和40年代に国の輸送力増強の名のもとに複線化されたり電化されたりしています。
それから半世紀の時を経て、全国的に大規模修繕を迎えているのですが、県庁所在地を通る路線ならまだしも、トキ鉄のように県庁所在地を通らない路線では、電化設備の更新は貨物列車のためという名目になっていますが、実は貨物列車だって別に電気機関車である必要はありませんから、沿線の市が費用を負担できないのであれば、電化設備の撤去も選択肢の一つなのです。

ここ肥前浜駅は特急街道時代は単なる通過駅でしたが、特急列車が肥前鹿島止まりとなった今は電化、非電化の境目の駅として、長崎方面からの列車は昔ながらのキハが復活し、ここで佐賀方面への電車に乗り換えるという駅になりました。

長崎本線のこの区間は景色がとてもよく、観光列車も走っていますが、見ておわかりになりますか?
柱は立っていますが架線はすでに撤去されています。

停車時間がなかったので列車から降りずに窓から撮影したため、ちょっと分かりづらいかも知れませんが、こちらも架線がすでに撤去されています。

輸送量が激減したのですから、スペックを軽くするというのは正解だと思いますので、私も研究材料にしたいというのが、今回の佐賀県訪問の目的です。

更新期限を迎えている施設を放置しておくわけにはいきませんから、そろそろ決断の時ですね。