東京駅のグランスタが先日拡張オープンしたということでのぞいて見ました。
北通路から中央通路にかけての線路の下あたりが随分拡張されました。
でも、この時期ですから夏休み中とはいえガラガラ。
それだけじゃなくて、今まで賑わっていた駅弁屋さんの祭や、惣菜コーナーもシーンとしています。
少ないお客さんを食い合っちゃってるんですね。
東京駅のような100年も前から電車が走っているところにこれだけ大きな地下空間を建設するというのは並々ならぬご苦労があると思います。
おそらく図面も満足になく、でも、電車は毎日分刻みで走っているわけですから担当者はさぞかしご苦労されたことでしょう。
工事が難しいということはどういうことかというと、つまり建設費が膨大にかかるということです。
通常のショッピングモールを作るのに比べると多分何倍もの費用をかけて建設している。
そこにコロナがやってきた。
でも、もう作っちゃったわけだからオープンしないわけにはいきません。
オープンしたとてお客さんは来ない。
莫大な建設費がかかっているし、ましてや天下の東京駅ですから家賃も高い。
そうすると客単価も高く設定しなければペイしない。
商品はみんな割高感がある。
そうなるとさらに売れない。
負のスパイラルというやつですね。
第一、こういう改札内の商売というのはJRになった頃は独占商売で旨味があると思われていましたが、最近はどうもそうじゃないことがわかってきた。
改札内(ラッチ内)ということはお客様は乗り継ぎだったり、これから出発するわけですから、つまりは時間が限られている。
店舗内の滞在時間が限られているということは、ただでさえ売り上げが上がらない要素が大きいのですが、そこに割高感のある商品ばかりが並んでいるのですから、お客さんは最低限の品物しか買わない。
どうしても必要なものや目的のある買い物は改札口に入る前に時間の余裕を持って買うのですから、わざわざ発車前に高いものは買わないのです。
ふた昔前ぐらいであれば旅立ちの前にはちょっとゆっくりと食事でもしてなどという人もいましたが、寝台特急ならまだしも新幹線の時代になればそういう人も少なくなる。
これは空港のレストランも同じで、昔は出発の前にターミナルのレストランでゆっくりと食事をすることで旅気分気分が盛り上がり、精神的満足度も高まりましたが、もうそういう時代でもない。
ここ30年で空港内のレストランが衰退して行くのを目の当たりにしてきた私としては、今更東京駅で出発前に食事もないと思う。
腹が減っている人はそれこそ立ち食い蕎麦でもコーヒースタンドでサンドイッチでもなんでもよいけど、そういうお安く済ませるところが駅構内から消えてきているというのも現実ですから、腹が減っている人は寄り付かなくなってきているのです。
じゃあ、誰が寄るのかというと、たぶん通勤帰りのサラリーマン。
だとしたら客単価を高く設定できない。
でも、莫大な建設費をかけて難工事の末に開業したのですから家賃はお安くできない。
家賃が安くなければ売る商品もそれなりのお値段になる。
とまあ、こういう循環が負のスパイラルだと思うのであります。
だから話題のお店だけには行列ができているけど、あとは閑古鳥です。
新幹線の改札口も東海も東日本がらがら。
地方都市のスーパーやモールが空き店舗だらけになっていますが、ついに東京のど真ん中の、東京駅の駅ナカにもその波が押し寄せてきていると私は見ていますが、要はどこで気がつくかということでしょう。
家賃収入や売り上げのマージン狙いの商売というものがすでに時代遅れになってきているのでしょうが、駅ナカが特権だと思っているうちは厳しいでしょうね。
小資本の方は決してテナントになろうとは思わないことをお勧めいたします。
なぜなら、商売というのはまずは相手に利益を提供して、商売人というのはその恩恵を僅かにいただくのが筋だと思いますが、この駅ナカというのは、まず最初に場所貸ししている鉄道会社が儲かるようになっているからです。
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