キハ52はいつまで走りますか?  その2

基本的には土日祝日、年末年始は不定期と申し上げましたが、そうではなくて、「いつまで走りますか?」 という質問を受けることがあります。
ムーミン列車はいつまで走りますか? という質問でしたら、契約期間の問題ですから、いついつまで、と言えるのですが。
「あなた、いつまで生きていますか?」
こう聞かれてもふつうの人は答えられないでしょう。
それと同じ。
キハ52も、できるだけ長く走らせたいとは思うけれど、いつまで元気でいてくれるかは誰もわかりません。
何しろ1両しかないですし、もう代わりの車両はありませんから。
先日もラジエターのサーモ関係の機器が突然壊れて、当分の間運休になるかもしれないという状況になりましたが、整備を請け負ってくれている川崎の明希工業さんのお力で何とか事なきを得たところです。
とにかく壊れたら部品の手配にどれぐらいかかるか、全くわからない状況です。
地域の観光資源として、写真撮影も含めて、毎週毎週連続してこれだけたくさんの皆さまにいらしていただけるような観光商品は、現時点ではこの地域にはほかには見当たりません。
その貴重な観光資源であるキハ52が、たった1両しかなく、その1両を維持するための部品も満足にないために、壊れたらいつ走れなくなるかわからないというのでは、はなはだ心もとない話ですが、それは交通政策ではなく観光政策の話であって、いすみ鉄道としては交通政策の一環として地域の活性化につなげようと考えていますので、どこかのお金持ちの方が資金を出してくれない限り、これ以上キハ52にお金をつぎ込むことは不可能な状況にあります。
いずれにしても、走っていてくれると考えるだけで、ある程度満足して腰が重くなるのが鉄道ファンの悪い癖で、「そのうち行こう。」とか「いつか行こう」と思っているうちに、廃止されたり廃車になってしまうことは、SL時代から私も何度も経験していますから、「いつか行こう」と考えていらっしゃる方は、その「いつか」に日付を入れることをお勧めいたします。
私が、「写真を撮るだけでもいいですからいらしてください。」と申し上げているのはそのためで、いつまでキハ52は走ることができるかは分からないけれど、皆さんが写真やビデオに撮ってくれれば、「晩年は房総で余生を送ったキハ52」としての記録を後世に伝えることができると思うからです。
ラジエターの水回り関係が、この冬どうなるかが当面頭が痛いところです。
予算があればJRのSLのように完全整備ができるのでしょうが、いすみ鉄道では無理な話ですから、皆さまも、「いつまで走りますか?」と質問する前に、「とにかくいらしてくださいね。」と、早いうちに来ることをお勧めいたします。
日本の原風景が多く残る夷隅地域は秋を迎えています。
キハ52にとって最後の秋になるかもしれないぐらいのつもりで、私は毎週末、キハ52に乗務しています。
自分自身がSL時代からさんざん経験してきた「心残り」にならないように。
そう思って、できるだけ多く、キハ52の揺れに身を任せることにしているのです。
※10月の増発運転日につきましては明日のブログでお知らせいたします。