今日はクロザ担当でした。

今日は久しぶりにクロザ担当でした。

クロザというのは急行電車の運転席に添乗するという「商品」。

ロザというのはグリーン座席(特別座席)のことを示す鉄道用語ですが、クロザとは運転席の特別座席という意味で名付けたトキ鉄でしか通じない用語であります。

そう、今のところトキ鉄で一番の高額商品。
雪月花よりも高いのであります。

ゴールデンウィークが終わって夏までの間というのは観光需要的には谷間の時期になります。
つまり、お客様を呼ぶ努力をしなければ、黙っていたらお客様が来てくれない時期なのですから、私は「じゃあ、この日、私がクロザやりますよ。」と言って、今日設定させていただきました。

さて、急行1号の発車直前、田島塗スカ色と455系が並びました。
昭和の時代に実際にこういう並びがあったかというと、私は記憶にはありませんが、時代的には重なりますから、きっとあったかもしれません。
ということでパチリ。

地元ならではですね。
撮ろうったって、狙って撮れるもんでもありませんから。

並んだと言えばこの2人。
仕事終わって明けのナベちゃん運転士が急行の出発を見送りに来てくれました。
そして今日の急行はタケちゃん運転士さん。
この二人が並ぶのも、時々目にする光景です。

ということで、本日の患者さんです。
岐阜県からお越しいただきました。

患者さん?
そう、患者さんです。
なぜなら、ビョーキにかかってるわけですから。

455はまさに診療所か病院か?
と言った感じで、日本全国から重いビョーキの皆様がいらっしゃるのです。
ただし、治療しても治りませんけどね。

出発進行!
タケちゃん運転士の信号喚呼で発車です。

ていうか、「出発信仰!」の方がいいかもね。

有間川の手前では今日も地元のおじさんが。
いつもはカラフルなパラソルを振ってくれるんですけど、今日はこいのぼりを振って出迎えてくれました。
いつもですからね。
ありがたいことです。

ということで急行1号は市振駅に到着。
タケちゃん運転士さん、1メートルオーバーしました。

そうなんです。
タケちゃん運転士さんは実は今日が455の乗務は2回目。
ベテランの大先生についてもらって、細かいことを教えてもらいながら、停車時間中にメモを取っての運転でした。
つまり、下手なんです。

だから、1メートルオーバー。

でも、タケちゃん運転士もナベちゃん運転士も、2人とも電車も気動車も乗れるし、キハの自動ブレーキもできるし、653の特急も乗れるし、もちろん雪月花も乗れるんです。
そして、今、455・413を始めたのであります。

トキ鉄はいろいろな車両がありますから、面白い会社ですよ。
そういえばD51もあるし。
勉強は大変だと思いますが、頑張ってくださいね。

急行2号は糸魚川で雪月花と並んで、有間川ではこいのぼりのおじさんがまた出迎えてくれました。

ということで、急行3号。
今度の患者さんは東京都から来た大学生さん。

出発信仰!

明日学校なので今日は終わったらすぐ帰ります。
って、こりゃ、ビョーキというか信者だね。

急行3号はスイーツコース。
おぉ、こちらにも信者の方がいらっしゃいました。

毎度ご乗車ありがとうございます。

有間川駅のカフェ「R8」も流行ってますねえ。
田舎の駅のカフェですが、女子の力は偉大ですね。
たぶん、このお店、卓数広げないとならなくなりますよ。
使いようによってはどんな場所でも観光地になる。
つまり化けるのです。
今はそういう時代なのです。

逆に言うと、そういうことができなければどんどん落ちぶれていくだけ。
どんな有名な観光地でも「観光が公害だ」なんて言ってたら、あっという間に転落しますから、無名な所でもがんばればチャンスがあるのです。
お客様は歓迎されないところから流れてきますからね。

本日2回目の市振。
お天気も良く、海もきれいです。

急行4号が糸魚川駅に到着した時に、若手運転士のM氏が乗ってきました。

「実はHさん、今日が観光急行最後の乗務なんです。」

Hさんとはこの列車のハンドルを握るベテラン運転士さんのこと。

そう、急行1~2号でタケちゃん運転士を指導してくれていた教導運転士さんが急行3~4号を担当していたのですが、M氏としては師匠の最後の運転をぜひ見たいということでお休みの日に乗りに来たのです。

だったら、後ろの窓から見てないで横に乗って師匠の運転を見るべきでしょう。

あのね、乗務員というのは一人立ちするとなかなか他の運転士さんの運転を見ることってないんですよ。
だから、私が社長命令で「じゃあ、Mさん、あなたが運転室に添乗しなさい。」と申し上げて、クロザの立ち合いをM氏に命じました。

急行4号の糸魚川から直江津まではノンストップ。
JR時代の特急のダイヤでカッ飛ぶコースです。
M氏は教導運転士の最後の乗務から何を学んだかな?

運転業務って、奥が深いんですよ。
きちんとした手順はもちろんなんですが、例えば「ブレーキはケツで覚えろ!」という人もいますし。
つまり、頭でわかっていても体験してみるとちがうんです。
例えば新子不知トンネルは単線トンネルです。
トキ鉄のトンネルはほとんどが複線トンネルなんですが、単線トンネルの場合、時速90キロぐらいのスピードでトンネルに突っ込むと、風圧でパンタグラフが一瞬下がるんです。
すると、大きなスパークが発生する。
だから、力行でトンネルに入る場合、一瞬ノッチをオフにして力行を切って、トンネルに入ったら再ノッチを入れる。
そういう丁寧な運転なんてのは、見習い運転士じゃわかりませんが、一人立ちして何年かたった運転士なら、そういうことが理解できますからね。
今日のM氏は糸魚川-直江津間、わずか28分でしたが、ベテラン運転士さんの最後の急行乗務から、財産を分けてもらうことができたでしょうか。

ということで私は客席でのんびりしていると、後ろから声をかけられました。

「これってどうやって使うのですか?」
って英語で。

神社です。
神社に興味があるお客様が訪ねてきたのです。

「お金を入れて拝むだけだよ。」

私はそう答えました。

中国から来たという患者さんです。
ついに、海外から治療に来る場所になったんですね。

ていうか、そのビョーキ、治らないしね。

中国の彼、西日の直江津駅で運転士さんと写真を撮ってほしいと言いまして、カバンからMY帽子を取り出して、「ハイチーズ!」

MY帽子持って日本で乗り鉄してるんだ。

日本の国内はもとより、海外からもビョーキの皆様方が集まるようになってきましたね。
でも、何度も申し上げますが、「そのビョーキ、治りませんよ。」

ということで、急行2往復のクロザ対応。

う~ん、間もなく64歳の身にはこたえますね。

でも、患者さん、信者さんの笑顔を見ると、また頑張れるのであります。

なにしろ、患者は信者でしょ?

信じる者ってわかりますか?

「儲」ですから。

つまり、ビジネスとはこういうことなのであります。

本日お越しいただきました皆様、ありがとうございました。

トキ鉄に来て電車に乗って幸せになれたなら、明日からそれぞれの地域でその幸せを周りの人に分けてあげてくださいね。

出発信仰! なのであります。