観光列車フォーラム

北海道に観光列車を走らせるにはどうしたらよいか。

JR北海道の経営が傾いている中で、観光列車なんか無理じゃないの?

そういう風が吹いている今日この頃ですが、できない理由を探すのではなくて、やろうと思えばできるんですよ、という観光列車フォーラムが開催されます。

 

 

札幌会場と弟子屈会場の2か所で2日に分けて開催されますが、私は24日の弟子屈会場にパネリストとして出席させていただきます。

 

実は昨年から毎月のように北海道庁の意向で「観光列車可能性検討会議」が開かれていて、私も委員として出席させていただいておりました関係で、このところ足しげく札幌に出張していました。その会議が13日に最終回を迎え、せっかくの札幌出張も終焉となるのでありますが、その仕上げとして、24日のフォーラムに参加させていただくのであります。

 

おととい13日の会議を受けて、昨日14日の地元新聞にこんなことが書かれました。

 

 

「豪華寝台 ムリでした」

という見出しですが、最初から今はやりの豪華列車など走らせるための会議ではないのですが、マスコミってのは読者を煽る目的なのか、こういうことをやるものです。

 

読売新聞の電子版はまともな記事を書いていただいております。

 

実際のところは、昨日、地元のラジオ番組に今回の会議の座長でもある北海道大学副学長の吉見先生が出演されて、きちんと説明されていますので、以下をお読みいただきたいと思います。

 

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BCラジオ、「夕刊おがわ」から。

 

(ナレーション)「走れ!観光列車 道は、道内での観光列車の可能性を探る検討会議の報告書案の概要を公表しました。報告書案は、道外で注目されている豪華寝台列車の形態ではなく、中古車両を活用した短い区間での運行が現実的であると指摘しています」

 

 (小川AN)北海道新聞のニュースです。観光で地域の活性化を目指す北海道にとりまして、この豪華寝台列車なんていうのは、夢が膨らんでいいですよ。JR九州、豪華寝台列車ってありましたし、JR各社でも考えているようですね。

 (吉見・北大副学長)東日本と西日本、2社は考えてますね。

 (小川)どんなのですか?

 (吉見)東日本の場合はですね、電化区間は電車で走って、電化されていない区間はディーゼルみたいので走っちゃう。ディーゼルっていうのか、電線がなくても走れるようにするっていう、そういう仕組みで走れるようにした車両を作ってます。

 (小川)豪華な?

 (吉見)豪華ですねえ。これはすでにパッケージツアーを募集し始めていて、北海道まで乗り入れてくると。

 (小川)え?来るんですか?

 (吉見)最初のツアーでは登別まで来ます。

 (小川)そんなものもある。JR北海道のほうは経営が厳しいなんて言われてますけれども、でも、そういうのを起爆剤にして観光列車で経営にもプラスになってくれたらいいな、北海道の魅力もっともっとたくさんの人に知ってもらえたらいいなと思うんですけれども。そこでですね、この道内での観光列車の実現の可能性を探る、道の検討会議の座長を今日はお呼びしていますので、お話を伺おうと思います。

 (吉見)誰のことです?

 (小川)吉見宏さんです(笑)。座長、どんなアイデアがあるんですか?

 (吉見)さきほど加藤アナウンサーが読んでくれたニュースがありましたけども、そこでも出てたんですが、観光列車ね、これはぜひやろうと。この会議に関して言うと、とにかく実現可能性をね、追求しようということで、やりました。つまり、夢で終わらせないようにしようと、いうことですよね。

 (小川)すばらしい!

 (吉見)これがあったらいいね、こうしたらいいねっていうことだけを議論して、これが報告書にまとまっても、夢で終わっちゃうので、そうじゃなくて、道がやってることもあるわけですから、道にも責任を持ってもらってね、報告書で書いたときには、これだったらできるでしょっていうものを見せたい、ということなんですよ。それで、豪華寝台の話も出たんですけど

(小川)豪華寝台作りましょうよ!

