昨日、いすみ鉄道の自社養成訓練生募集について発表させていただきました。
詳しい内容は募集要項をご覧いただくこととして、社長としての、この訓練生募集プランのコンセプトをお伝えさせていただきたいと思います。
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かつて、鉄道事業は篤志家と呼ばれる方々が資産を投げ打ってでも将来を見据えて建設資金を出したものです。
いすみ鉄道のお隣の小湊鉄道も安田善次郎の出資を受けて建設されました。
しかしながら今の日本ではそのような企業や篤志家はなかなか見当たりません。そこで、元気な個人の方々に、ご協力いただこうとするものです。
つまり、会社の存続の一助となる「商品プラン」とお考えいただきたいと思います。
ただし、訓練生と言っても、免許を取得させるだけが目的ではなく、免許取得後、継続していすみ鉄道で正規の運転士として乗務していただくことを目的としています。
広く社会人から募集するのですから、勤務日も毎日乗務できるフルタイムの人もいれば、週1度程度の乗務の方も出てくると思います。その点はフレキシブルに対応したいと考えております。(訓練期間中は会社のプランに従って出勤していただきます。)
いすみ鉄道としましては、このプランで外からの資金を呼び込み、会社に体力をつけ、他の会社と同様に新卒者を採用して養成できる会社に1日も早くなるために必要なプランです。
訓練期間中、または正式乗務開始後もいすみ鉄道の乗務を最優先に行っていただく必要がありますので、応募者は、経済的にも時間的にも生活に余裕がある方となります。(例:副業を禁止している会社にお勤めの方などは対象となりません)
今の日本の鉄道では運転士になるためには鉄道会社に入るのが条件です。日本の鉄道会社は一般的に高卒以上20才代までしか人員を採用しません。
たまたま20歳前後の時期に鉄道会社での募集がなかったなど、世の中の事情で他の仕事に就職して社会で活躍を始めてしまうと、日本ではもう、運転士になるチャンスはありません。
私の個人的なことになりますが、昭和50年代、国鉄に入社して新幹線の運転士になるのが夢でした。ところが、当時、国鉄は赤字と合理化、ストライキ、人員削減と、さまざまな問題点を抱え、数年間にわたり新卒採用を停止した時代がありました。
私は、運転士になる夢はかないませんでしたが、それが現在でもパシナ倶楽部の前面展望ビデオ(運転室展望ビデオ)を制作する原動力になっていると思います。
このプランは日本では初めてのことになりますので、運転士になりたいという社会人の皆様にはBIG CHANCEになると思います。
鉄道好きの私が社長になることができたことへの恩返しとして、運転士になりたい希望をお持ちの皆様へ、その道を切り開いたとお考えください。
【発想の原点】
私は航空会社出身の経営者です。航空会社は10数年前から国際的に大変厳しい状況に置かれています。会社は、可能な限り、ありとあらゆることをやってきました。
キャビンクルーも10年ほど前からアルバイトやパートタイマーを採用してきました。
保安要員を正規雇用者にしないということについては1990年代初頭にはいろいろな議論がありました。
当時私は労働組合側の執行役員として、コストダウンを最優先させる会社側と団体交渉を通じてさまざまな協議を重ねてまいりました。
最終的に私が勤務していた会社では、アルバイト(契約)のクルーでも最低保証賃金制度を設定することで決着し、アルバイトクルーがたくさん入社してきました。
そうした経緯の中で予期しなかったのは、アルバイトのクルーの方々がとても一生懸命働くこと。そして、正社員と能力的格差が全くないことでした。
彼らは「自分がクルーになれた喜び」「たとえアルバイトでもクルーとして採用してくれたことに対する感謝」で、正社員への転換制度がないにもかかわらず、とても頼もしい保安要員として、また、素晴らしい接客をしている姿が、今でも印象に残っています。
つまり、この経験から、学んだことは、賃金などを含めた待遇というのは会社と個人との契約の範囲の話で、それによって直接安全性が脅かされることへの相関関係は見当たらないということです。
ご存じない方も多いかも知れませんが、パイロットも派遣社員がたくさんいます。
パイロットを派遣する会社は国外にあります。
日本にいる外人パイロットなどは、こういった会社から契約で派遣されてきている人がほとんどですが、だからといって雇用関係と安全性は直接結び付くものではなく、外人パイロットには、特に日本の局地的な気象の特性(夏の午後、茨城県上空では雷雲が急激に発達し、羽田への進入経路の妨げになるなどといったこと)など、日本独特の環境を訓練で熟知させることにより、現在まで安全な運航が確立されています。
【大事なのは好きなことに打ち込む姿勢】
繰り返しになりますが、このプランは免許を取らせることが目的ではありません。免許取得後、継続して勤務していただくことが条件となります。
好きなことを仕事にすること。それに一生懸命打ち込むこと。そういう過程で「鉄道マン」を育てます。列車を安全に運行するためには、ただ単に免許を取っただけで列車の運転ができるということではなく、円熟した人間性と、鉄道マンとしての考え方、計画性、行動力など、さまざまな能力が求められます。
今まで社会で活躍してきた経験を、いすみ鉄道の乗務員として活かし、さらに広く地域社会に貢献することの尊さを分かち合いませんか。
給料が高いとか、条件が良いとか、そういう段階を卒業された方に来ていただきたいと思います。
いすみ鉄道のような廃止されるかもしれない瀬戸際を歩んでいる鉄道は、労働条件や勤務条件で職員を募ることはできません。でも、地域や社会に貢献するというレベルでは、一般の会社に勤めるより、ずっとやりがいがあります。そういう状況の中で、この世に生を受けたありがたさや、今までの人生に感謝して、これから一緒に皆様方の力を使い、いすみ鉄道で、鉄道の存続という使命を担ってみませんか。
【3月21日の有料説明会について】
興味のある方はどなたでも結構です。
話を聞いてみるだけでも、価値があると思います。
社長と鉄道部長とひざを突き合わせ、2時間たっぷりお話ができるチャンスです。
説明会には「有料」というハードルを設けましたが、興味のある方は冷やかし半分でも結構ですので(料金を払うのですから冷やかしではないと思いますが)、いすみ鉄道がどういう方向性で進もうとしているのか、社長が何を考えているのか、本音のお話を聞きにいらっしゃいませんか?
説明会のお申込みはWEB SHOPからになります。
5250円いただきますが、お弁当とお土産を含めて、それだけでも7~8000円分の価値がありますから、どうぞ皆様、お気軽にお申し込みください。
http://rail.shop-pro.jp/?pid=19403221
なお、第2回の説明会は開くかどうか現時点では未定です。
いすみ鉄道をよろしくお願い申し上げます。
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