ドラフト会議

広島がリーグ優勝してファンの皆様方が大いに盛り上がったのですが、クライマックスシリーズで横浜に敗れて日本シリーズに進出することができなくなりました。

 

せっかくリーグ優勝したというのに、あれはなんだったんだろうと、ファンの皆様方の落胆は私も同感なのですが、最初からそういうルールのもとに試合が行われて、下克上のように横浜が広島を破ったということは、これはやはりすごいことだと思いますし、ドラマでありますから、頑張った横浜は称賛されるべきだと、個人的に大好きなラミちゃんの喜ぶ顔を見て、早口の英語を聞いて、私はそう思うのであります。

プレーオフという制度が日本になじむかどうかはいろいろ議論があるとは思いますが、以前はリーグ優勝が決まった途端に、あとは消化試合ばかりでしたので、日本シリーズまでなかなか間が持てなかったのが、クライマックスシリーズが始まってからは、10月の終わりまでプロ野球のシーズンが繋がっていて、大変な盛り上がりを見せているのですから、ショービジネスとしてのプロ野球としては、興業的には大正解のような気もします。

 

さて、そんな中で本日はドラフト会議。

注目の清宮君は日本ハムに一位指名されてニコニコ顔ですね。

同い年で野球部の息子を持つ親としては、「すばらしいなあ」と感動するわけですが、別にうちの息子がプロ野球選手になれるかどうかという話ではなくて、清宮君は志望球団を云々することはなく、決まったらそこへ行くという態度なのが「すばらしいなあ」と思うのです。

広島に決まった中村君も同じですね。

 

今はそういう時代なのでしょうか。

 

私たちの時代を振り返ってみると、あの有名な江川事件もそうですし、ロッテに決まった瞬間の愛甲の表情も思い出しますが、「どうしてもあの球団に入りたい。」という選手が多くいたのが思い出されます。ではどうしてあのころは「どうしてもジャイアンツに入りたい。」というような選手がいて、今はそれほどこだわらなくなっているのかを考えると、もちろんジャイアンツそのものが弱体化して、あまり魅力がなくなったということはあるでしょうけど、その分、他球団がずいぶんと上がってきていますし、当時はセリーグばかりが注目を浴びて、パリーグの人気はあまりありませんでしたが、今は同等か、あるいはパリーグの方が面白くなっているようですので、王、長嶋の時代のように巨人と阪神だけが野球じゃないからかもしれません。

 

あとは、交通機関の飛躍的発達により、福岡とか札幌というところが、かつてのように遠いところでもなくなっていることも要因の一つだと思います。もちろん、王、長嶋の時代から国内線にジェット機が飛んでいましたから、都市間所要時間は今とほとんど変わらなかったのですが、飛行機というのが一般化することによって、全国民が北海道や福岡が日帰り圏内だということを当たり前のように考える時代になったからだと思います。

だから、高校球児にとって見ても、遠くへ行くという感覚がなくなっているのでしょうね。

 

そういう意味では、良い時代になったと思います。

それだけ、日本も豊かになって、何も東京や大阪じゃなくたって、どこへ行ったって東京や大阪と引けを取らない時代になったのですから。

 

でも、昭和のおじさんとしては、なんだかちょっぴりさみしい気もします。

だって、私たちの時代は、「どうしても国鉄に入りたい。」とか、「どうしても新幹線の運転士になりたい。」と、職業に希望を持つのが当たり前の時代でしたし、職業を通じて自己実現をするというそういう気持ちが原動力になっていたからで、だから、40過ぎて訓練費用に大金を払っても鉄道の運転士になりたいというおじさんたちが何人もいるわけですから、そういうおじさん世代から見ると、手堅く収まるところに収まってしまう今の若者たちは、ちょっと物足りない気がするのです。

江川が「どうしても巨人に入りたい。」といったことを、「そりゃそうでしょう。自分の就職先を自分で決められないドラフトなんて制度はおかしい。」と思っていた世代ですからね。

 

今で言えば、差し詰め「ルールやマナーを守れない人間。」と言われてしまうのでしょうけれど。

 

おじさんとしては、「ルールって、自分たちで決めるものだから、実情に合わなくなったら変えればよいのではないでしょうか。」という考えが根底にあるのです。

 

生きている人間はやがて必ず死ぬ。

 

これ以外に世の中には絶対というものはないのですから、ルールだってマナーだって時代とともに変わるのであります。

 

だから、せっかくこの世に生を受けたのですから、思う存分生きて、活躍して、社会に貢献するべきなのです。

 

ドラフトで指名された選手の皆さん。

与えられた使命を全うして、ぜひ、世の中に貢献していただきたいと思います。

 

くじを引いた球団も、指名された選手の皆さんも、本日はおめでとうございました。