 (吉見)もちろんお金がかかるっていうこともあるんですが、寝台列車の場合には機関車などで引っ張ってくることが普通多いものですから、道内は電化区間が非常に少ないので、JR東日本がやってるようなハイブリッド型みたいなものも難しいのでですね、どうしてもディーゼルになると。そうすると重たいディーゼル機関車が入れる場所が少ないんですよ

(小川)へえ~

 (吉見)ですからすべてのローカル線に入れるわけではない、ということですね。

 (小川)あ、そうなんですか。

 (吉見)行ける場所が限られちゃう。

 (小川)へえ~

 (吉見)さらにはですね、寝台列車の場合には、まあ、へんな話ですが、お手洗いとか、シャワーのための水タンクだとか、それからベッドカバーやシーツとか、こういったものの取り替えが必要になりますよね。たとえばトイレからは汚水を抜かなきゃいけないわけですが、この施設はですね、どこにでもあるわけじゃないんです。

 (小川)へえ~

 (吉見)この前まで北斗星とかトワイライトエクスプレスが走っていた札幌まで、ではですね、手稲にその設備があります。しかし全道どこにでもそういうふうな場所ってそうたくさんなくてですね、つまりトイレを抜くとかですね、そこだけでも走れる場所が決まっちゃうんですね。

 (小川)へえ~、そういうことも考えないといけないんですか!

 (吉見)ですから、JR東日本は、四季島の場合はですね、さきほど登別まで来ますって言いましたけども、登別まで来てですね、じつは、ツアーの中身では、一応寝台車なんですよ、ですが、登別まで来て、お客様をそこで下ろして、登別温泉で一泊していただいて、そして車両はどうするかというと、登別に止めておくんじゃなくて、手稲まで持ってきて、手稲で整備をする。リネンの取り替えとか、トイレとか水タンクの補充とか、そういったことを手稲でやって、もういっぺん回送で登別まで持っていって、お客様にまた乗っていただいて本州に帰っていくというですね、そういうことをやる予定なんですよ。ということでわかるように、非常に制約が大きい。かつですね、JR北海道は皆様も御存知のように、経営上厳 しいものがありましてね、まったく新しい車両を入れるとなるとそれだけでコストがかかっちゃうんですよ。ですから今できるだけ車両も統一していこうというふうにしています。そこへたとえばまったく新しい車両、違った種類の車両を入れたときにはですね、JR北海道に面倒をみてもらえないという、面倒というのはたとえば整備とかね、そういう技術がないという可能性があるんです。北海道の場合には、明らかにJR線しか走るところがないというのがありますんでね、現実にはJR北海道に整備をしていただいたり、置かせてもらったり、運行してもらったりしなきゃダメなわけですよ。そうすると、JR北海道の経営に大きく影響を与えるようなことは難しいので、JR北海道で整備ができるような車両にしたい、ということになると何かといえば、JR北海道で使っているような中古の車両を使って、やるのがまずは早い。コスト的にも安い。将来的には新車を入れようと思ってますが、JR北海道が新車を入れていくという計画をみますとね、まったくの新しい、ディーゼルハイブリッドと言われている、電気とディーゼルと合わせたような車両も計画されているんですけども、実際にそれが出てくるのは5年後以降だと思います。それを待って、この豪華列車も、となりますとね、つまり5年間空白になるわけですよ。そうではなくて、こういうふうに言ったからにはね もう来年から、それに向けて動いてほしいんですよ。こういうね、観光列車のためにね。

 (小川)じゃあ、どこを走らせるんですか?

 (吉見)これはね、いろいろあるんですが、現実にはね、道東道北方面だろうと思われます。どこだっていうルートを決定しているわけじゃなくて、道北道東のところを走らせるのがいいのではないか。一つには、観光地がけっこうあってね、そこを列車で結べる、あるいは、見て、車窓がいいところも多いのと、それから、札幌とか、新千歳空港、ほんとは行くと便利なんですが、もういま列車でいっぱいいっぱいなんですよ線路容量が。札幌駅に入るのも、新千歳空港に新しい列車を入れるのはもうできないんですよね。いっぱいいっぱいで。そういう中では、非常に難しいので、現実的には、札幌から出発とか、新千歳空港から出発ではなくて、たとえば旭川とか釧路とか、こういうところを基地にしながらですね、道東道北方面のいろんな景勝路線を走るっていうのが現実的なんじゃないかなあということですね。これだと空きもありますので、そういうことをいま念頭に置いているということです。いずれにしましてもね、いったいいくらかかるのか、まずはここからやってね、それで実績を積んだ後に、つなげていきたいと、そういうステップを考えて、とにかくやろうよと。というような意味で、今回の報告書をまとめたということですね。

 (小川)吉見さん、北海道における観光列車の経済効果、これはどうお考えになりますか?

