プレゼンの資料作りでハードディスクに保存してある写真を見ていたら、台湾の写真がたくさん出てきました。
もう20年以上前になりますが、あるご縁をいただいて私は台湾国鉄の前面展望DVDを作らせてもらうことになりました。
当時の台湾の国鉄は日本の国鉄の雰囲気を各所に残していて、まぁ、日本時代に作られた鉄道ですし、線路の幅もJRと同じ1067と来れば、当然車両の企画も1両20mが標準です。
ホームの高さも同じであれば、改札口を入って右か左に跨線橋があるのも同じ。
私は当時40そこそこでしたが、そういう台湾国鉄の姿に魅了されて、「これは絶対に今のうちに記録しておかなければならない。」と、台湾通いが始まりました。
まだ当時は男の人が台湾へ行くというと、なんだかあまりイメージがよくない時代だったように記憶していますが、何十年も付き合っているガールフレンドは「行ってらっしゃい」と快く送り出してくれたのは、今思えば何だったのか。
とは言え、ありがたいものでした。

▲地表駅時代の高雄駅に到着した「自強号」と私。 44歳。
さて、とりあえず台湾国鉄で台湾全土を一周してみようと思った私は(実は30代の航空会社時代に仕事で台湾へ行ったことは2度ほどありましたが、空港だけで列車には乗っていなかったのです。)、高尾に着いた後、台湾南部の屏東県へ向かいまして、枋寮という駅で我が目を疑うような車両に出合いました。



今から20年以上前とは言え、すでに日本のJRからはこの手の客車列車は姿を消していて、私は夢中になってその後何度も枋寮に通うことになったのです。

で、まぁ、こんなDVDを作るようになったのですが、
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その後、いすみ鉄道へ行ってから、このご縁を大切にして姉妹鉄道締結をすることになりました。


これには地元の皆様方も大喜びで、大挙して台北の国鉄本社を訪ねて姉妹鉄道締結式に出席してくれました。
もちろん皆さん自腹でしたよ。

でね、その時、私は当時の台湾国鉄(台湾鉄路管理局)の周局長さん(私の向かって右隣の方)に申し上げたのです。
「あの、枋寮で走っている青い客車は絶対に廃車にしてはダメですよ。大切に保存してください。」と。
当時の台湾は電化、複線化が急ピッチで進められている時でした。
私は直感で、「これは危ない」と思ったのです。
聞くところによると、台湾では国鉄の普通運賃に冷房料金が含まれているのです。
つまり、熱い国では冷房は有料サービスということなのですが、旧型客車が残っている南部地域は所得が低い地域なので、できるだけ安い移動手段を確保するため、冷房ナシの車両をあえて投入しているとのことでした。
確かに昔の台湾国鉄の時刻表には列車の所に「冷気」と書かれていたように記憶しています。
でも、私はこの客車は大変貴重であり、日本人の皆様にも紹介したいと考えまして、かれこれ10回以上、日本から台湾へお客様をお連れする「台湾鉄道三昧の旅」を企画して、みんなで枋寮へ行って旧型客車に乗る旅を繰り返しました。




「専車」と書かれているのは貸切という意味です。
皆さん大汗を書きながらもご満悦です。
実はこの台湾の客車は今、大井川鐵道で動態保存しているナショナルトラストのスハフ43と同じデザインと言いますか、今でいうライセンス生産のような形で台湾で作られたものなのです。
「こんな冷房のない客車のどこが良いんですか?」
最初のうちは怪訝な顔をしていた台湾国鉄の幹部たちでしたが、10回以上もツアーをやっていると日本の鉄道雑誌も台湾特集を組むようになり、そのうち台湾国内でもレトロブームが起きてこの列車が大人気となりました。
そして、今、この冷房のない、ドアも開けっ放しの列車が「観光列車」として予約が取れないほどの人気なのです。
笑っちゃいますよね。

「藍皮解憂号」(台湾の旅行会社 KKdayのWEBサイトより)
海沿いを走るレトロ観光列車「藍皮解憂号(Breezy Blue)」乗車券セット 弁当+中国語の案内付(台湾) – KKday
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乗車料金はお弁当付きで3980円です。
暑い台湾で、冷房のない客車列車がお弁当付きで3980円。
ちなみに台湾国鉄では駅弁は80元ぐらいで買えます。
日本円で400円ぐらいです。
枋寮ー台東間は冷房付きの普通電車で今1000円ぐらいでしょうか。
弁当付きとは言え4倍です。
私は、それが物の価値だと思います。
思えば20年も前に、「この車両は観光用に残しましょう。」と申し上げた時には、「冷房のない古い車用は国鉄としては恥ずかしいです。」と幹部の方は言われていましたが、上を目指していた時代はその価値に気づかなかったのでしょうね。
都会人がわざわざ田舎の町に何を求めてやってくるのか。
この辺りにヒントがありそうです。
とは言え、さすがにトーマスの列車で冷房ナシは厳しいですから、この夏はトーマスにも冷房車が入ります。
2年前に就任した時にお約束した冷房化ですが、やっと実現できそうです。
皆様、どうぞ安心してご旅行の計画をお立てください。
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