最近の若者ときたら・・・・

最近の若い者は・・・・
という言葉は、古代の遺跡の壁画にも書かれているという話を聞いたことがあります。
それだけ、昔から、おじさんたちは若者たちの行動に眉を顰(ひそ)めていたのだということですが、私もその眉を顰める側の年齢に達して、この頃つくづく思います。
最近の若い者たちは、なかなか偉い! 賢い!と思うのです。
1990年代の初頭にバブルが崩壊して、「失われた10年」といわれる長期間の不景気がありましたが、気がつくとすでに2010年。10年どころか「失われた20年」と言えるほど、不景気が続いているようです。
ところが、今の世の中を不景気だと思っているのはおじさんたち以上の年齢の人で、若者はと言えば、それが普通になっていて、うまくこの不景気の時代に乗っているように私には見えます。
それもそのはず、20年も不景気が続けば、若者にとってみれば、物心ついたときからずっと不景気なわけで、その中でうまく生きていくのが普通のことになっているのだと思います。
お金がないというのは当たり前のことで、安い洋服を上手に着こなし、遠くへ行くこともせず、品質本位の買い物をして、お金があるとか無いとかにかかわらず、実に楽しそうに生きている。
行列があったらとりあえず並んでみて、2~3時間並んでいることを楽しむことができる世代。それでいて悲壮感がなく、なかなか周囲とも迎合し、うまくやっているように見えるのです。
振り返って私の青春時代。
1970年代は右肩上がりの高度経済成長期。
車はハコスカとかスカG、バイクならZ2。その次に目指すはBMW。
夏はサーフィン、冬はスキー。そして毎日テニス。
海に行かなくてもサーフボード持って都心をうろうろ。
用もないのに女の子は皆テニスラケット小脇に抱えて学生街を闊歩してた。
遠くへ出かけることにあこがれて、学生時代は放浪の旅。長旅に出ている時代は良かったけれど、社会人になって旅に出られなくなると逆にそれがストレスになる。
何となくクリスタルなんていう本を読んで、
着るものは、良くわからないけどブランドを買っておけば間違いないと思っていたし、安物はそれだけで恥ずかしいと思ってた。
それが今の45~55歳ぐらいの人たちの青春時代。
そういう年代の人たちは、今でも物にこだわらないと生きていけないのか、ワインに凝ったり、自然食やったり。
大人の趣味の雑誌が山ほど出ているのがその証拠。
その年齢の人はまだ良いとして、かわいそうなのはその下の現在40歳前後の人たち。
そういう先輩たちをカッコいいと思って大きくなったものの、すでに時代はバブル崩壊。
いざ自分たちがやろうとしても思うようにできなくなっているジレンマ。
先輩たちは、とりあえず何でも手に入る良い時代を過ごすことができたけれど、自分たちは思うようにできない時代になっちゃった。
でも、持った価値観は先輩たちから受け継いでいるので、なかなかその価値観を変えることができず。つまり、ブランド品を買いたくても買えない。海外旅行に行きたくても行けない。そういう行き場のない人生の物差しを持っているのが、アラフォーと呼ばれる世代。
金銭感覚がマヒして、無人くんやお自動さんにお世話になっている人も多い世代です。
それに比べたら、20代から30代前半の人たちは、しっかり現実に足を付けた生活をしていると思いますねえ。
車? 特に必要ないけど、買うとしたらKとかエコカー。
海外旅行? 行きたい人は行けばいいし。
マンション? 無理しなくても良いんじゃない。
私たちの価値観から見ると、上昇志向がない! 探究心がない!と思うけれど、良く見ると、彼らは偉いですね。
今の若い人たちはお金がないのが普通のことだから、悲壮感がない。
私の青春時代では、彼女とデートするとしたら、できるだけ良い服を着て、雑誌で紹介された有名な高級レストランを予約して、プレゼントは勿論ブランド品。(それでも振られるのが当たり前) 
コンビニでサンドイッチを買って、公園のベンチでおしゃべりしながら食べようか、と誘ったら、絶対に YES と言ってもらえなかったけど、今の若い人たちは、何の悲壮感もなく、お金がなくても楽しんでいる。
おじさんから見ると、とても優れた生き物に見えるのです。
だから若い人たちにお願いがあります。
40~50代のおじさん、おばさんたちに、物事の本質を見るコツを教えてあげてください。
お金がなくても楽しめるのだということを教えてあげてください。
いすみ鉄道は、「何もないがある」ところです。
それがわかるのは、意外と若い人たちだと思います。
おじさんやおばさんは、お金がないというは不幸だと思っていますから、「何もないがあります」なんてことを言ったところで本質を理解できる人は少ないのです。
「何もないがある」
私はこれを理解することが、悲壮感なく、お金がなくても楽しく生きていくコツだと考えています。
日本人は幸せを測る物差しを持ち変えなければいけない時期に来ています。
おじさんやおばさんには、どうして良いかわからない人がたくさんいます。
若い人たちが率先して新しい物差しの使い方を教えてあげて欲しいと思います。
若者たち! どうぞ、どうか、よろしく。