30代の時に親戚の一人が交通事故で命を落としました。交差点での車と車の衝突事故で、相手方はゴルフ、こちらはブルーバード。相手方は軽傷でした。
私は空港勤務の時間が不規則だったこともあって、車で東関東道を通勤していましたが、その事故を契機に日本車から脱却することを考え始めました。
当時私が乗っていたのはハイエース。家内の車はサニー。
ハイエースも10万キロちかくなって「そろそろ他の車を」と考えていた時期でもあって、車好きの友人に相談すると、「信頼性では何と言ってもドイツ車だよ」、と数人から口をそろえて言われました。
ところが、ドイツ車は普通に考えると手が出ない。高くてとてもとてもの状態。
友人にドイツ車ってどのくらい長持ちするかを聞くと、ベンツに乗っていた彼は20万キロは全然問題ないよ、というのです。
20万キロといえば日本車の2倍である。価格も2倍であるけれど距離も2倍乗れれば、元は取れる。まして安全性が確保されればその分安い! そう思って一瞬喜んだものの、2倍の価格が最大の障害でした。
それでもかまわず私はドイツ車購入のシミュレーションを始めました。
そして見つけたのが中古という手段。
中古で買えば、格段に安く手に入る。走行距離5~6万キロの中古を買って20万キロ乗れれば、日本車の新車を買うよりも長く乗れるのではないか。
そう気づいて、まず、家内の車を90万円でゴルフに変えました。
女性の運転は私から見て危なっかしいし、15年目のサニーはオートマなのにエンストをするようになっていたので、右折時などに不安が残っていたから、まず、家内の車がドイツ車になったのです。
そして乗ってみて気付いたのが、この車はまっすぐ走る。右へハンドルを切ると右に曲がり、左にハンドルを切ると左に曲がる。ブレーキを踏むと停まる、ということ。
それまでドイツ車に乗っている友人たちは口を揃えてそう言っていたが、私には嫌味にしか聞こえていなかったのです。ところが、乗ってみてそれが本当だということに気づいた。
家内も最初に乗って帰ってきて、「手前に停まる車だ」と感想を漏らしたほど。
いわく、あのあたりに停めようとブレーキを踏むと、思っていた位置よりも手前に停まる。
私は高速道路通勤でしたが、100キロからブレーキを踏むと、日本車は浮き上がって踊りを踊る感覚で、ハンドルもぶれるし、不安要素が多かったものの、ゴルフの場合、ブレーキを踏んだ瞬間に4輪がしっかり路面に吸いついて、安定した減速ができる。この違いは一度乗ってみなければわからないかも。
そこで私は「よし、ベンツにしよう!」と意を決したのです。
方向性が決まると後は方法論である。これは私の特徴的な性格で、どうやったら手に入るか、ありとあらゆる方法を考え、実行に移すのです。
まず、欲しい車を決める。そして、どうやって買うかを決める。
その結果として私は会社の帰りに成田市内にあるディーラーに飛び込んだ。
「すみません、中古ありませんか?」
相手は新車を販売するディーラー。そのディーラーに中古はないかと聞くのであるから、お店に入って看板にない商品、メニューにない商品を注文するのと同じであるが、私は、
「新車を買う人が下取りに出す車があるはずだ。」
「その下取り車はこのディーラーで新車として販売し、ずっと整備を見てきた車に違いない」
と思い、ディーラーの門をたたいたのである。当時、私が欲しかったEクラスのステーションワゴンは800万円。私の予算はその半額以下の300万円でした。
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