今日は調印式

今日は妙高市と東京の企業グループとの調印式が行われました。

妙高市の入村市長さん(右)と株式会社ウエルビーイングの野口社長さんです。

何の調印式かというと妙高高原駅で野口社長の株式会社ウエルビーイングさんがテレワークのオフィスを開くという計画がありまして、それを地元の妙高市が全面的にバックアップするということの調印式。
妙高高原という名前の価値をよくご理解いただいている野口社長が、トキ鉄の駅構内の空いているスペースにテレワークができるオフィスを作って運営したいというお話を妙高市の皆様方にお繋ぎしたところ、ぜひ一緒にやりたいということでとんとん拍子で話が進み、本日の調印式となりました。

実は野口さんたち企業グループとは私がトキ鉄の社長に就任する以前からのお付き合いがありまして、いすみ鉄道におけるローカル鉄道を使った地域活性化を一生懸命勉強しに来ていただいていました。そして、私がトキ鉄の社長に就任すると決まった時に、「トキめき鉄道って妙高高原ですよね。ぜひいろいろ実践させてください。」というお話になりました。

トキ鉄の社長に就任してみると、妙高高原の駅には使っていないスペースがあって、鉄道会社の事業計画の一つに「遊休土地の有効活用」というのがあるものですから、「よかったら見に来ない?」と声をかけたのが9月の下旬。
同時に妙高市さんにお話ししたところ、「それはまたとないチャンスだ!」ということになりまして、3者がタッグを組んであっという間に話がまとまり、本日の調印式となったのであります。

額はほんの小さなものですが、トキ鉄としては遊休土地の有効活用で多少なりとも収入になりますし、妙高市にとっては都会の人たちにアピールできる大きなチャンスでもあります。
テレワークというのは会社以外でも仕事ができるシステムのことですが、それならスタバでもできるでしょ? と思いますよね。
でも、そうじゃないんです。
野口さんのビジネスモデルは、この場所でお仕事をすると、ちゃんと労働時間としてカウントされるというシステム。だから、家族でリゾートに来ていてもお父さんだけお仕事するなんてことができるわけでして、だとすれば3泊4日の家族旅行が1週間に伸びるわけです。
日本人はその程度かもしれませんが、海外からやってくる人の場合は1週間の滞在が10日とか2週間、あるいは1ケ月にも伸ばすことが可能になる。なぜならばリゾート地に居ながら会社に出勤したことになるのですから、休暇を切り上げて仕事に戻る必要もない。
これが彼らが考える働き方改革、ということなのです。
そして、滞在が伸びれば地域にとってプラスになりますし、滞在が伸びれば「いいところだなあ。」と理解していただくことになります。新幹線で2時間かからないで東京に行かれる場所にあるのですから、だったら半分東京、半分妙高で生活できるね、ということにもつながる。
これが妙高市の戦略です。

そして、そういうテレワークのオフィスとして、有名観光地の駅構内は最適な場所ということなのです。

私としても大歓迎です。
なぜなら、妙高市が少しでもよくなれば地域鉄道として必ずプラスになるから。
運賃収入が伸びて会社の業績が良くなるに越したことはありませんが、そういう直接的なことではなくて、鉄道を上手に利用することで地域が良くなることが鉄道として地域のお役にたつことになるからなのです。

日本全国共通の現象ですが、昔々、駅が賑やかだった頃は町も元気だったのです。
その駅がいつの間にか閑散として、町も元気がなくなりました。
鉄道会社を預かる身としては、駅を賑やかにしたいんです。
そうすればきっと町も元気になる。
これが私の信念です。

なぜ駅なの?
それは駅は全国区だからです。
「妙高市役所の中の一部屋をテレワークの事務所にしました。」
これでは全国ニュースになりません。
「妙高高原駅がテレワークの拠点になります。」
これが全国ニュースになるということです。

これがローカル線の正しい使い方の一つです。

いすみ鉄道時代からの私の活動をずっと見てきた野口社長のグループが、こういう駅の使い方をトキ鉄で実践してみようと考えていただいたわけですから、私としては何とか形になるところまで持って行きたい。

それが本日の調印式なのであります。

これから工事に入り2月中にはお披露目となる予定です。

皆様どうぞご期待ください。