先日JR北海道が沿線自治体に向かって上下分離の提案をするというニュースが流れました。
JRが地元自治体に対して上下分離をどう提案するのかということが現時点ではわかりませんが、今までのJR各社の地元へ対する上下分離の提案を考えると、あまりよい提案にはならないように感じます。
基本的姿勢としてJRは「赤字だから鉄道をやめたい」というスタンスですから、そういうスタンスの会社がどういう提案をするのかは推して知るべしだと私は考えます。
一生懸命やりますという姿勢であれば、「一緒にやりましょう」となるでしょうが、「できれば鉄道をやめたい」という姿勢ですからね。
まして、もし地元が線路の維持管理費を負担する方向で行ったとしても、上を走る鉄道会社が地元にしっかりと恩恵を与えることができるかどうか、疑問符が付きます。
というのも、只見線の復旧の時の話なんですが、国と福島県は百億円近くのお金を投入して災害不通区間を上下分離して運転再開にこぎつけました。
その時私は福島県から委嘱されて復旧後の只見線をどうやって利活用するかという会議に出ていたのですが、「全線運転再開の時のJRと取り決めた条件は何ですか?」と福島県の担当者に聞いたんです。
そうしたら、県の担当者は、「被災前の状態に戻すことです。」と言いますから、「では、被災前の条件とは何ですか?」と追って訪ねると、「1日3往復です。」と答えました。
災害で不通となっていた会津川口―只見間の列車本数は被災前には1日3往復。
国と県が百億という大きなお金を投入して復旧させる条件というのが、1日3往復ということを聞いて私は驚きました。
そして、たとえ地元自治体がお金を出して上下分離したとしても、JRという会社は地域に利益をもたらそうということは1ミリも考えていないと実感しました。
「あなたたちねえ、今は運転再開の祝福ムードで浮かれてるけど、1日3往復なんてなったら5年もしたら県議会から突き上げられますよ。」
県の参加者に対して私はそう申し上げました。
そして、只見線を何とか活性化させるために自分ができることは何かと考えて、えちごトキめき鉄道の雪月花を只見線に乗り入れたのです。
ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、2023年と2024年の2年連続で、新潟県側の小出から只見線に入り、会津若松で1泊して翌日戻ってくるという運転を行いました。

▲私の友人の星賢孝さんが撮影した只見線を走る雪月花。すばらしい。
この雪月花の乗り入れに関しては、福島県知事から直接お電話でお礼の言葉をいただきましたが、後で聞いた話ですが、JR関係者の一部の皆様は面白くなかったようで、つまり「自分たちのテリトリーを鳥塚に荒らされた。」とでも思ったのでしょうね。
でもね、これをきっかけにJRも只見線にいろいろな観光列車を走らせるようになりましたし、福島県としても、只見線用に観光列車を開発して走らせようという機運が高まったようですから、やった甲斐があったと思っています。
だって、あの時は運転再開の紅葉時期に車両を増結させることもなく、「いつも通りに」走らせて山手線並みの混雑だと揶揄されていたのですから。
ふつうならわかりきっているでしょうに、わかりきっていてもやらない会社だったのです。
ということで、私の見解としては、上下分離をするとしたらJRが下の部分、線路の維持管理をきちんとやって、沿線市町や県がお金を出して別会社が列車の運行をきちんと行うという方式でないと、上下分離は成功しないと考えています。
なぜなら、JRは列車を走らせてお客様の数を増やすということができない会社ですから、上の部分を任せたとしても結局先細りになるのです。
でも、線路の維持管理はきっちりとできる会社ですから、得意分野をやったらいいんです。
沿線自治体だって、自分たちがお金を出して列車の運行をするのであれば、自分たちの都合の良い時間帯に列車を走らせることもできるようになりますし、経費負担が前提であれば増発だってできます。お金がもったいないとなれば減便すればよいわけで、その減便の不便さも受け入れることができるでしょう。つまり、自分たちで責任を持つということです。
もともとJRは上も下もやっていて赤字なんですから、上の部分の赤字がなくなるだけでも御の字でしょうし、そもそも論として上下分離の下の部分は国が公社でも作って運営するというのが諸外国では基本ですから、まぁ、JRはその公社になればよいだけの話だと私は考えます。
ということで、本日のニュース。
どうぞご一読ください。
意外な盲点がある鉄道会社の上下分離論について(鳥塚亮) – エキスパート – Yahoo!ニュース
ちなみにですが、ニュースに使用したキハ40の写真は2007年に根室本線で撮影したものですが、ネットニュースはアイキャッチが必要です。
この写真なら鉄男君たちがクリックしてくれると思いました。(笑)

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