本日のいすみ鉄道

今日は行き帰りも渋滞で、大原を21時前に出て、たった今帰り着きました。

この写真は本日のいすみ鉄道です。
黄金色の稲穂が風にそよぐ中を、キハ52が1両、ゴトンゴトンと走りすぎていきました。
いすみ鉄道沿線は、富士山が見えるわけでもなく、美しい渓流や海岸線を走るわけでもなく、スイッチバックやループ線があるわけでもなく、何の変哲もない「ここには何もないがあります。」の景色が広がるだけなんですが、私は、こういう風景ってとてもすてきだと思います。
首(こうべ)を垂れる稲穂は日本の原風景だと思います。
そういう美しい景色の中を、昔ながらのディーゼルカーがゆっくり走り抜けていく。
いすみ鉄道は、そういうローカル線です。
だから、無理して背伸びをして、自分を立派に見せることもしなければ、やたらに卑屈になって自分を安売りすることもしません。
こういう日本の原風景にご理解いただける皆様方にいらしていただければそれでよいと思います。
なにしろ、1両のディーゼルカーですから、この列車をいくら満員にしたところで、鉄道会社の経営として黒字になるわけではないからです。
でも、満員にしても黒字にならないからといって、じゃあこの鉄道は必要ないのか、というと、私はやっぱり必要だと思うのです。
なぜなら、いすみ鉄道沿線はとてもすてきなところで、その素敵な景色が、ローカル線が走ることによってさらに引き立って、その良さが都会の人たちに理解していただけるから。
そして、いすみ鉄道沿線を、都会の人たちが「好きな町」として見てくれるようになって、いすみ鉄道沿線を故郷のように感じてくれる人が増えるからです。
こういうローカル線に親子や友人同士で乗って、思い出を作ってくれて、そういう子どもたちが10年後、20年後に大人になった時、こういう景色を見て「良いところだなあ。」とか、「いすみは思い出の場所だ。」と思ってくれる人が一人でも増えれば、私は、ローカル線は地域のためになると思うし、将来の日本のためになると思います。
だから、大赤字じゃ困るけど、多少の赤字なら、何とか運営していくべきだと思うのです。
この景色から、線路が消えて、列車が消えたら、単なる田んぼになってしまいますからね。
そうしたら、田舎の風景は引き立たなくなるし、思い出を作ることはできなくなるんです。
だから、日本の田舎にはローカル線が必要なんです。
今日は、急行料金が必要なこのキハ52の単行列車が、2往復とも各列車30~40名のお客様にご乗車いただきました。
暑い中お越しいただきました皆様、ありがとうございました。
ローカル線にとって、特にイベントがあるわけでもない時に、1両の列車に30人ご乗車いただくということは、ものすごいことなんですが、それでも黒字にはならないんです。(笑)
でも、私は、キハ52が走っていれば、皆さんが笑顔になれるし、元気になれると思います。
だから、この夏は平日でもこのキハを走らせているんです。
そろそろ稲刈りが始まっています。
写真を撮りに来る皆さんは、農家の人の邪魔にならないように、農耕車の妨害になるような駐車などしないように注意してください。
また、当然ですが、ゴミも持ち帰ってくださいね。
人が捨てたゴミでも、落ちていたら拾うこと。
素敵な風景はみんなで守りましょう。
今日は終戦記念日。
黄金色に輝く稲穂を今年も見ることができて、今の時代に生きるありがたさを噛みしめています。
明日も元気に頑張りましょう。