ここ数日、房総半島の南部、館山ー勝浦間でSL列車の試運転が行われているようです。
「ようです」というのは、私は週末出張で不在にしておりましたので、実際にこの目で見ていないからですが、いすみ鉄道ファンの古谷さんが、その試運転の様子の写真をUPしてくれましたので、懐かしい雰囲気を楽しませていただいております。
トンネルを出るD51です。迫力ありますね。
(すべての写真はクリックすると大きく表示されます。)
貴重なSL牽引列車。
でも、わたし的には「う~ん」なんです。
房総半島からSLが消えたのは昭和44年。当時は線路規格が低くて木更津以南はD51は入線できませんでしたから、この付近を走っていたのはC57かC58だったので、D51はこの区間には似合わない。というようなことをおっしゃる方もいるようですが、そんなことではありません。
12系客車は昭和45年の大阪万博の多客輸送に合わせて新造された客車ですから、昭和44年にSLが全廃した房総半島では時代が合わない。そう言う人もいますが、私としてはD51に12系はおかしいとは思いません。
私が気になるのは、一番後ろにオレンジ色のディーゼル機関車がくっ付いていることです。
今の人たちは機関車が引く客車列車そのものが貴重ですし、プッシュプルというのも珍しいですから、きっとこれでもイベントとしては良いのかもしれません。
でも、何か変なんですよね。しっくりこない。
結局、最近のSL復活運転では転車台がない区間が多いし、現在はSLのバック運転は禁止されています。
だから、最初から折り返し用の機関車を最後部にぶら下げておくわけで、これはまあ一種の手抜き。
テンダ機関車ならまだしも、C11やC12のようなタンク機関車のバック運転もできない規定があるようですから、御上の専売特許の「できない理由」を羅列された中で、JRとして何とかSLを走らせるための苦心惨憺、苦肉の策なんでしょうが、「なんだかな~」とおじさん的には思うのであります。
だから、煙が客車の側に流れているこちらの写真の方が自然な感じがするのです。
でも、おじさん的にはと申し上げましたが、おじさんには30歳ぐらいから70歳近くまで、年齢的に大きな幅があって、前期中年者と後期中年者では考え方が違うようで、私のような後期中年者はそう思うかもしれませんが、40代以下の前期中年者の皆様方は、SLに対する郷愁もあまりないでしょうから、別にSLじゃなくてもかまわないという人も多くいらっしゃるようです。
そういう前期中年者の皆様方は、SL列車よりもこちらの方が萌えるかもしれませんね。
DE10が12系を引く光景を一番最後に見たのは20世紀最後の年の久大本線だった気がしますが、あれから17年が経過したということは、40歳代以下の皆様方の郷愁は、たぶんこちらの列車の方なのでしょうね。
今年50歳の人は1967年(昭和42年)生まれ。ということはSLが全廃したときに8歳だったということですから、40歳代の人たちはSLの現役時代をほとんど知らない人たちです。
ディーゼル機関車は、私たちにとって見たら、SLを追い出した「オレンジ色の憎いヤツ」なんですが、まあ、今の世の中、40歳代以下の前期中年者が中心になって動かしていますから、そういう中心世代の方々の嗜好を優先させないと、イベントとしての成功は望めません。
だから、行きはディーゼル、帰りは蒸機というプッシュプル編成は、あながちJRの手抜きではなくて、往復で別々のお客様をダブルで集客しようという策であるとしたら、JRの営業さんも侮れませんね。
ということでダブルで楽しめる南房総のイベント列車は、今度の週末の運転です。
行きか帰りには、ぜひ、いすみ鉄道にお立ち寄りください。
こういう列車が走っているいすみ鉄道は、時代考証ピッタリですからね。
写真提供:古谷彰浩さん
古谷さん、貴重なお写真をありがとうございました。
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