 (吉見)これはね、一つにはもちろん観光列車だけでね、収益をある程度、少しでも上げていきたいというのはあります。そのときには鉄道会社だけではダメであって、旅行会社であるとか、そういうノウハウを持った人たちを組み合わせていかないといけないのかなということを考えています。もちろん外国人の方が容易に乗れるような予約システムなども考えなければいけないということもありますね。それによって鉄道自体の効果もありますが、加えてね、やっぱり地元を巻き込んでいきたい。地元の協力を得ながら、地元に少しでもね、いろんなプラスになるようにしていきたい。地元の活性化も含めて経済的な意味でのプラスにしたいんですね。ながまれ号という、道南いさりび鉄道を走っている観光列車がありますが、いまここではね、地元の人たちがいろんなものをですね、ホームでお売りになったりして、その地元の人たちにとってもプラスがいろんな面で出てきています。そういうような動きを全道に広げられるような列車になれればいいなあというのが一つの面ですね。

 (小川)そろばんはじきたいんですけど、そろばんは、ぽんぽんぽんと右肩上がりのような、珠の数が増えていくような…

(吉見)そんなね、これでべらぼうなそろばんをはじくっていうのは、虫がよすぎません?(笑)やっぱりね、ちょっとしたことも地元の活性化、人が来るとかね。北海道って、みんな知らないかもしれないけどものすごくいい町とか、いい場所って、たくさんあるじゃないですか。ふだん特急列車が通過してしまうようなね、わが町であっても、そこにね、観光列車に止まってもらって、地元がアピールをして、地元がいいものを教えてあげてね、それで、あ、ここもこういういい観光地なんだっていうことが新たに発見されるって、これ、ものすごくいいことだと思うんですよ。

 (小川)吉見さん、すいません、お金お金って。

 (吉見)お金好きですね(笑)

 (小川)広い目で見させていただきます。

 (吉見)広い目で儲かるようにしたいと思ってます。

 

▲▲▲ ここまで ▲▲▲ 

(以上、大熊一精さんのFaceBookページより。大熊さんは私とほぼ同年代を生きてこられた筋金入りの鉄ですので、共感していただける方もいらっしゃると思います。ぜひ、彼のブログ「熊式」もご訪問ください。)

 

というのが本当のお話です。

 

だって、考えればすぐにわかるでしょう。いすみ鉄道の社長が委員として呼ばれている会議ですから。

豪華寝台列車など初めから走らせる予定などないのです。

 

簡単に言えば、キハ40のような中古車両を譲り受けて、最初はある程度数字を出さなければなりませんから、室蘭本線の苫小牧ー岩見沢のような、札幌圏からも千歳空港利用客からも乗りやすいような路線で、列車の中は最低限の設備で、沿線の駅で地元の人たちに参加していただいて、観光列車をお目当てにいらっしゃるお客様から地元に経済を呼び起こそうという、そのための観光列車なのです。そして、一か所だけでは飽きが来るので、季節に合わせて宗谷本線や釧網本線で走らせましょう。そうすれば地域活性化にもなるし、JR北海道の利用促進にもなるでしょう。

 

ということで、北海道庁でもいすみ鉄道スタイルを認めていただいているということなのです。

 

実際にどの車両でどんな列車になるのかはこれからのようですが、北海道の中で明るい話題が見えてきて、なんだかちょっとウキウキ、ワクワクしています。

 

同じ会議に委員として参加されている鉄道写真家の矢野直美さんが、会議が終わった雪道を歩きながら

 

「鳥塚さん、もう、春ですよ。」とおっしゃられましたが、本当に北海道の鉄道に春がやってくる、そんな予感がしています。

 

どうぞご期待ください。

 

と言っても、私がやるわけではありませんけどね。(笑)