千頭の蕎麦

今日は打ち合わせで千頭へ行きました。

千頭駅に行くと私は立食い蕎麦に吸い寄せられます。
今日は人影もまばらでしたが、いただきました。

自分の会社の商品ですから、定期的にきちんと確認しなければなりません。
どんぶりが欠けていないか。
蕎麦の味は変わっていないか。
調理方法は手順通りか。
などなど。
だから、立食い蕎麦をいただくのも立派な仕事なのです。

と自分に言い聞かせつつ、いただきま~す。

本当は食べたいだけ。
何しろ私は立食い蕎麦好きでありまして、実は数日前にも福島駅の新幹線の階段を降りたところにある立食い蕎麦屋でいただいたばかりであります。

子供のころから立食い蕎麦を見つけると吸い寄せられるように入ってしまうのです。
記憶によると最初に食べた立食い蕎麦は大塚駅のガード下。
小学校5年生のころ、日曜日に都電の写真を撮りに行って腹が減って入ったのですが、多分キツネ蕎麦を食べたと思います。値段はしっかり覚えていて60円でした。
国鉄の初乗りが30円でしたから、ちょうど倍でした。
今なら300円というところでしょうか。

家に帰って父親に「昼ご飯はどうした?」と聞かれたので、「大塚駅で立ち食いそばを食べた。」と言ったらすごく驚いた顔をして、「お前はそんなものを食べたのか?」と言われました。

大塚駅の立ち食い蕎麦屋があった場所

父親は「立食い」というスタイルに嫌悪感を持っていたのかもしれませんが、あの大塚駅のガード下、都電の線路のすぐわきにあった立食い蕎麦屋さんで食べた蕎麦の味が忘れられず、ていうか、学生時代にはお金がなかったので駅弁という選択肢はなく、旅行中は立食い蕎麦が主食だったのですが、若い頃に染み付いた習性というか美化された思い出と言うか、今でもフラフラと吸い込まれてしまうのであります。

私たちの世代か、少し上の世代には蕎麦ブームのようなものがありまして、お父さんが定年したら急に蕎麦打ちを始めたりする人がけっこういまして、これが家族にとっては迷惑千万。
なぜならばお父さんが打った蕎麦を食べなければならない。

上手に打てたなら良いですよ。
でも、蕎麦打ち教室なるものに数回通っただけで、見よう見まねで自宅で始めた蕎麦などうまいはずがない。
でも、定年で暇を持て余したお父さんが一心不乱になって蕎麦を打っているのですから、家族としては「おいしい」と言わなければなりません。
で、「おいしい」と言おうものなら、お父さん「もっと食べろ」と始まるわけで、それでも「おいしいね」と言わなければなりませんから、そうなるとしばらくの間、お父さんの手打ちそばを食べさせられるわけで、つまり家族にとっては地獄なのであります。

あたしゃ江戸っ子でありますから、江戸っ子にとっては蕎麦なんてものは気取って食うもんではありませんが、どうやら田舎へ行くとやたらこだわりの蕎麦屋というのがあって、そういう蕎麦屋はうんちくを垂れるわけです。

やれ最初はこの薬味で食べろとか、ビールの注文は蕎麦が出るまで。蕎麦が出たら追加のビールは出さないなどなど、うるさいのです。
だいたい私は温かい蕎麦が好きなのですが、そういううんちくを垂れる蕎麦屋に限って温かい蕎麦を頼むと嫌な顔をされる。
ていうのがわかっているから、わざと温かい蕎麦を頼んで蕎麦屋の店主が奥でいやな顔をするのを楽しんだりするのは、うんちくオヤジに対するへそ曲がりオヤジですが、「ねえ、この近くに有名なお蕎麦屋さんがあるのよ。」と言われて、時として同伴の美女とツーショットで入る旅先のお蕎麦屋さんの場合は、私はやたら通ぶって知ったかぶりをするのが嫌なので、やはり温かいたぬき蕎麦などを頼んでしまうのでありますが、それがひねくれものの江戸っ子のなれの果てでありまして、やさしい美女は「じゃあ、あたしはにしん蕎麦にしようかな」などと話を合わせてくれるもんだから、二人して温かい蕎麦になってしまい、蕎麦屋のうんちくオヤジの顔はさらに曇るのであります。

それにしても女性はにしん蕎麦がすきですよね。(関係ないか)

で、千頭駅の蕎麦。
これがうまい。
いつ食べてもうまい。

どうしてかというと、冷凍の蕎麦だから。
常に品質が一定で、その時のオヤジの気分で歯ごたえが変わったりすることなく、品質一定の工業製品。
うどんもなんだかんだ言って加ト吉の冷凍うどんが一番うまいのでありますが、さらにその品質が一定の冷凍の蕎麦をお湯にさらす時間もちゃんとタイマーで測って均一なのであります。

で、どうしてこんなにうまいのだろうか?
と思って商事部の部長さんに聞いてみたのです。
そうしたらわかりました。

「あの店では毎日早出して時間をかけて出汁からそばつゆを作っているんですよ。」

そうなのです。
これ、大事。
手打ちそばに時間をかけるのなら、勝負するところはそこじゃなくてやっぱりお汁でしょう。
昨今、業務用のそばつゆなどいくらでもあると思いますが、きちんと出汁からとって時間をかけて仕込みをしているのです。

だからうまいんですよ。

嘘だと思ったら一度食べてみてごらんなさい。
まぁ、千頭まで来なければ食べられませんけどね。
小学生の時から立食い蕎麦を食べ続けている私が言うのですから、間違いないと思いますよ。
この道50年以上ですから。

ということで、今夜は駄蕎麦の話でございました。

新金谷駅でも立食い蕎麦、始めようかしらん。
うどんもいいな。冷凍で。(爆)