島原鉄道訪問

長崎県の島原鉄道に来ています。

今年の9月23日に西九州新幹線が開業すると、諫早駅で新幹線と接続するローカル線になります。
沿線には程よく人口がいるのですが、ご多分に漏れず車社会ですから高校生とお年寄りのための鉄道で、それでもJR九州がいろいろと観光列車を走らせているのを見習って、観光客を呼ぼうと「カフェトレイン」という観光列車を走らせています。

JR九州がいろいろな観光列車をやっているから、九州は観光列車の宝庫のようなところなんですが、逆にそういう地域で小さな会社が観光列車をやるというのは、ターゲットの設定など戦略的には難しいところがあると思うのです。でも、今日見せていただいたカフェトレインは6~7割の乗車率でしたから、なかなかどうして、大したもんだと思います。

島原鉄道さんの場合は自社でバスも持っていますので、観光バスと組んだツアーなどができるのも強みかも知れませんが、5月のゴールデンウィーク明けのこの時期としては良い集客だと思います。

長崎行の特急「かもめ」ももう間もなく新幹線に変わるわけですから、こういう並びも今のうちですね。

島原鉄道は観光列車を走らせる路線と考えた場合、長さもちょうど良いし、景色も素晴らしい。
そして、沿線には長崎はもちろん、雲仙、天草、遠くは阿蘇まで回遊できる強みがあって、そこにこういうローカル列車が走るのですから、コンテンツとしては役者がそろっています。

列車はここ20年ほどは黄色の車両が主役で、車庫もこのように黄色一色なのですが、そんな中で「赤パンツ」と呼ばれる車両が1両います。

これがその赤パンツですが、実はこの車両は他の黄色い車両と同じ形式で、この色は昔の島原鉄道の車両の色に塗って走らせているのです。

15年ぐらい前だと思いますが、旧型車両が最後の時にこうやって全車を並べて撮影会を開いていただいたことがありまして、この時一番右にいるのが赤パンツです。

そのころまでは島原鉄道は今よりももっと路線が長かったのですが、持ちこたえられないということで今の島原港から先の区間が廃止になりました。こちらもとても景色がよい所を走っていたのですが、当時の日本のローカル鉄道に対する考え方は今とは全く逆風でしたから、一企業の努力だけではどうしようもなかったわけで、それがあるから今、何とか観光鉄道という面を見出そうとしているのだと思います。

島原鉄道一番の見どころの大三東(おおみさき)駅。
ここは一日いたいなあと思える駅です。

今日はお天気にも恵まれて、幸せの黄色いハンカチが風に揺れていました。

赤いパンツと黄色いハンカチ。

これが人を呼ぶキーワードなのです。

この鉄道は、マニアがお金を出し合って廃車にしたくない車両を保存委託などしてもらうのもいいかもしれませんね。
北海道のキハ40なんか持ってきたら、大変なことになりそうですよ。
何しろ非冷房ですから。(笑)

何でもかんでも貴重だ貴重だという人たちがいますが、口だけじゃなくてちゃんとお金も出す仕組みを作れば、解体したくないような貴重な車両をこういう路線で余生を送らせてあげるのもよいのではないかと、赤いパンツに乗って、そんな気持ちになりました。