気力と体力

いすみ鉄道応援団の鈴木助役が「あけぼの」の寝台券が取れたと舞い上がって、上野発の夜行列車のお客様になったようですが、口ずさんでいた演歌通り、青森駅は雪の中だったでしょうか。
昨日のブログで、客車列車は快適だったというお話をしましたが、客車列車でも特に旧型客車と呼ばれるオハ35系やスハ43系などは、エンジンも電気機器も積んでませんでしたから走行音が軽快で、乗っていて実に心地よかったのはもちろん、列車自体が旅に出た時の私の定宿でしたから、そりゃあ寝台車に乗れればそれに越したことは無かったですが、そういう列車がたくさん走っていた当時のバックパッカーの貧乏旅行では、屋根の下に眠れるだけでもありがたいことでしたので、野宿や駅ネに比べれば客車列車は快適だったというだけのことなのです。
当時の夜行列車は、とにかく混んでいて、1ボックスに4人座るのは当たり前で、通路に新聞紙を敷いて座る人たちもたくさんいましたから、ノスタルジーという意味では懐かしく思いますが、もう一度そういう列車に乗れと言われると、「いやあ、遠慮しておきましょう。」となります。
特に40代後半以降は、寝台車であっても夜行列車は遠慮したいなあと思うような軟弱な精神に支配されてきて、先日少しお話をしましたが、この秋に「あけぼの」に乗ろうと思ってA寝台個室を探しましたが、何日も満席で、B寝台は乗りたくないからと諦めてしまい、その後廃止が発表されて、今となってはB寝台ですら取れなくなりましたから、それで結局「あけぼの」は乗らないうちにさようならとなる次第です。
もっとも、「あけぼの」だけでなく20系時代の「北星」や583系の「はくつる」などにも何度も乗っていて、黄金期の寝台特急はそれなりに良い思い出になっていますから、いくら最後だからといって衰退した今の寝台列車に敢えて乗車して、せっかく人生の良い思い出になっているものを、ガッカリするのも賢い行動とは言えません。
これは昔のガールフレンドと一緒で、今さら会ってどうこうしようということではなくて、そのまま良い思い出に取っておくのが一番だと思います。
でも、そういう50おやじを見て、若いころの自分は「だらしねえなあ。」と思っていたわけですから、人生、それぞれの年齢なりにいろいろ考えることもあれば、言い訳もあるものだなあとも思う今日この頃なわけです。
50代前半ですでにそういう境地にあることが早いか遅いかは別として、そう考える私としては、やっぱり私より年上の団塊の世代以上の人たちは、いまさら昭和のローカル線もないだろうと思うでしょうし、バブルの時代に世界中のおいしいものを召し上がっている方々が多い世代でもありますから、飲み放題込で1万円程度のイタリアンではご満足いただけないだろうと確信しているわけで、それが「いすみ鉄道は団塊の世代を対象にしていない」という発言ととられたようで、物議を醸しだした(らしい)のです。
というわけで、私の使命は、私より年上で経験豊富な方々に喜んでいただくことではなくて、人生の発展途上にいる若い人たち、つまり、廃止される前に「あけぼの」にどうしても乗りたいと言ってる年代の人たちに、ローカル線を使った様々な体験をしていただくことで、そういう体験をした人たちが、私がこの世からいなくなった後でも、昭和のローカル線体験を次の世代に語り継いでいってくれるのではないかと思うのです。
はい、そこで皆様方へお知らせです。
1:年明け以降のイタリアンランチクルーズ(1~2月分)と伊勢海老特急の発売を12月23日午後8時からいすみ鉄道のWEBショップで行います。
ご希望の方は、時間になる前にパソコンの前にお座りください。
「あけぼの」の寝台券を取るぐらいの気持ちでないと予約できませんよ。
もちろん、お電話でのご予約はできませんし、WEBショップですからカード決済となりますので、ご了承ください。
2:年が明けてからキハ52サポーター、車両オーナー様へのみお知らせをする予定ですが、2月中旬に完全予約制で「夜行列車」を運転する予定でいます。
寝台ではなく、4人掛けのボックスシートで夜通し走った昭和の夜行急行列車をイメージした夜汽車を運転します。
大原―上総中野間を何往復かすれば朝になりますから、一晩キハの中で過ごしましょうという企画です。
座席数が限られますので、一般の方へは販売せずに、キハのサポーター、オーナー様へのみお知らせして、ご予約を受け付ける予定です。
会員の方へは今週に入っていすみ鉄道からメルマガが届いているはずですので、そのメールが届いている方々が対象となります。
更新されていらっしゃらない方は対象外ですので、メールが届いていない方はご注意ください。
もっとも、入会申込書に記載された字が汚くて、アドレスが判読できないなどの理由で、送ったはずメールがこちらにリターンしている方もいますから、きちんと更新しているのにメールが届いていない方は、いすみ鉄道までメールでお申し出ください。
まあ、一晩キハの中で過ごしたいという奇特な方は、やはりサポーター、オーナー会員の方々でしょうから、一般向け商品として発売する必要はないだろうと考えておりますが、再現する昭和の夜行列車のお客になることは、昔のガールフレンドに会うようなものですから、言いだしっぺではありますが、私自身は遠慮しようかなあと考えております。

昭和51年3月 寝台特急「北星」 盛岡駅
同級生の石川君(右)と私(左)
宮古のラサ工業にC10を見に行った帰り。
行きは急行「津軽」の自由席車で大曲から田沢湖線経由で客車を乗り継いで盛岡へ入りましたが、帰りは奮発して寝台車に。
東京発の九州特急が14系化されて、それまで使用されていた20系が押し出されて東北へやってきてできたのがこの特急「北星」でした。
寝台幅52cmの3段式でしたが、列車に乗るだけでワクワクしていたころでしたので、とにかくうれしかったことを覚えています。
そういうワクワク感があるうちが人生の旬なんですね。