車内販売の一斉廃止で見えた国鉄のDNA

しっかし見事ですねえ。

あっちでもこっちでも、まるで示し合わせたかのような「車内販売廃止」。

独立して30年以上経っている会社が、世間の風当たりをかわす意図があるのでしょう。
北から南から、車内販売を一斉に廃止するって言いました。
「赤字ですから、仕方ありませんね。」
「コンビニがこれだけ増えましたから、車内販売は売れないんです。」
という言い訳まですべて同じ。

「JRってどこでも大変なんだなあ。」

ニュースを聞いた多くの人がそう思うと思っているのでしょうかねえ。

車内販売が売れない。

赤字です。

働く人の確保もできない。

仕方ありませんので廃止します。

私は気付いていますよ。

これ、国鉄時代から脈々とJR各社の中に流れるDNAなんです。

民間企業とはいえ、思考回路が民間とはかけ離れている。
そして、全国一律に同じことを言い出す。
これはまさしくDNAですね。

まず、車内販売はなぜ売れないか?

特急列車にお客様が乗っていないからですね。
昔は特急というと8両とか9両ついていて、たくさんのお客様が乗っていましたから、車内販売のワゴンは大忙しでした。
私、昭和51年に自分で特急列車の車内販売やりましたから、当時のことを覚えているんですが、編成の真ん中に食堂車があって、その食堂車の脇に車販準備室があるんです。
そこで、ワゴンに商品を積んでまず前へ行く。
約4両を往復してくるとあらかた売り切れますから、また商品をワゴンに積んで今度は後ろへ行く。
そして一往復してくると、またワゴンが空になるという具合です。

ところが最近の特急列車は編成がどんどん短くなっている。そして、お客様の乗車率も減っている。だから売れないんです。
でもって、売れないからやめますというのが彼らのDNA。

車内販売やめたらもっとお客様が乗らなくなりますよ。
それで良いのでしょうか?
自分たちのビジネスを維持することができなくなるんです。

乗らないからやめます。
これは皆さん方の責任です。
私たちの責任ではありません。

40年前から同じことを言っている。
その理由はDNAなんですね。

どうしたら乗ってもらえるかをなぜ考えないのでしょうか?

車内販売を廃止するのは赤字だから。
そうすると、車内販売だけじゃなくて鉄道そのものが立ち行かなくなる。
ということは、上手に車内販売をやれば鉄道のお客様が増える可能性があります。
この「増える可能性」というのが「需要の開拓」でありますから、民間企業では需要の開拓は当たり前のことなんですけど、お役所にはそういうDNAは流れていないのでしょうね。

もし、需要の開拓のために車内販売をやるという戦略を取るとすれば、例えば車内販売に係わる人件費は「投資」になるのです。
そう考えれば、コンビニにお客様が流れる理由も考えますから、そこに棲み分けもできるはずですよね。
でも、そういう考え方ができないから、車内販売の人件費は単に「経費」として計上される。
だから赤字になる。
これが負のスパイラルですね。

今時、高速バスだってコーヒーの一杯も出てくる時代ですよ。
昨日も書きましたけど、格安航空会社だって機内食が出るんですから。

まあ、おそらく行くところまで行くんでしょうね。

長年協力してきた駅弁屋さんまで自分たちの都合で切っちゃうんですから、民間企業はJRという会社とはビジネスパートナーにはなれない。ということも証明されたと思います。
だから、系列の会社ですべて囲い込むんです。
なぜなら、DNAが同じだから。

今後どうなっていくか、じっくりと拝見させていただくことにしましょうかね。

3 件のコメント

  • ほんとに見事ですね。
    鳥塚さんがおっしゃるとおりだと思います。
    特にJR北海道、もう文句をいうのもあほらしいので、会社が消え去るのを黙ってみていようかと思っています。

  • 車内販売一斉廃止のニュースを見て同時に思った事は、
    地元の小田急ロマンスカーの車販は何故縮小廃止(今後は解りませんが)の話しが聞こえてこないの?でした。
    実際子供とロマンスカーに何回か乗った時の車販メニューを思い出してみるとキッズ向けにVSE弁当などロマンスカーに乗らなければ食べれない商品がたくさん売られていて、ロマンスカーの車販縮小廃止が聞こえて来ない理由の一つなんだなぁと思いました。
    JR特急の車内でコンビニと同じ商品がコンビニよりも高い値段で売られていれば
    素人でも売上が落ちる事は解ります。ロマンスカーの件も含め、これらの事に気が付かないのが旧国鉄のDNAなんでしょうか?

  • いつも楽しく拝見しています。
    「なるほど」ですね。。鉄道での旅の楽しみ、便利さを減らしていって、単なる移動手段としてだけでは飛行機(速い)や長距離バス(安い)に客を取られてしまうのはよくわかりました。
    高い、時間がかかる、不便、楽しくない、では。