ぶら鳥 報告

昨日から今日にかけて、大井川鐵道初めてのぶら鳥企画、1泊2日コースを実施いたしました。

まずは「けいはん電車」で腹ごしらえをしながら家山へ。

今回のぶら鳥はミステリーツアー形式で行いましたが、家山からは専用バスで現在災害で運休中の青部駅へ向かいました。

青部で待っていたのは地元川根高校の高校生。
学校の活動の一環として、現在不通区間となっている大井川鐵道を何とか活用して観光客を呼び、沿線の活性化につなげたいということで、「レールバイク(線路の上を走る自転車)」のツアーをやるのはどうかという提案を受けました。

彼らは一生懸命調べていて、くま川鉄道では災害で動かない区間を活用してレールバイクをやっている。大鐵でもそういうことをやって少しでも収入を上げるとともに、地域にも観光客に来てもらいたい。また、こういう取り組みを通じて地元の人たちにも災害の現状を知ってもらい、もっと防災意識を高めてほしい。

そういう内容のプレゼンです。

地元の皆様方も参加して、一緒にランチを食べながらプレゼンを聞いて、打ち解けたところで、
「じゃあ、始めましょうか。」

何を始めるかというと、大鐵が用意した軌陸車(きりくしゃ)に乗って乗車体験です。

軌陸車とは、線路の上を走る自動車のこと。
川根高校の高校生の提案ではレールバイクとのことでしたが、大鐵では大井川を渡る鉄橋があることから自転車スタイルでは危険なので、彼らの提案を実現するにはとりあえず軌陸車ならできるのではないか。

会社の中でそういう提案が出ましたので、鉄道部に協力してもらって、軌陸車を体験してもらいました。

高校生はもちろんですが、ぶら鳥参加の皆様方も、たぶん生まれて初めての軌陸車体験。
乗車時は皆さんヘルメットをかぶって、物々しい姿で軌陸車体験をしていただきました。

この体験をもとに、学校の研究授業として彼らが企画をまとめていきます。
3年生は卒業ですが、2年生がしっかりと引き継いでくれるとのこと。
3年生にとっては卒業直前ではありますが、自分たちのアイデアが形になったことは、これから大学へ進学しても社会に出ても、ひとつの財産となることと思います。

実は私も軌陸車初体験。
いやぁ、これは観光資源になること間違いなしです。
何しろ、現在列車が走ってないのですから、衝突する危険もないし、信号を切り替えるなどの手間も全くかかりませんからね。

全国各地で廃線跡を利用したレールバイクツアーなどが行われていますが、廃線にしちゃったらダメじゃないですか。
廃線にしないように何をやっていくかが大切だと、川根高校の高校生の皆様方から教えていただきました。

青部から家山に戻ってSL列車で新金谷へ戻ると、冬の陽はすでに傾き始めています。
これから今夜の宿泊地へ向かいます。

宿泊は新金谷駅から10数分のところにあるグランピング施設「結(ゆい)」です。

ここは廃校になった小学校を利用した宿泊施設で、このようにテントが並んでいます。

お部屋の中はこんな感じ。
おもしろいでしょう。
たまにはこういうところも良いもんです。

夕ご飯はテントの中でバーベキュー。
17時半から始まって、23時までみんなでワイワイガヤガヤ。
そして23時過ぎにお開きになりました。

一夜明けて今朝は新金谷車両区の見学会。
あいにくの雨でしたが、そんなことはものともせず皆さん元気。
だって、ふだんは入れないところに入れるのですからね。

ということで、出発から丸24時間。1泊2日のぶら鳥は終了しました。

それから私は食堂車「オハシ」対応です。

老体に鞭打って仕事仕事。
何しろ今日の食堂車も30名様からのご予約をいただいておりまして、この真冬の時期にこれだけの皆様方にお越しいただけるのですから、ありがたいですよ。

来週は大宮の鉄道博物館でのイベントがあるため、オハシの対応ができませんので、今日は列車に乗って皆様方におもてなしをさせていただきました。

折り返しの川根温泉笹間渡駅でのアイスクリームの立ち売りは大好評。
何しろ昭和の窓が開く車両ですからね。
停車駅で窓を開けて、立ち売りのおじさんから駅弁やアイス、ジュースなどを買った思い出のある方もいらっしゃると思います。
若い人たちは今はそういう思い出はないかもしれませんが、だったら思い出を作るお手伝いをするのも大井川鐵道のお仕事ですからね。

SL列車の他の車両にも団体のバスツアーが複数入っていましたが、今の時期のSLは空いてて汽車旅を楽しむにはちょうど良いですよ。

そう、ローカル線って、空いてないとね。

のんびり座って、それぞれに汽車旅をお楽しみいただけるのも冬の大井川鐵道の楽しみだと思います。

本日お越しいただきました皆様、ありがとうございました。

私は休養のために明日はお休みさせていただきます。

休まなくてもいいんですが、休め休めと周囲がうるさいもので。
ていうか、経営陣はブラックじゃないとダメですから。
赤字の会社の経営陣はサラリーマン気分じゃダメなんですよ。
24時間365日、お仕事でございます。

「なんで土日に仕事しなきゃいけないんですか?」
なんてことを言っているローカル鉄道の経営者がいるとしたら、そういう人は今すぐお辞めになった方が良いと思いますよ。
なぜなら地方鉄道は観光で収入を上げていくしかありませんし、その観光というのは人さまが休んでいる時が仕事なのですから。

ということで、皆様方がお仕事の明日、私はお休みとなります。

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▼昨日の軌陸車体験の様子が静岡新聞に掲載されました。
地元高校生が提案!線路を軌陸車で巡るツアー 大井川鉄道の不通区間で実現(静岡新聞DIGITAL) – Yahoo!ニュース

▼グランピング施設「結」はこちらです。
【公式】Glamping&Port結 | 静岡県島田市の旧小学校でグランピング |