百年前に生きていた私たちの大先輩である内田百?先生が、「大阪には何にも用はないけれど、ただ汽車に乗るためだけに大阪へ行って見ようと思う。」と言って「阿房列車」を執筆してからかれこれ65年。当時は戦後の食糧難で、汽車の切符を手に入れるのもままならない時代に、ただ汽車に乗るためだけにあちらこちらへ出かけるというのは実に優雅な遊びで、道中酒浸りの気ままな旅は、私たちの世代の憧れでもあります。
これまた私たちの大先輩のJR中央の須田さんというお爺さん。こちらはまだご存命中ですからやたらなことは言えませんが、この大先輩から教わった言葉に「観光鉄道の定義」があります。
須田さんがおっしゃるには、「普通の鉄道というのは、目的地へ行くために乗る。」のであって、「観光鉄道というのは、乗ることそのものが目的」とのこと。だから、いすみ鉄道も普通の鉄道としての地域の足という人もいれば、1日乗車券で、どこへも行かずに行ったり来たりしているという乗ることそのものが目的のお客様もいて、そういう人にしてみたら観光鉄道なわけです。
ということで、ぽっかり空いた今日1日のお休み。
多分、丸1日何も考えず、フリーに過ごしたのは今年に入ってから今日が初めてかもしれませんが、私は先日開業した北陸新幹線の車中の人となったのでありました。
つまり、何も考えず、特に金沢に用があったわけでもなく、百?先生的に言えば、ただ何となく新幹線に乗ってみたくなったのであり、セントラルの須田さん的に言えば、目的地へ行くためではなくて、乗ることそのものが目的ですから、私にとって本日の北陸新幹線は「観光鉄道と化した」わけでございます。
[:up:] 乗車車両はW7系。E7とかW7とか、別にどちらでも構いませんが、選んだ列車は北陸新幹線内各駅停車の「はくたか」。
どうせなら長く乗ってられる方が良いので、G車を奮発しましたが、この座席、なかなか良かったですよ。
[:up:] 金沢までの運賃。料金は18970円。乗車券はとりあえず小松までにしておきました。
[:up:]朝ごはんは銀座泥武士の「ベジ弁」。1500円也。
肉も魚も使わないこういう弁当は、やはり、肉や魚よりも高いのが一般的なのでしょうか。でも、いすみ鉄道のベジミール弁当(1800円お茶付)の方がはるかに高級感もあり、素材にも調理方法にも凝ってますよ。と、ちょっとだけ宣伝。[:down:]
[:up:] 上越妙高で数分間停車。後続の「かがやき」に抜かれます。
速い!
[:up:] キハ52のふるさと糸魚川。今日は途中下車できませんので、車内から糸魚川市の米田市長さんへ「今度また来ます。」メッセージ。米田市長さんもすぐにお返事をくれました。
新緑のころには行きたいですね。
[:up:] 長野を過ぎるとG車の車内はこんな感じ。開業からたった2日しかたってないのに。これが本来の需要なのかもしれませんね。
[:up:] 黒部川を渡って黒部宇奈月温泉に到着。ホーム端にはどの駅にもこうやって人がいました。利用客ではないようです。
[:up:] 東京駅から3時間11分。金沢に到着しました。
興味深いのは出口の階段とは反対方向へ向かう人たちがたくさんいたことで、皆さん、先頭車へ行って写真を撮っていました。私はマニアではないので、遠慮しておきました。[:ラッキー:][:ニコニコ:]
[:up:] こちらは在来線ホーム。IRいしかわ鉄道の列車です。
駅名表にもJRとIRのマークが付いています。
向かって左がIRで、右がJR。
[:up:] 金沢駅東口。こちらは向かって左がJRで、右がIR。
ここが線路の分岐点で、それぞれの会社の方向にマークが付いているのです。
こういうところ、鉄道会社って義理堅いというか、硬いというか。
まあ、どちらでも構わないんだけど、どこかで統一したいんでしょうね。
[:up:] 3年前、キハ28を譲渡してもらう時に、金沢へは10回ぐらい来ましたが、その時に比べると明らかにお客さんの数は増えていますね。
構内の脇の方にはC58の動輪がありました。
「これならおれだって持ってるぜ。」と言って見たくなります。
だって、これは片輪じゃないですか。私のは両輪ですから。
[:down:] This is My ドーリン.
