30年以上前、日本にコンビニができ始めた当初は、周りの大人たちは、「こんなお店は絶対に流行らない。」と言っていました。
コンビニでは商品が定価で売られていますが、スーパーなら同じ商品が安く買えるわけです。
定価で買うのなら、当時は商店街にいくつもあった顔見知りの個人商店で買うのと同じだから、そちらへ行くだろう。
というのが、当時の考え方でした。
まして、コンビニのチェーンは大手スーパーがやっているとなると、同じ商品が、同じ系列のスーパーでは安く販売されているのに、コンビニでは定価で売られていることはけしからんことだという人もいました。
15年ぐらい前でしょうか。
インターネットが普及し始めると、ホテルの部屋や航空券などを商品とするような会社は、予約システムにこぞってインターネットを取り入れました。
それまでは、電話に出た職員がお客様の名前や住所にはじまり、希望する日の予約が取れるかどうかなど、いちいち応対するのが当たり前でしたが、インターネットになればその分の手間が省ける。
だから、会社としてはできるだけインターネットに誘導したいので、同じ部屋や座席をインターネットで購入すると割安になるような仕組みを作りました。
中には電話をかけて予約しようとすると、「インターネットでお申込みいただければお安くなりますよ。」などとあからさまに誘導しようとする会社も出てきましたから、お客様の中には「けしからん。」と怒る人が出てきました。
10年ほど前、私が空港のチェックインカウンターで仕事をしていた時、お得意様のビジネスクラスのお客様が事前座席指定を持っていないときがありました。
その時は飛行機が混み合っていて、そのお得意様がご希望とされる通路側のお座席がすでにいっぱいで、ご希望に添えない旨を申し上げると、
「おかしいなあ、旅行会社に通路側って頼んでおいたんだけどなあ。」とおっしゃいます。
私が「次回からはインターネットでチェックインされてから空港にいらしたらいかがでしょうか?」とお勧めすると
「君までそういうことを言うのか。うちの会社の若いやつらも皆何かって言うと、すぐインターネットって言う。」とご立腹されました。
ちょうど同じときに、受託手荷物の超過料金をインターネットで支払うことができる制度もスタートしました。
これだと、空港で支払うよりも何割か安い金額で済みます。
明らかに荷物の個数や重量がオーバーしてるにもかかわらず、それを何とか免れようとして、空港のチェックインカウンターですったもんだした挙句、請求される金額は正規の超過料金。前もって支払った人の方が安いわけですから、ただでさえご立腹状態のお客様は、「同じ荷物なのに金額が違うのは、いったいどういうことだ!」とさらに火山が大噴火するわけです。
で、今はどうなっているでしょうか。
JR東日本の快速電車についているグリーン車だって、乗る前に支払いを済ませている人と、乗ってから車掌に見つかって支払う人とでは、同じ座席でも値段が違うのも、すっかり定着し、誰も文句を言わなくなりましたし、文句を言うぐらいだったら普通車へどうぞと周りのお客様から白い目で見られるほどです。
コンビニは近くにあるからついつい立ち寄ってしまいます。
それも、こちらの都合がよい時間にいつでも開いているわけですから、そこに値段の安さを求める人はいませんし、値段が安いものがほしければ、スーパーマーケットの開いているいる時間帯に、スーパーマーケットに行って買えばよいわけで、けっきょくそういうことをしないですむからコンビニなわけです。
航空機の同じ座席やホテルの同じ部屋でも、前売りで買えば買うほど安く買えるし、日によって値段が違うなんてこともあたりまえなわけで、そんなことに文句を言う人はいなくなりました。
これはどういうことかというと、極論を言えば、時間が経てば人間が入れ替わるということです。
あたりまえだと思っていた制度も、当たり前だと思っていた人たちが卒業し、新しい制度を当たり前だと思う世代の人たちがやがて世の中の主流になる。
だいたい15年か20年すると、そうやって世の中を動かしている人たちが入れ替わるのです。
こう考えるから私はLCC(格安航空会社)に将来性があると思うわけで、これが未来を予知するということになるのではないでしょうか。
今、中国がダメだと毎日のように言われています。
でも本当に中国はダメなのでしょうか?
PM2.5という細かな物質が飛んでくる?
私が子供のころは東京の牛込柳町という交差点が自動車の排気ガスで日本で一番空気が汚れているところでした。
川崎でも四日市でも子供たちが外で遊ぶことができませんでした。
新幹線は大きな事故は起こしていませんが、J社やA社にかかわらず、飛行機が落ちるのは恒例行事でしたし、デパートやホテルが大火事になるなんてことも、そう珍しいことではありませんでした。
日本だってそういう時代があったわけですから、中国が発展するに当たって、ちょうど今、そういう時代を迎えていると考えるのが自然だと思います。
残念ながら彼らには初めての経験ですから、未来予測能力がありません。
ここは、先輩である日本が、彼らが進むべき正しい道を教えてあげるのが、日本としての責任ではないでしょうか。
世の中は毎日変わっていきます。
でも、その変化をよく見て見ると、必ず流れというものがあります。
その流れを見つけることができさえすれば、その流れの行く先に、必ず未来像が見えてくるはずです。
私は、いつもこのように考えるようにしていますから、次の時代に何が流行るか、何が受けるかということが、時々、見えることがあります。
そして、それを具現化しているのがいすみ鉄道でやっている様々なプロダクツなのです。
このところ私のところへいろいろな団体の方々が講演依頼にお見えになられます。
そういう方々が、皆様口をそろえておっしゃることは、この閉塞感をどうやったら打ち破れるかということ。
私はその度に皆様方に未来を予知する方法があるはずですよ、と申し上げることにしているのです。
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