田んぼの中のカメラマン

アテンダントとしてキハ52に乗務していると、たくさんのカメラマンが待ち構えています。
皆さん、とても熱心。
時には田んぼのあぜ道に寝そべっている人も。
「あっ、人が倒れている!」
最初はそう思いました。
キハ52がやってきて、感極まってプッツンしてしまったのかと。
でも、列車が通り過ぎると、サッと起き上って、こっちに向かってシャッターを切っています。
「ああ、生きてたんだ」
そう思って、もう一人の可愛い方のアテンダントさんが手を振ると、カメラマンも手を振りかえしてくれます。
きっと、あぜ道に咲いていたタンポポか何かを手前に配して、キハ52の写真を撮っていたのでしょう。
そういうシーンは、ふだんこの景色を見慣れている地元の人は、まず気づくことがないシーンだと思います。

写真は、五月晴れの第二五之町踏切。
何てことない田んぼの中のこの小さな踏切が、今、全国的に有名な撮影スポットなのです。
これが私が提唱する新しい観光。
いすみ鉄道は皆様に素材を提供するだけ。
その素材である鉄道に、乗って楽しむのもよし、見て楽しむのもよし。
すぐには来れなくても、いつか行ってみたいと思って希望に胸を膨らませるのもよし。
皆様、自分なりの楽しみ方で、いすみ鉄道という素材をご利用ください。
どうです?
なかなか太っ腹でしょ!?
鉄道運賃収入に直結しなくてもいいじゃないですか。
私はそう思います。
こうした、日本の原風景ともいえるいすみ鉄道沿線の水田や里山の風景の中に、
キハ52のようなディーゼルカーを置いてみたかったんです。
今まで、こんなことをいう鉄道会社がどうしてなかったのか。
私はとても不思議なのです。