たいていの皆様が一度は乗ってみたいと憧れる国際線のファーストクラス。
離陸するとキャビンクルーがサッと客室の仕切りのカーテンを閉めてしまいます。後ろの座席に座っていると、あちら側ではいったいどんなサービスをしているんだろうかと気になりますから、ますます乗ってみたくなるものです。
フルコースの食事はどんなメニューなんだろうか。
高級なシャンパンやワインが飲み放題なんだろうな。
食後のデザートは有名パティシエのスィーツ。
などなど限りない想像が膨らむものです。
ところが、以前にも書きましたが、実際にファーストクラスに乗れる身分や年齢になってくると、いろいろ食べたり飲んだりを制限されるのが世の常です。
つまり、若いうちは何を食べても元気だった人でも、ファーストクラスに乗れるようになるころには、体のあちらこちらにガタが出てくるもので、後ろの席の人たちがうらやましがるほど良いものばかりを食べられるものでもないのです。
とくに、こってりとしたソースや味付けの料理は、シニアの年齢の人たちにはだんだんありがたいものではなくなりますから、日本の航空会社では、様々な工夫を凝らして、素材の味を楽しめる和食系のお料理を機内食に取り入れています。
そう、やっぱり、素材で勝負できるものが、一番体にも良いんじゃないか。
自分が医者から「あれは食べてはいけません。これも食べてはいけません。」と言われる年齢になってみて、あらためてそう思うのです。
そんなことを考えているときに、先日新聞で、いすみ鉄道沿線のチーズ工房のチーズが、日本航空の国際線ファーストクラスの機内食に搭載されるというニュースが私の耳に入りました。
いすみ鉄道沿線にはいくつかのチーズ工房があり、以前からどこも人気で、手に入れるまでに長い時間がかかったりすることがありますが、今回機内食に搭載されるチーズは駒形さんという方が作っているチーズ工房。
フロマージュKOMAGATAです。
(いすみライフスタイル研究所の紹介ページ)
駒形さんはいすみの環境が気に入って移住されてきた方ですが、搭載されるチーズは「酒びたし」と呼ばれるチーズの製造工程で日本酒をしみこませたもの。
そして、その日本酒は大原の蔵元、木戸泉さんのお酒ですから、いすみ市の素材の味のコラボなんです。
私はいつも思うんですが、いすみ鉄道沿線には全国区として勝負できる、いや、世界に通じる素晴らしいものがたくさんある。
ところが残念なことに、地元の人たちは、地元の気候や地元で採れるおいしい食材は、昔から当たり前だと思っていますから、世界に通じるものだという価値観が自分たちではわからないのです。
そういう人たちが観光事業や観光企画をやろうとしているわけですから、なかなかお客様の需要にフォーカスを当てた企画が出来るわけないのですが、今回の駒形さんのチーズは、移住者である駒形さんの地域を見る目と、昔ながらの造り酒屋である木戸泉さんが、見事に融合したという点で、私は素晴らしいと思うのです。
そして、それに輪をかけてうれしいのは、なんと、駒形さんのチーズ工房はいすみ鉄道の車窓の一部になっている。
列車から見えるところにあるんです。
場所はどこかというと、西大原を出て上総東に向かう途中、水田地帯から山間部に入る付近の左側の山の中腹ですが、いすみ鉄道を見ながら、いすみ鉄道の音を聞きながら育ったチーズが国際線の機内食として世界に羽ばたくのですから、こんなにうれしいことはないと思いませんか。
沿線に撮影にいらしている皆様方も、ぜひ、駒形さんのチーズ工房で、おいしいチーズをお土産に購入されてはいかがでしょうか。
ただし、人気の手作り品ですから、いつもあるとは限らないようですが、外からいらした方が地元の良さを再発見するというのは、チーズ作りも、写真撮影も、基本は同じなんじゃないかと思うのです。
だから、私は、「写真を撮りに来るだけでも良いから、一度いらしてみてください。」と、就任当初から申し上げているのです。
これから紅葉、そして冬枯れの風景と、いすみ鉄道沿線の里山はいい景色が見られる時期に入ってまいります。
皆様、シーズンオフの房総半島の旅も良いものですよ。
※今回のチーズの採用は、私が航空会社の幹部にセールスしたものではありません。いすみの実力勝負ですからお間違いのないようにお願いします。
いすみ鉄道沿線には駒形さんの他に3つのチーズ工房があります。
NPO法人 いすみライフスタイル研究所の方々が詳しく取材していますので、どうぞこちらをご覧ください。
チーズ工房IKAGAWA
よじゅえもんのチーズ工房(国吉駅売店で販売しているチーズです。)
高秀牧場
全部行ってみて食べてみたくなりますね。
ただし、各所ともチーズは少量生産しかできませんから、直接お邪魔してもその日に買えるかどうかはわかりませんのでご了承ください。
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