株主総会電車。

本日午後、えちごトキめき鉄道の株主総会が開催されまして無事に決議を行うことができました。
関係者の皆様、ありがとうございました。

この株主総会に先立ち、午前中に直江津から糸魚川まで一往復、413系電車を使用して株主の皆様方をご招待した臨時電車を走らせました。
名付けて「株主総会電車」です。
今度走り始める国鉄形急行電車の運転開始に先立ち、株主の皆様方にぜひ最初にご乗車いただきたかったのです。


▲株主の皆様方を乗せた株主総会電車です。


▲糸魚川の手前のデッドセクションで電源が切り替わる瞬間を撮影する株主の方。


▲駅弁屋さんも商売繁盛。


▲折り返しの糸魚川駅では情報を聞きつけた地元のファンの皆様方もお出迎えです。

昭和の電車の不思議なところは、こうやってホームに入ると、いつものホームの雰囲気が全く変わるんですよね。
ご乗車の時にはこの感じをお楽しみいただきたいと思います。

さて、株主総会というのは会社にとっては最大の年間行事で、多くの会社では「しゃんしゃん」と滞りなく済ませてしまいたいものでしょうし、できるだけ書面で参加していただきたいと考えているものと思います。
先日の東芝のニュースもありますからね。
まして赤字の会社ともなれば、余計な意見は聞きたくないし、さっさと済ませてしまおうというのが本音ではないでしょうか。

そういう株主総会に、わざわざ「ぜひいらしてください。」などというような電車の試乗会を行うなんて、「社長、一体何を考えてるんですか?」という意見もあるとは思いますが、私は、そうは思わないのです。

ではなぜ本日このような株主総会電車を運転したかということですが、実はトキめき鉄道には個人株主の方々が多くいらっしゃいます。通常第3セクター鉄道は行政や地元の大きな企業が株を持っているのですが、トキめき鉄道の場合は、会社発足時に、できるだけ地域の皆様方や鉄道ファンの皆様方に愛着を持って育てていただこうという考えで、広く一般に個人株主を募集したのです。
そして、そういう方々がたくさんいらっしゃるのですが、実は昨年の株主総会の時に、いらしていただいた個人株主の皆様方とお話をさせていただく機会がありまして、その時に、「自分たちは投資目的でトキ鉄の株主になったのではない。」「地元の鉄道として、関わって行きたいから株主になったんだ。」という内容のことを皆さん異口同音におっしゃられて、地域鉄道に対する愛情をお持ちであるということがよくわかったんです。

その後、ビール列車や雪月花にもお乗りいただいている姿を見たり、あるいはレールパークにもご家族でいらしていただいたり、記念切符を作ると言えば昔の貴重な写真を提供していただいたり、そういう株主の皆様方に対して、会社として何か得点といいますか、「株主になってよかったなあ。」という思いをしていただきたいと考えたのです。

本当なら利益を出して配当金という形で株主に還元するのが正しい姿かもしれませんが、たとえ株式会社とは言え地域に公的なサービスを提供するような会社では、なかなかそういうことができません。

でも、私は社長として、何か「よかったなあ。」と思っていただきたいと考えまして、一般のお客様に先立って、真っ先に株主の皆様方にお乗りいただこうと、株主総会のご案内書を送付するときに「体験乗車ご招待」のご案内を同封させていただいたのです。

そうしたら実に30名様ほどのお申し込みがありまして、「社長、余計なことをしたな。」と社員が思ったかどうかは別として、私は皆様方にお会いするのを楽しみに、今日は「株主総会電車」に春田部長と一緒に乗車して車内でご挨拶させていただき、電車の旅をお楽しみいただいたということなのであります。

お忙しいところご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

トキ鉄はコロナ明けの観光需要を見据えて、雪月花と急行電車の観光列車2本立てて頑張って行きますので、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

その車内ですが、中吊り広告は昭和40年代後半の時代考証ということで、こんな広告を掲示してあります。
皆様、ご乗車の際は細かなところにもぜひご注意くださいね。

なぜこれが昭和40年代後半かって?

新特急登場でブルートレインの「瀬戸」と「出雲」でしょ。
ブルートレインの「瀬戸」と「出雲」は鉄道100年の年、昭和47年(1972年)3月15日に新幹線が岡山開業したと同時に誕生した列車ですから、この広告は49年前の国鉄の中吊り広告ということなのであります。

このぐらいのことがきちんとできないと、魂を込めるなんてことはできないのであります。

7月4日、運転開始まであと5日です。