大多喜駅のクリスマスツリー

大多喜駅は今、ムーミン谷のクリスマスイルミネーションが行われています。
駅舎の入口とホームの向こうの線路には、ムーミンたちと、電飾がとても幻想的で美しい雰囲気を醸し出しています。
そしてもう一つ、待合室内にもクリスマスツリーが飾られています。

これは、大多喜高校の生徒さん達が数名で飾り付けてくれたもの。
彼らは駅を訪ねてきて、自主的にツリーの飾り付けを申し出られ、場所を決め、オーナメントも取り付けました。
駅舎の外のイルミネーションから比べると派手さはありませんが、私はこのツリーがとても温かいものに感じます。それは、高校生たちの「いすみ鉄道のために、または地域の利用者のために、自分たちでできることを率先してやっていこう」という気持ちを感じるからで、今後、彼らが社会へ出て活躍していくことを考えると、なんだか未来が明るく感じるからです。
大人になると、いろいろなしがらみが出来て、だんだん純粋な心が失われていく人が多く見られますが、皆さんももし、自分がそうなっていると気付いたら、今日からでも、何か社会の役に立てるように心掛けてほしいと思います。
どんな小さなことでも良いし、いつからでも遅すぎるということはないと思います。
もともと、いすみ鉄道の存続運動は大多喜高校の生徒会から始まりました。
生徒の自主的な活動が、地元を巻き込み、自治体が対策協議会を作り、マスコミが取り上げ、そして何の縁もゆかりもない私のようなよそ者が飛び込んできました。
今、そのよそ者を地域の人たちが温かく支援してくれて、地域が一つになって、いすみ鉄道を存続させようと力を合わせています。
私は、いすみ鉄道を公共交通機関としてだけではなく、地域の広告塔として、地元を活性化するツールにしていただきたいと考えています。
「ムーミン列車が走る町」「自然豊かで、穏やかな人々が住む日本のムーミン谷」として、首都圏の注目をいすみ鉄道沿線に集め、人を呼び、経済を呼び込みたいと考えています。
いすみ鉄道という会計のポケットからは、お金が出て行っている(赤字)かもしれません。しかし、地域全体で考えると、いくつもある他のポケットにお金が入るようになれば、トータルに考えて地域の活性化にプラスになるのです。
もう一度言わせて下さい。
お風呂の浴槽に水をためるにはどうしますか?
1つは浴槽の栓を閉めて水が逃げないようにすること。
もう1つは水を入れること。
いすみ鉄道は、少しでも水が漏れるのを防ぐと同時に、少しでも多くの水を呼び込むようにしたいと考えているのです。
赤字、赤字と目くじらを立てる人たちがいます。
でも、この浴槽の例のように、漏れ出て行く水より、入ってくる水の量を多くすれば、浴槽、すなわち地域全体が潤うようになるのです。
よくいわれるコスト管理というのは、1滴の水も漏れないようにすることを目指しているようですが、そういう努力は、収入の見込みがこれ以上ない状況の中で行われる経営であって、現在のいすみ鉄道は、そう言うコスト管理に努力するよりも、お金がどうやって入ってくるかを、地域と一緒に考える方が手っ取り早いのです。
いすみ鉄道は過去20年にわたり、過去の経営者たちがコスト管理を続けてきた会社ですから、もう乾いたぞうきん状態で、絞るものはほとんどない状態です。
その乾いたぞうきんを、さらに絞る努力をするよりは、吸収力を活かして、たっぷりと水を(お金を)吸わせることの方が、はるかに効率的であると私は思います。
経済学的には、売上が下がる→経営が苦しくなる→コスト削減と値上げ→さらに売上が下がる、となるわけで、国鉄時代から脈々とこのやり方が続けられてきました。だから同じやり方をするのは合理的ではありません。
私は商学部の出身ですから、ある意味でこの経済学のセオリーは受け入れることができません。
売上が下がる→その理由は顧客心理を捕えていない→何が皆に喜ばれるか→できるだけ低コストでお客様にご満足いただけるようにする→その結果、売上が上がる
私はこの方式を現在実践しています。
そのうち、「いすみ鉄道に出資したい!」、「いすみ鉄道を買収したい!」という企業が出てくるかもしれませんよ。
世界中には行き場を探している天文学的な量のお金が回遊していて、突然「円」を買い占めたりしているわけですから、そういったお金のほんの一部でもいすみ鉄道にやってくれば、廃止云々の議論は吹っ飛んでしまうわけです。
片方では買収したいという人がいて、もう片方ではまだ自分が持っている宝に気づかない人たちが、それを手放したいということになれば、私は外資でもなんでも、売却すべきだと考えています。
何しろ、私は20数年間外資系でメシを食ってきましたから、外資の経営や考えはよく理解していますし、かつて温泉旅館を片っ端から買った外国資金のように、鉄道の良さを理解してくれるのであれば、存続の方法としては、それもありかな?と考えています。だから英語、韓国語、中国語のホームページを作ろうとしているのです。
高校生が建てた1本のクリスマスツリーに感動して、こんなにも思いを語ってしまった私は、やっぱりおめでたいのでしょうね。
でも、おめでたい人間が世の中を牽引していくのだと固く信じて、とにかく前進していく! というのが私のクリスマスツリーにかけた誓いなのです。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします。