将軍様のミサイル

北朝鮮がミサイルの打ち上げ準備に入っているとニュースが伝えています。
この時期には北朝鮮のいろいろな記念日が続いていて、その祝砲代わりに打ち上げるだろうとか、言われています。
北朝鮮は土日のテレビ放送は休止らしいので、せっかく打ち上げても国民に伝わらないから、打ち上げるのなら金曜か月曜だろうとか、早朝じゃないかなど、いつもはどこで何をやっているんだろうかと思うような軍事評論家という職業のおじさんたちがいろいろと解説しています。
私は軍事評論家ではありませんし、軍事オタクでもありませんから、ミサイルがどこに向けられていて、いつ飛んでくるかなんてことは全くわかりません。
でも、一つだけ気づいたことは、おそらく皆さん方もそう思われるかもしれませんが、
「北朝鮮はなんて遅れているんだろう。」ということです。
文化とか文明が遅れているのではなく、考え方が遅れているということです。
今どき、ミサイルをちらつかせて自分はどれだけ強いか知らしめようとする考え方も古いし、そういう手法で国が強くなっていくという考え方も古い。
戦争というのは破壊経済ですから、そこからは何も生み出さないわけで、戦争のためにいろいろなものを生産して特需が起きたとしても、それはすぐに大不況が待ち構えているし、何より特需というのは戦争当事国には訪れないわけですし、北朝鮮がたとえ韓国の領土を手中に入れることができたとしても、インフラをコントロールできるだけのスキルが国民にはないから、どうにもならないわけです。
じゃあなんで北朝鮮がミサイルを撃つぞと言っているのかと言えば、強さを強調しなければならないような事情が国内か国外にあって、その強さというのが、つまり軍事力だということなんじゃないでしょうか。
日本人はこういう北朝鮮のやり方を見て、「なんと時代遅れで古い考え方なんだろうか。」と思います。
私は、こういう事象がほかにも当てはまるのではないかと考える性質(たち)ですから、自分の身の回りにもいろいろあるんじゃないかと思うわけです。
たとえば、田舎の町でインフラを整備しながら工業団地を誘致しようと真剣に考えていたり、空港を建設して利便性を向上させようとか、さすがに今となってはあり得ないと思うけれど、2年前まで真剣に議論されていた原発を誘致して町の財政を豊かにしようとか、そういう、今どきどうしてそういう発想になるのかなあ、というようなことを一生懸命考えている人がいるかもしれない。
そして、そういうことは、当事者としてみれば、何の疑いもなく信じてやっているけれど、少し考え方の進んだ人たちから見ると、あの人たちは、どうして今どきそんなことしか考えられないんだろうかと、日本人が北朝鮮を見るのと同じように都会の人から思われていることがあるんじゃないだろうか。
と考えるわけです。
私は、いすみ鉄道で「ローカル線は地域資源ですよ。」と申し上げて、それを実践しているのですが、未だにローカル線はいらないから廃止して道路を整備しましょう、と真剣に議論している地域もあるわけで、そういう地域は私から見たら北朝鮮と同じに見えるわけです。
同じように、せっかく古い町並みが残っていて、これはまさしく観光資源になるとだれもが考えるのに、当事者たちにはその価値がわからないから、取り壊して新しくして、「どうです、これで私たちの町も都会に負けないぐらいになりました。」なんて言っている町を見ると、私にはやはり北朝鮮と同じに見えてしまいます。
そういう地域と北朝鮮に共通しているのは「リーダー」の存在です。
どこの国もリーダーというのは長期的ビジョンに立って、将来この国をどうしたいか、どのような方向性で進んでいくべきかということを国の内外に明確に示すのが、リーダーがリーダーたる「ゆえん」でありますが、パパの後を継いだだけの将軍様にはそういうことができないのかもしれない。
地域だって、その地域のリーダーたちが、はっきりとしたビジョンを持って地域をけん引していかなければならないわけで、そのためには気力も行動力も勉強も必要なわけです。
もし、そういうビジョンを持つことができなかったり、方向性を示すことができない人がリーダーをやっているとしたら、そのリーダーはできるだけ早く選手交代しなければその町にとって百害あって一利なしなのです。
北朝鮮のことを見ていて、「あいつら遅れてるよなあ。いまどきミサイルでどうにかなると思ってるんだから。」と思うあなたにお聞きします。
あなたはどうですか?
私もいつも自分のことをそういう観点から見るようにしています。
例えば、私は20年ぐらい前からベンツに乗っていますが、
「今どきベンツってどうなのよ。考え方変えた方がいいんじゃない?」と思ったので、2年前からチョロQに変えてみたり、赤い羽根の飛行機の上級会員カードを持っているけど、LCCに乗ってみたり、そうすることでいろいろな角度から物事を見ることができるように、クセを付けているのです。
国と国との関係も面白くて、例えば日本と韓国でスポーツ親善試合をやるとしたら、日本では「日韓友好スポーツ大会」と名前を付けるけれど、韓国では当然「韓日友好スポーツ大会」となります。
北朝鮮のことを韓国人は「北韓」と呼びますが、北朝鮮では韓国のことを「南鮮」と表現します。
こういうことも、その国の人にしてみたらきわめて当然かもしれないけれど、一歩離れて見ることができると「へ~、そうなんだ。」と感じるわけで、将軍様のミサイルのニュースも、そういうものの見方で見れば、また違って見えてくるのではないでしょうかねえ。
私は世界で今一番どこへ行ってみたいですか、と聞かれたら、迷わず北朝鮮と答えます。
未知の国だけど、地下鉄もトロリーバスも走っているし、鉄道がどんな車両なのか、石油事情が悪い国だから、もしかしたら地方都市ではまだ蒸気機関車が現役なんじゃないかなあ。
そう思ってますから、北朝鮮と日本と韓国と、できるだけ早く仲良しになって、自由に行けるようにならないかなあと思うわけです。
でも、皆さん、知ってますか?
イギリスって北朝鮮と国交があるんですよ。
ドイツだってイタリアだってオーストラリアだってニュージーランドだって、そう。
カナダだって国交がある。
もしかしたら、日本だけが、アメリカのいうことを信じて北朝鮮を悪者にしている間に、結果として世界から締め出されているのかもしれません。
そういうふうに考えるのも、時には必要なんじゃないでしょうか。