犬も歩けば棒に当たる、という言葉があります。
昔は、犬がうろうろ出歩いていると野良犬と思われて棒でたたかれる、という意味だったようですが、最近では自分の足で歩けば思わぬ幸運にめぐり合うという意味として使われるようですね。
でも、外出自粛の毎日では、出歩いた先で思わぬ幸運にめぐり合うというよりも、車のナンバーを見られて「お前どこから来たんだ?」と自称警察官にコテンパンに詰問されかねません。
だから、今日のような状況下では、やたらと歩き回ると棒でたたかれるという意味に近いかもしれません。
そういう時に私のような人間は、別に何日家に閉じこもっていても、イライラすることも無ければ、へこたれることもありません。
私のようなと「ような」を付けて申し上げたのは、おそらく同じタイプの人間が100万人、とは言わなくても、10万人ぐらいは居ると確信しているからで、そういう「ような」人たちは、このご時世でも生き生きとしていらっしゃるのではないかと考えております。
では、どういう「ような」人かと申し上げると、数字しか書かれていない分厚い電話帳のような本が手元にあれば、何時間どころか、何日間でも、下手をすれば何週間でも「外出自粛」ができる特技をお持ちの方々であります。
月が変わって会社では使わなくなったものを1冊頂いてきました。
数字の羅列の書物ですが、まあ、これ1冊あれば当分平気です。
ね、そうでしょ。
同じ特技をお持ちの約10万人の皆さん。
こういう状況下になってみると、スポーツをしたり山登りをしたり、何かにつけて体を動かさなければストレスがたまってしまうような人じゃなかったことを、心から良かったと思うのです。
ましてや、これが実はメシのタネになるんですから。
私は50年ほど前からこの書物を愛読しているんですが、昔はうっかりこういうものを見ている姿を親や先生に見られると、「そんなもん見てるヒマがあったら勉強しろ!」とまるで棒で打たれるかのように怒られたものですが、最近では「お仕事」でありますので、こういうものを熱心に見ているとそれだけで「一生懸命ですね。」と評価されるようになったのも「犬も歩けば」と同じ変化を感じますが、私は昨日今日の読者ではありませんから、仕事ということでもありますし、この中からメシのタネを探すのが得意なのであります。つまり、読めば読むほど幸運が舞い込んでくるということでして、ここのところの外出自粛やテレワークの在宅など、私には逆に集中してメシのタネを見つけるのには好都合な状況でして、毎日毎日この中から、一生懸命メシのタネを探し出しているのであります。
その昔、今から11年前になりますが、いすみ鉄道に着任した時に、国吉駅のホームに立って構内を見渡した時に、私は「ここにはお金がたくさん落ちている。」と感じました。
つまり、メシのタネが落ちているのがわかったのですが、それと同じことで、この分厚い書物の中には、とにかくお金がいろいろなところに隠れているから、それを一生懸命見つけているのです。
では、どうやって見つけ出すかというと、これは職業上の秘密でありますから、そう簡単にお教えすることはできませんが、あの時に国吉駅で「ここにはお金が落ちている」と思いまして、それを隠すことなく皆様方に私なりの方法でいろいろお伝えしたつもりだったんですが、結局は私とカケス団長以外は一生懸命見つけだして拾うことをされませんでしたので、ふ~ん、と言って通り過ぎてしまう人がほとんどなのでありますが、そういう前提で少しだけヒントを申し上げるとすると。
隣りに1冊の古い時刻表を置いてみるんです。
これは千葉の家から持ってきていた1974年7月号。
湖西線が開業した時の号ですから、この2冊の間にはかれこれ46年の歳月が流れているわけでありまして、ひも解いて見ると目を見張るものがあるのです。
例えば私が大好きな室蘭本線のページ。
221とか、223とか、225とか。
1974年当時はこういう列車は皆、蒸気機関車が引いていたんですよね。
素晴らしい時代でしたね。
直江津のページを見ると、このような感じです。
すごくないですか?
特急、急行のオンパレード。
ほら、見えてきませんか?
メシのタネが。
まあ、皆さんがメシのタネに気づかれてしまいますと私の仕事が無くなりますのでこの辺りにしておきましょうね。
ところで、犬が棒で打たれる話ですが、犬は中国語で「狗」。
それが棒で打たれるから打狗と書いて「ダコウ」。
実は台湾南部の港湾都市「高雄」のことです。
昔は「打狗」と言っていたらしいのですが、日本の統治下になって同じ音で「高雄」と変更されたようです。
その後、日本が去って「高雄」を「カオシュン」と中国読みするようになりました。
と、台湾の大先輩のお爺さんから聞きました。
久しぶりに腕を通した夏用のジャケットのポケットからこんな切符が出て来ましたので、ちょっと台湾ロスになっている本日の在宅でございました。
あ~、台湾へ行きたい!
これも多分10万人ぐらい同じ気持ちでしょうね。
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