さて、金沢には何も用がないので、滞在時間わずか30数分で西口へ向かいます。
小松まで電車で行こうと思いましたが、接続の便が悪いので、金沢市内から小松空港へはやっぱりこの高速バスが便利です。
その名も「スーパー特急」。
この会社のバスは、乗務員さんや係員さんが皆感じよく、いつも快適です。
余りにも快適なので、「早く到着した。」なんて言うと、「スピード違反はしてません!」と怒られてしまいますが、金沢市内から小松空港までだいたい35分もあれば到着しますから、金沢は市内と空港の距離としては悪くないですよね。
[:up:] 穏やかな日本海を見ながらバスは実に快適に走ります。
[:up:] さて、小松空港からは東京行に搭乗です。
本日私が乗ったのはJL1278便。
14:50定刻にプッシュバックして15:01に離陸。
羽田には15:50に着陸して、15:55定刻にスポットに入りました。
[:up:] 私にとって飛行機の旅の良いところは出発前にこうしてラウンジで一休みできるところ。金沢はとても洗練された町で、雅なところですが、そのせいか飛行場で「空弁」にありつけず、昼飯を食べそびれましたが、たとえセルフサービスでも、出発前にこうしてジュースやビールを一杯飲めるだけでも心に余裕が持てますね。
鉄道会社は、上級顧客の囲い込みが弱いというか、ほとんどしてませんね。
[:up:] ということで、15:50、雨が降りだす直前の羽田空港に到着しました。
金沢駅前を13:35に出て、15:50に羽田空港到着。ここからモノレールか京急で都心へ出たとして、16:30着ぐらいでしょうから、金沢駅周辺から東京駅周辺へ行くのであれば、軍配は新幹線でしょうね。
ただし、小松空港はパークアンドライドのキャンペーン(駐車場割引サービス)を始めましたので、お住まいの場所にもよりますが、石川県の方でも自宅から車の方は飛行機の方が便利かもしれません。
今日乗った飛行機では、東京―小松線に限り、機内Wifi無料でしたので、航空会社もかなり新幹線を意識しているのです。
ちなみに新幹線はG車で18970円(乗車券は小松まで)
飛行機は小松→羽田で17390円(特割クラスJ)
どちらもインターネットで前日購入ですから、ほぼ同等と言えるでしょう。
飛行機の普通座席は同条件で13190円ですから、新幹線の普通車と同等ですね。
今回私が利用したのは鈍足の「はくたか」でしたが、最速の「かがやき」だと2時間半。
あとは、所要1時間の飛行機との時間の差をどう考えるかだと思います。
私は新幹線も飛行機も好きですが、新幹線は「鉄道」ですから、ひと月に一度程度しか乗らなくても「日常」なんです。
でも、飛行機は空を飛ぶので、毎年60回以上フライトしていても、1回ごとに「非日常」を味わえるので、いつも飛行機を選びます。
また、ふだん車で移動していますので、駐車場のキャパを含めた停めやすさや利便性を考えるとどうしても飛行機になりますね。
今回はユーカリが丘から京成電車で行動しましたので、そうなると、新幹線も飛行機も、どちらも互角ですね。
新幹線は1時間に2本の列車本数があって、自由席もあります。
飛行機は、乗りなれてないからヤダという人も多いでしょう。
だから、やっぱり軍配は新幹線かな。
でも、隣にきれいなお姉さんが座ってくれればよいけれど、汚いオヤジが鼻くそでもほじろうものなら新幹線の2時間半は苦痛だろうな。飛行機の1時間なら我慢できるけど。
飛行機にするのは、リスク分散の意味もあるということです。(笑)
あとは、羽田空港と東京駅のどちらに行きやすいかということでしょうね。
羽田空港から京浜急行で品川へ出て、品川発の常磐線取手行に乗りました。
上野東京ラインの初乗りです。
この電車に日暮里まで乗って、京成電車で帰宅しましたが、品川から日暮里までのルートも面白いですね。途中の停車駅が新橋、東京、上野ですから、実に快適でした。
ということで、本日は用もないのに金沢へ、軽いジョギング気分で出かけた1日でした。
「乗ることそのものが目的」という点において、本日の北陸新幹線は、私にとっては、まさしく観光鉄道化したということでございます。
前から気になっていた飛行機VS新幹線。
とりあえず開業3日目にやってみました。
これが私の行動力です。
なんちゃって。
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