色あせない青い春

年末に週刊誌を買いました。

特大号とかで2週間分が1冊になっているもので520円。
週刊誌っていつからこんなに高くなったんだ?
そう思いましたが読みたい記事があったので、どうせ暇だしとか思いながら。

そうしたら中にポスターが入っていました。
なつかしい昭和のポスターです。

どんなポスターかって?

あなたはリンゴが好きですか?

このリンゴにピンときたあなたは間違いなく昭和の少年です。

そう、あのポスター。

最近はカラーの印刷なんて当たり前になりましたが、最初にこのリンゴを見た時には正直申し上げましてかなりの衝撃を受けたことを記憶しています。

裏面は我らのアグネスラムちゃん。
この方も一世を風靡しましたね。

現在単身赴任なもので、誰の目も気にする必要もなく、せっかくだからと40年ぶりぐらいにお部屋にポスターを貼ってみました。
昔はピンナップと言いました。
部屋の壁にポスターやグラビア写真をピンでとめるからピンナップ。
今、大女優さんとして活躍されていらっしゃる昭和の美女の皆様の中にもピンナップガールとしてデビューされた方がたくさんいらっしゃいます。

でも、私が貼ったのはラムちゃんじゃなくてその裏のリンゴの方。

昔はこんなリンゴの写真などが部屋に貼ってあったら心中穏やかではありませんでしたが、今では無の境地ですから心にさざ波もおきません。

じゃあ、なぜこんなポスターを貼ったのかというと、書いてあるんです。こんなことが。

「同じ世代を生きてきた方々の、健康と幸せな人生を、心から願っています。」

そうか、そういうことなのか。

どういうことかというと、40数年ぶりにこんなポスターが出てきたのは、出版社が権利を有していたのはもちろんだと思いますが、このご本人様も当然了解されていて、同じ時代を生きてきたオジサンたちにやさしいまなざしでメッセージを送ってくれているんですね。

たぶん私より年上だからもう65ぐらいになるんじゃないかな。
芸能界デビューすることなくいつの間にか消えてしまいましたから、どこかでふつうのおばさん、いや、おばあさんになっているのでしょうけど、ご健在でいらっしゃるということなのですね。
私はそのことにとても興味をもちまして、今どんなふうになっているのだろうかとちょっと怖いもの見たさな気分。あの百恵ちゃんだって最近はちらちら見えるようになって来ていますから、今、どうなっているか見てみたいなあ。
私としてはリンゴに隠されたその奥よりも興味があるのです。

そう思う反面、いやいや、初恋の女子に今会ったとしてもどうせ当時の彼女ではないのだから、そういうことは考えてはいけないんだ。思い出が台無しになる。大切にしまっておかないとという自分もいるわけで、おっぱいを見ても心にさざ波は起きませんが、そんなことで葛藤している自分に気づくのでありました。

そんなことを考えていて思い出したのは小海線の八ヶ岳高原号。
新宿を深夜に出てきた列車は早朝の小淵沢からC56に引かれて山を登ってきました。
機関車が通り過ぎてふと見るときれいなお姉さんがこっちを見ています。
当時の八ヶ岳、清里、野辺山はきれいなお姉さんがたくさんやってくるところ。
それも東京から夜行でやってくるところだったのですが、このリンゴのお姉さんのポスターが街中に貼られていたのはまさしくこの時代だったのです。

ということは、汽車の窓からこちらを見ているきれいなお姉さん方も皆さんとうに還暦を過ぎてすでにおばあさんの仲間入りをしているということ。
今頃どうしているかなあ?
なんて考えたりしてはいけません。
間違っても、会ってみようなどという気を起こしてはいけない。
これが世の常人の常。

ああ、逆も真なりで、リンゴのお姉さんが現役だったころカメラを持って山登りをしていた私を知っている人は今の私に会ってはいけないのであります。
なぜなら、皆様方に夢と希望をお届けするのが私のお仕事だからです。(笑)

ただただ、リンゴのお姉さんが今もどこかでご健在で、この写真をピンナップにした週刊誌が発売されることを了承して、読者のおじさんたちに温かなメッセージをくれたということに、なんだかとてもうれしい気分になりました。
これがこのピンナップを貼ってみようと思った心理でございます。

もったいぶってもしょうがないので・・・

はい、これが全景です。
教育的見地から大きなモザを掛けておきましたが、世の男性諸君、懐かしいねえ。
(たぶん55歳以上の人だけにしかわからないと思いますが。)

正月明け、仕事始めの月曜日から絶好調な私です。

今度、昭和のポスター列車を走らせてみましょうか。