岐阜県の長良川鉄道の観光列車に乗車してきました。
この春から、長良川鉄道にも本格的な観光列車が走り始めました。
長良川鉄道は旧国鉄の越美南線を引き継いだ第3セクター鉄道で、いすみ鉄道と同じ経歴のローカル線です。
地域の少子高齢化でご多聞に漏れず経営は厳しい状況にありますが、いすみ鉄道だってがんばってるんだから、自分たちもいろいろな模索をしようと、今年から観光列車を始めました。
やっとお伺いする機会がありましたので、昨日お邪魔してきました。
始発駅は高山線から分岐する美濃太田駅。
2両編成の観光列車「ながら」は、1両が食堂車でもう1両が一般車両。
食堂車はランチコースで1人12000円ですが、もう1両は一般車両と言っても内装にこだわった特別な車両。
でも、乗車券のほかに500円プラスをすれば乗れるありがたい列車です。(こちらも要予約)
観光列車って、豪華専用列車を作って特別感を出すのは良いのですが、遠い存在になってはいけませんから、一般のお客様でも気軽に体験していただく仕組みを設けることが大事だと私は考えていますが、この「ながら」も、しっかりそのコンセプトです。
ちょっと遠めですが、ホームにはわんちゃん駅長さんがお見送り。
それと、こちらも大事なことですが、食堂車のお料理を作った美濃太田の駅前のホテルのシェフさんが、ホームで皆様をお見送りされていました。
顔の見える料理ということで、とても大切なパフォーマンスです。
さて、車内の様子です。
水戸岡先生デザインの木をふんだんに使った内装は、沿線の風景にとてもマッチするのは当たりまえです。
なぜなら地元の木を多用しているのですから。
明るい感じでとても素敵です。
テーブルはこんな感じ。
長良川鉄道のお水が添えられています。
グラスはどこかで見たような気もしますが・・・(笑)
お箸は郡上割り箸。こちらも特産品を使用しています。
早速お料理が出てきました。
可愛らしくって、これは女性のお客様には人気になりますね。
メニューはこちら。
「乙姫の玉手箱」です。
地元の食材をふんだんに使ったこだわりのお料理です。
サービスコーナーはこれだけのスペースです。
でも、ドリンク用の冷蔵庫など、とても上手に配置されています。
18m車で、客席を25席設けて、サービス設備、そして地元産品の陳列コーナーまであるのはさすが水戸岡先生デザインだけあります。
さて小さな壺に入った次のお料理が出てきました。
飛騨牛のしゃぶしゃぶ コンソメと共に
最初、壺が出てきたときに、「なんだろう?」って思いました。
開けてみると、見たことのない料理。
でも、これはうまかった!
最高です。
是非、味わっていただきたい、サプライズです。
あっという間に「完食」です。
次は岐阜のお米の栗ご飯。
栗がゴロゴロたくさん入っています。
もうここまででお腹いっぱいになりました。
きれいな景色のところでは列車は徐行運転です。
この徐行運転も実は数年前から始めていて、観光列車運転のための下地はちゃんとはじめていたんですね。
しばらく走ると、大矢駅に到着。ここでトイレ休憩を兼ねた10分間の停車です。
大矢駅は、国鉄時代の雰囲気がよく残っている山の中の駅。
その駅の内部に懐かしい展示物があって、列車の到着に合わせて地元のボランティアの方が、いろいろ解説してくれます。
こういうものがどこにとってあったのかは不思議ですが、鉄道趣味人じゃなくても、なんとなく懐かしい観光資源です。
もちろん、地元の人が説明してくれることが重要なポイントですが。
大矢駅はこういう古い駅ですが、観光列車の運転に合わせて地元の行政がきれいなトイレを作ってくれました。
長良川鉄道の車両にはトイレがついていませんから、駅での停車時間を利用してトイレを済ませていただこうというダイヤになっています。
観光にいらしていただいたお客様への最低限のおもてなしが、きれいなトイレですからね。
大矢駅のホームはこんなに賑わっています。
もちろん観光列車の着く時間だけですが、それでも、今まで誰も来なかったところに観光客が来るようになったということは、観光列車がインフラとして地域に人を運んでくるようになったということだと思います。
それも、何もしなければ絶対に来なかったような人々を乗せてきているのです。
だって、何もしなかったら誰も来ないところだということは、駅前のバスの時刻表を見ればお分りになりますよね。
1日4本のバス。
ではありません。運転日が火曜と金曜ですから。
長良川鉄道にはトンネルが何か所もありますが、トンネルに入るとダウンライトの優しい照明。
こういうのって、いいなあと思います。
さて、大矢駅を出るとデザートが出てきました。
写真を撮るのを忘れてスプーンを付けてしまいましたが、モンブランとフルーツです。
はい、ごちそうさまでした。
3名のアテンダントさんがきびきびと働いていました。
ご乗車記念に頂いたドライフルーツの「梨」。
これも地元で作られているものだそうです。
こんな景色を眺めながら・・・
最高の汽車旅です。
実は、帰路は向こうに見える高速道路を走って帰ったのですが、高速道路は確かに便利ですが、全く味気ない旅でしたから、やはり鉄道があって、人を呼ぶツールとして機能させることで、高速道路を使って地域に観光客が来るということで良いのではないでしょうか。
我々は都会と田舎を結ぶ「インターシティ機能」ではありませんから。
さて、郡上八幡で後部の食堂車を切り離して、1両で出発。
食堂車は午後の列車のための準備に入ります。
前の車両は乗車券に500円プラスして乗れるビュープランですが、この日は満席。
要予約ですが、かなり先まで埋まっているようです。
その車内の一角にはスタンプコーナーが。
各種パンフレットも並んでいます。
沿線自治体の移住促進や観光パンフレットが、自治体ごとに並べられていました。
これも、第3セクター鉄道ならではのサービスだと思います。
こういう観光列車の英断を下したのがこの方です。
郡上市の日置市長さん。
市長さんは、長良川鉄道の社長さんでもあります。
実は、この日置市長さん、驚いたことに、大多喜駅前の「番所」でお昼ご飯を食べられた経験をお持ちです。
「いすみ鉄道さんがどういう所なのか気になりまして、この夏にお邪魔したんです。あの食堂を見ていると、地域の人たちが協力していらっしゃることがよくわかりますね。」とおっしゃっていただきました。
そりゃあ、市長さんは第3セクターの社長さんでもあるわけですから、しっかり他の地域の鉄道も勉強なさっていらっしゃるということです。
それも、物々しい視察旅行ではなくて、「東京に行く用事があったので、ついでにふらりと行ってみたんです。」とのこと。
「社長さん、その時職員の方とお店でご飯を食べていらっしゃいまして、観光の女性のお客さんが入ってきたところで、『ここ空きますからどうご、ごゆっくり』と出て行かれましたよ。声もおかけしなくて申し訳ございませんでした。」とのこと。
なんか、そんなことあったかもしれませんが、それだけ、一観光客としての目でいすみ鉄道を見ていただいたといういことになりますね。
日置市長さん、ありがとうございました。
いろいろ難しい問題があるとは思いますが、ぜひ、「鉄道愛」を持ってご健闘いただきたいと思います。
観光客から見ると、すぐにわかりますからね。
経営者が鉄道愛を持っているかどうかが。
ということで、皆様、岐阜県郡上市は山の中のとても良い町ですが、実は、町の食堂にある「サンプル」を作っている町で、全国生産の8割のシェアを占めているところなんです。
皆様ご存知でしたか?
長良川鉄道の皆様、ありがとうございました。
最近のコメント