能楽とオペラの協演 in 夷隅

昨日、いすみ市大原の大原文化センターで、いすみ鉄道主催による 「能楽とオペラの協演 in 夷隅」が行われました。
いすみ鉄道は今年、前々身の千葉県営夷隅人車軌道(大原―大多喜間 1912年12月開業)から100年を迎えます。
幾度かの困難な時代を乗り越えて、何とか廃止にならずに100年間走ってきた鉄道ですが、地元の皆様方の支えがあってこそ、ここまで続いてきたのだと思います。
だから、いすみ鉄道が主催して、何か、地元に貢献できるアカデミックなことをやりたい。
できれば、10代の若い人たちに一生の財産になるようなことをやりたい。
そう考えて、この「能楽とオペラの協演」になりました。
国吉駅観光駅長を務めてくれている栗原さんと、いすみ鉄道応援団の掛須団長に相談したところ、栗原駅長が、「私の友達にテノールのオペラ歌手がいます。彼なら協力してくれます。」と言ってくれました。
掛須団長は、「私は文化センターなど市内の施設を交渉します。」と言ってくれました。
私は、「地元佐倉市に人間国宝級の能楽師の先生がいます。とっても気さくな方で、よく一緒にお酒を飲んだりしますから、お願いしてみます。」と言いました。
早速、栗原駅長、掛須団長、オペラ歌手の村上敏明さんと私の4人で、能楽師の橋岡先生のところを訪ね、相談をしました。
橋岡先生はこころよく引き受けてくれて、注意点や、予算のことなどの打ち合わせを行い、その日のうちに日程など、すべて決めてしまいました。
これが6月初旬です。
その日は、オペラ歌手の村上さんが、橋岡先生のご自宅で美声を披露し、橋岡先生の奥様が企画していらっしゃった佐倉市内での行事に村上さんに出演してもらう話もその場で即決。(8月下旬に佐倉市民ホールで実現しました。)
その晩は4人で祝杯を挙げたのがスタートです。
実行委員は栗原駅長、掛須団長、私と、昨年鹿児島でいすみ鉄道に「ビジネスイノベーション・アワード」をいただきました日本経営士会の山田さんという方の4名のみ。
6月、7月、8月、9月と4回実行委員会を開いて、当日を迎えたわけです。
これだけの大きなイベントですから、さぞかしたくさんのメンバーかと思われるでしょうが、とにかく実行委員は4名だけ。
期間も構想からスタートして4か月ジャスト。
これがいすみ鉄道で私が実践しているスピード感を持った経営なのです。
でも、私はちょうどキハ28の導入準備があり、出張ばかり。
実際に動いたのは栗原駅長と掛須団長、経営士会の山田さん3名だけの実行委員会でした。
もちろん、その下には実務部隊がいて、応援団のメンバーや勝浦若潮高校の鈴木先生をはじめとする先生方、そしていすみ鉄道の職員も準備に奔走して昨日の講演となりました。
舞台であいさつさせていただきましたが、その時に申し上げたのは、
「能楽とオペラの協演は世界初であって、その世界初のものをいすみ鉄道が主催することで、地域の皆様方が感動していただける。これが、ローカル線と地域が一体となるということではないでしょうか。そして、地域の人たち、特に若い世代の人たちが本物に触れることで、一生の財産になってくれたら、鉄道があってよかったなあ、ということになると思います。」
オペラと能楽、一方だけでもすごいのに、それが協演するのですから、見ている方は身震いがするほど感動いたしました。
お越しいただきました皆様方、ご参加いただきました皆様方、本当にありがとうございました。
実行委員の皆様、お疲れ様でした。
さあて、次はいつにしましょうかね。

[:up:] 第一部 能楽 「鶴亀」を高校生が歌います。参加してくれたのは勝浦若潮高校、大原高校、岬高校の3校の生徒さんです。

[:up:] 第2部 オペラ 村上敏明さんの歌と共に、地元のグループ「いすみ鉄道合唱団」の皆様が一緒にステージに立ちました。

[:up:] 第3部 能楽 「高砂」 橋岡先生の舞です。


[:up:] 第4部 能楽とオペラの協演。世界初の舞台です。会場全体がものすごく厳かな雰囲気に包まれました。

[:up:] カーテンコール 私もステージに上がらせていただきました。
能楽をやっていただいた勝浦若潮高校、大原高校、岬高校の生徒さん達は、わずか3~4回の稽古にもかかわらず、完璧にこなしました。橋岡先生のご指導を録音して、各自がそれぞれに何度も何度も練習して会得したことに、橋岡先生は涙を流して感動されていました。
「次回は国立能楽堂へ行きましょう。」という橋岡先生のお言葉に、全員が「はい!」と答えていました。
彼らは未知の可能性を持っているのです。
教育というものは、それを引き出すことなのだと思います。
皆様、ありがとうございました。