ビジネス・イノベーション・アワード 大賞受賞

15日(土)に鹿児島の城山観光ホテルで行われました社団法人日本経営士会のビジネス・イノベーション・アワードの授賞式に出席してまいりました。
いすみ鉄道は2011年の大賞に選ばれました。
日本経営士会というのは日本的経営方式で地域・経済を発展させる経営コンサルタント、経営者の集まりで、60年の歴史を持つ全国組織です。
この日本経営士会の千葉支部の皆様方が、私がいすみ鉄道社長に就任した当初から、ご声援をいただいており、今回の大賞の受賞となりました。
ご支援をいただきました皆様、ありがとうございました。


写真は、日本経営士会の佐藤敬夫会長
実は、佐藤会長はかつて運輸政務次官を経験された方で、私がご挨拶を申し上げると
「いやあ、お会いしたかったんです。ローカル線は、私が運輸政務次官を務めていた時に、どうやったら廃止できるかが大きな課題だったのです。もちろんいすみ鉄道(木原線)もその中に入っていた。そのローカル線が、まだ走っていて、それがこんなに活性化しているのを見て、本当にうれしいんです。」
と、こうおっしゃられました。
私は「ここにもローカル線の死刑執行人がいたか。」とは言わず(笑)、今回の受賞と、この不思議なご縁にお礼と感謝の気持ちを述べて、
「今、ローカル線をどう活用するかが地方の活性化です。これからの時代、地域格差というのは、例えばいすみ鉄道沿線のように、ローカル線を使うなど、元気で前向きなところと、廃止したり、何かする元気がないところとで大きな差ができます。ですから、ローカル線は大切なツールなのです。」とこう申し上げました。
佐藤会長は、
・いすみ鉄道が観光鉄道化をして地域に人を呼び込んでいること。
・物販売り上げで運賃収入を補てんしていること。
・ムーミン列車で地域の自然を演出していること。
・国鉄形ディーゼルカーで昭和の汽車旅を楽しめること。
・訓練費用700万円を負担して自分で運転士になる制度で夢がかなえられること。
などなど、いすみ鉄道が行っている事業をすべてご存知でした。
私はこのように考えています。
・これからの時代、国が、68歳、70歳まで労働者を働かせようとしているのだから、それをバックアップする制度が必ず必要である。
・学校を出て就職をした会社に、そのまま68歳、70歳まで勤めることは、労働市場的に健全ではなく、労働者にとっても、雇用する側にとっても現実的ではない。
・日本人は雇用が硬直化しているため(雇用流動性が低いため)、職業を通じで自己実現できるチャンスが少ない。(その人が何をやりたいかとは別に、入った会社、配属された先でその人の人生が決まってしまう。)
・60歳(あるいは65歳)で定年になってからでは、再就職の機会が少ない。(思っているような職種がない)
こういう現状があるから、
・40代、50代のある時点で第2の人生をスタートする。
・その第2の人生は、職業を通じて自己実現できるものがふさわしい。
・そして、自分の今までの知識や経験を生かせるものであって、
・地域社会に貢献できるものであることが望ましい。
このように考えているのです。
(人に言うだけでなく、実際に私もそのように実践しています。)
短絡的な人は、「夢をかなえましょう、そのために700万円」とお金儲けのようにしかとらえられないと思いますが、
ローカル線を通じて、鉄道を通じて、自己実現ができるのが、これからのローカル線の一つの在り方であって、そのような人たちがたくさん集まってくることによって、そのローカル線や地域が活性化する。
そして、日本が元気になっていくと考えているのです。
今までの人たちにとっての移住は、60歳でリタイアしてから、生活の拠点を地方に移すことが主流でした。
そのような移住は、地方に高齢者を移すだけで、医療費や介護等で地方の財政が圧迫されるだけで、非生産人口が増えるだけです。
これからの時代は、40代、50代のある時点で、地方に行って、職業を通じて自己実現することで、その地域に貢献し、20年ぐらい思いっきりやりたかったことをやって年金をもらえる70歳ぐらいになったら、あとは若いころ住んでいた東京などの都市部に戻って静かに余生を過ごすのが、一つの形ではないかと思います。
皆さん、働き盛りのころは、「老後は地方でのんびり田舎暮らし」と夢を描くと思います。
でも、田舎暮らしはある程度体力が必要です。
自動車の運転がおっくうになる年齢になったら、私は都会の方が生活が便利だと思います。
ですから、50歳から70歳ぐらいまで田舎に移住して、その後は都会でのんびり老後の生活を送るのが、これからの移住の在り方だと思います。
そのぐらいの準備ができるようであれば、年金が68歳になろうが、70歳になろうが平気なのです。
だから、国も、そういうシステムを作らなければ、ただ単に年金支給開始年齢を引き上げるというだけでは、国民の理解を得られないのです。
いすみ鉄道は、そのためのモデルケースなのです。
と、このように考えているということを、佐藤会長にお話しさせていただきました。
私は外国の会社で長い間働いていました。
ですから、日本の鉄道も、当然のように外国の鉄道と比べて見ています。
制度そのものを比べてみた場合、日本ではまだまだ古い考え方にとらわれすぎるところがあり、それが原因で、鉄道業そのものが衰退しているということがよくわかります。
根本になっている考え方そのものが、大きく異なるのです。
何しろ、ヨーロッパへ行けば、トラム(市内電車)の運転士のような職業は、年金生活者がやる代表的な職業なのですから。
これからの時代、ローカル線の運転士だって、50歳から始める仕事だと、私は考えているのです。
さてさて、我こそはと思う皆様方、まもなく自社養成運転士訓練生第3期生の募集を開始します。
ローカル線の運転士という職業を通じて、今まで培ってきた経験を活かして、地域貢献することで、自己実現してみませんか。
日本中のローカル線がこの制度を始めれば、地方から、ローカル線から日本は活性化すると、私は確信しています。