ゴーン会長逮捕に見る日産の村社会

昨日から今日にかけてのトップニュース。

 

見事にゴーンさんが悪者になっていますね。

 

有価証券に虚偽の記載をした。

自分がもらっている報酬を正確に記入しなかった。

ということらしいですね。

 

脱税とは言っていない。

いくらもらっているかは正確にはわかりませんが、日産という大会社ですから経理は透明。

源泉徴収しているからもらった分の税金はきちんと天引きされているから脱税とは言っていない。

もらった分は公表と違うけど、もらった分の税金は払っている。

ただ、正確に記入しなかったということらしい。

有価証券報告書はゴーン会長が自分で書くのではなくて、会社の担当者が書いているのですけど。

つまり会社ぐるみの犯罪ですね。

 

プライベートジェットで飛び回っている人ですから、世界各地に自宅ぐらいあるでしょうし、当然会社の所有物になっているでしょう。

中小企業のおっさんたちだって別荘ぐらい持っている。当然会社の名義になっているし、ベンツやBMだって会社の名義だろうし、旅行に行く飛行機代だって会社の経費で落としているでしょう。

日産という会社はトヨタより大きな会社のようですから、中小企業のおっさんたちとは規模が違うわけで、ベンツがプライベートジェットになって、別荘がヨーロッパの邸宅になっているだけだと思います。

まして、彼は公務員ではなく、公費を使っているわけではありませんから、舛添さんが家族で竜宮城に遊びに行くのとは根本的に違うんですが。

 

「東京地検特捜部、ゴーン会長を事情聴取」

という速報が流れたのが昨日の夜6時過ぎ。

その後、8時過ぎに逮捕。

日産がすぐに取締役会で会長解任を協議すると発表。

 

すごいスピードですね。

ふつうなら、こういうことがあると会社の広報室は「事情を確認している」とか「コメントできない」というのがまず第一の会見なんでしょうけど、日産はすぐに「会長解任」という言葉を出してますね。

 

これは完全にクーデターですね。

 

追い出されちゃったんです。

 

だって、逮捕されただけでしょう。

逮捕されただけれは犯罪者ではありません。

裁判で判決が出されて刑が確定するまでは罪人ではありませんから。

だから、ふつうなら会社はもっと慎重になるはずなんですけど、いきなり「解任」ですからね。

 

これは完全に仕組まれたクーデターです。

 

その理由は邪魔になったからでしょう。

 

かつてルノーが8000億円を出して日産を助けてくれた。

20年ほど前ですが、その時ゴーン会長が乗り込んできた。

経営再建ですね。
で、日産は見事に経営再建を果たした。

 

ところが今ではルノーがお荷物になった。

8000億円はすでに返したから、ルノーとは縁を切りたい。

そのためにはゴーンが邪魔だから、検察にゴーンを売った。

株価が下がることも前提で、司法取引に応じたわけです。

司法取引ですから、会社側も共犯だったということですが、ゴーンを売ることによって、自分たちは罪を免れようという魂胆です。

 

こう考えると、この日産という会社は村社会ですね。

 

皆で「あいつは悪い奴だ」と決めつけて、困った時にお世話になって、会長に助けてもらったのに、恩を仇で返した。

これは、「村社会」ですね。

 

その理由は、長くやりすぎたことでしょう。

ゴーン会長が長くやりすぎた。

オーナーでもないのに。

 

性能の良い車を作って、お客様に喜んでいただき、社会に貢献するという企業としての理念は、会長側にも会社側にも見られないのが、私が一番気になるところです。

 

日本は海外に比べて役員の成功報酬が少ない傾向があります。

きっとゴーン会長としては、まだまだ足りないと思っていたんでしょうね。

だから、プライベートな支出まで会社の経費にした。

ところが、役員報酬が高額になるのを好まない日本の株主の前では、有価証券報告書に低い金額を書く必要があった。

書いたのは会社ですから共犯のはずですね。つまり会社ぐるみ。

 

会社は十分に経営再建したので、彼やルノーにはお世話になったけど、もう邪魔になった。

ところが、会長自身は退任する意思はない。

じゃあ、追い出そう。

そのためには、会社ぐるみでやったことを、司法取引で検察に全部言いますから、会社の罪はお許しください。

悪いのはカルロスゴーン会長個人の問題です。

 

今日一日で私がニュースから読み取ったのはこんなところです。

 

日産の株価が下がって、株主に不利益が起きるのを知っていてクーデターを起こした会社の幹部。

このところ控えめな活躍でしたから、来年以降、トップクラスの高額納税者を失うことになっても成績を上げたい東京地検特捜部は話題作り。

これが国税のマルサだったらもっと実を取るでしょうけどね。

 

株主もユーザーも誰も得しないんですけど、村社会の幹部としてはそろそろよそ者にお引き取りいただきましょう、ということのようです。

 

田舎の町の話ではないところが、この国の闇の部分かもしれません。

 

 

ニュースを見て「あいつは悪い奴だ、けしからん!」と決めつけているあなた。

ちょっと別の観点から見てみたらいかがでしょうか。

 

「あんなにもらっていやがって」ってねたみや嫉みがあるんじゃないでしょうか。

そう、そのねたみや嫉みの感情、それこそが村社会の証拠なのです。

 

 

ところで、私はゴーン会長のファンでもシンパでもありませんから、そこのところ誤解の無いようにお願いします。

3 件のコメント

  • 意見に賛同します。これは完全にクーデーターですね。
    能力ない幹部が才能ある者にかなわないのでアラを探して皆で計画して、、、。人を陥れる才能はあるかも分かりませんが、経営能力はさっぱり、、、。情けないですね。自分たちに能力があると思い込んでいるのでしょうか・・・
    今後の日産の行く末が心配です。

  • 日産だけの思惑でしょうか?
    ゴーン氏がルノーの社長を兼任しているのは周知の事実ですが
    ルノーの主要株主に仏政府が入っています。
    今年の3月29日にBloombergがルノーと日産が合併する交渉に入ったという記事が出ました。
    合併といえば聞こえは良いですが、要は買収です。
    日産は元々鮎川コンツェルンという「財閥」でした。
    「財閥」といえば華族が大きく関わってきます。
    日本の財閥が外国に買われていく…。そういう焦燥感をもったのではないですか?
    記事が出た日のルノーの株価は上がり、日産の株価は下がったのが印象的でした。
    ゴーン氏は日産のことを本当に考えていたのでしょうか。
    日本の財閥であった日産を仏政府に差出し英雄気分なのでは?と
    日産はもとより、日本人はそう思っていたのかもしれません。
    日本は村社会かもしれませんが、反面本当に親身になってくれるリーダーには忠臣を尽くす一面もあります。
    社長さんのほうこそ一面を見ないで別の観点から見てはいかがでしょうか?
    私は日産のファンでもシンパでもありませんから、そこのところ誤解の無いようにお願いします。

  • ある意味ゴーンさんの失策ですね。早めに日産を没落せしめた経営陣を切っておくべきだった。
    近年まれに見る、ひどさですね。
    数年後には日産は元に戻ってるんでしょうね。