スコットランド 一安心

次の文を英語に訳しなさい。
問)あなたは英国人ですか?
中学校の英語の授業じゃありませんが、皆さんならどう訳します?
答)Are you English ?
英国は日本語ではイギリスです。
英語はイングリッシュですね。
でも、Are you English ? は 間違いです。
正しくは Are you British ? です。
(a がつくとか an だとかのレベルではありませんよ。)
England というのはグレートブリテン島の南に位置する部分で、西側はウエールズで北側はスコットランド。
だから、イングランドに人に Are you English ? と尋ねれば Yes と答えてくれますが、スコットランドやウエールズの人に尋ねたら答えは No となります。
私たちの時代には中学校ではそこまで教えてくれませんでしたが、イギリス人はBritish で、英国という国は United Kingdom 。 略してUKなのです。
私はそういう国の会社に長年勤めていましたので、一般の日本人よりも少しだけイギリス人のものの考え方や、イングランドとスコットランドの関係などについて知っていると思いますが、そんな私が今回心配していたのがスコットランドの独立を問う住民投票です。
なぜかというと、イングランドとスコットランドは長年わだかまりのようなものが一部の人たちにあって、かなり根が深いと感じていたからなんです。
日本では同じ国の中で、民族の違いがあるなんて誰も思ってませんし、日本人は単一民族だとだれもが信じていますが、そういう点で日本人はノー天気なんですね。
例えば、今の総理大臣は山口県が選挙区ですが、福島県に対して特別な感情を持っているとは思えませんし、福島県の人だって、総理大臣は山口県の人間だから許せないなどという人はいないわけです。
でも、150年前の日本では、そういう地域がたくさんあって、今でいう県と県とが戦争をしていたのも事実なんですね。
イギリスが根が深いというのは、かれこれ300年もの間、こういうそういうことを引きずってきているからで、差別じゃないんだけど、スコットランド地方の意見が中央に届きにくい構造になっているんです。
そして、皆さんはイギリスというと保守的というイメージがあると思いますが、実はイギリスは革新的で、「何でもあり」の国ですから、今回の投票でスコットランドは本当に独立してしまうのではないかと私は危惧していたんですね。
イギリス人が革新的だというと理解できない人がいるかもしれませんが、ファッションも音楽も昔からロンドンで生まれてヨーロッパやアメリカで広まっていますし、試験管ベビーだって狂牛病だってみんなイギリスから始まっているんです。
さて、今回の国民投票で私が一番驚いたのはその85%という投票率。
日本ならあり得ませんよね。
日本でもいろいろなグループが住民投票を要求している地域があって、実際に投票が行われたりしていますが、そういう地域でもせいぜい投票率は3割台。それを考えると85%の投票率というのは、いかに国民の関心が高いかを示すだけじゃなくて、自分たちが参加している政治が行われているということだと思います。
日本人は、特に退職された年代の方々は何かにつけて政治が悪いと口に出しますが、「そういうあなたたちがこの国をこのようにしてしまったんでしょう。」と私は思いますし、だいたい雨が降ると選挙へ行かないような国民に政治を語る資格などないわけですから、やはりイギリスというのは民主主義発祥の地なんだと、今回あらためて感じているのです。
そして、スコットランドの人たちのすごいところは、負けても勝っても仲間であるということで、たぶん明日から何事もなかったかのように毎日の生活が続いていくのでしょうけれど、よく考えてみたら、キャメロン首相からいろいろスコットランドを優遇する政策を勝ち取ったわけですから、独立云々を問うていながら、実はしっかり自分たちの利益をGETしているんですね。
スコットランドの将来に栄光あれ!