何かうまいものを食べたい

大多喜駅に着いたお客様から、「近くでおいしいものを食べられるところはないでしょうか?」という質問をよく受けます。
そういうお客様は観光でいらした人たちですから、おいしいものを食べたいという気持ちはよくわかります。
大多喜は内陸の土地ですから、魚介類を食べさせるところは街中にはありませんので、お蕎麦屋さんか、とんかつ屋さんをご紹介することになります。
ところが、この間、「へえ~」と思うことがありました。
駅を降りて「何かうまいものが食べたい。」という30代ぐらいのお客様に、うちの若い社員が、「そうですね、マクドナルドならショッピングセンターの中にあるし、ガストかすき家なら歩いて行けますよ。」と教えていたのです。
そのお客さんは、「ああ、そですか。じゃあ、マクドナルドにしようかな。」と言って、道順を聞いていました。
これは、私の常識では考えられないことです。
観光地に来てうまいものといったらその土地のものを紹介するべきだというのが私の考えですが、どうも若い人たちの間ではそうではないようです。
「若い人たちはマクドナルドをうまいと思っているし、値段も分かってますから安心ですよ。そこら辺の知らない店に入ったら、どんな味のものにいくら払うのかわかりませんからね。だから、マクドナルドとかで良いんですよ。」
私の疑問に、うちの若い職員はそう言いました。
知らないうちに自分の頭の中がすっかり固定観念で固まっていることに気が付きました。
考えて見れば自分だって20代のころはお金がありませんでしたから、知らない土地で知らない店に入ることなど恐ろしくてできませんでした。
当時はコンビニとかファミレスなどありませんでしたから、うまいものといえば立ち食いソバで、駅弁は高級品でした。
そんなことをすっかり忘れて腹が出た年になった自分は、うまいものといえばその土地のものを紹介するものだと思い込んでいるわけです。
今の若い人は、雇用も厳しく、可処分所得が低い人も多いですから、いくら旅行中とはいえ、食べるものに散財できない人もいるわけで、そんな人に向かって1500円とか2000円もするメニューの地元の店を紹介するなんて、実に間が抜けているというか、罪作りなこと。
セブンイレブンやマクドナルドであれば、日本全国同じ値段で同じ味が食べられる、ということがありがたいことなのです。
いやあ、久しぶりに衝撃を受けた一瞬でした。
若い人たちから学ぶことってとてもたくさんあるのですね。
さあ、日が暮れてきました。
何かうまいものを探しに夜の街に繰り出すことにしましょうか。
といってもオジサン的には泡が出る大人の飲み物がありさえすれば、なんでもうまく感じるのですけどね。