台湾交流イベント in ユーカリが丘

4月29日から3日間にわたりまして、私の地元、佐倉市ユーカリが丘におきまして山万株式会社主催の台湾集集鎮との交流イベントが開催されました。
台湾の集集鎮(鎮=町)は台湾南投県にある台湾で一番小さな町で、皆様ご存じのいすみ鉄道と姉妹鉄道締結した台湾国鉄集集線が走る地元の自治体です。
その自治体が、なぜ佐倉市ユーカリが丘にいらしたかというと、実は山万さんも数年前から「インバウンド戦略」を展開しておりまして、広報担当スタッフに台湾出身の職員を採用して積極的に外国に対して情報発信しており、その広報担当の台湾人スタッフが千葉県の「チーバ君大使」としても活躍しているのです。
いすみ鉄道が集集線と姉妹鉄道締結をしたことをきっかけに、千葉県も観光の部分で使えるのではないかということで、チーバ君大使が集集鎮にお声をおかけして、今回のイベントが実現しました。
ユーカリが丘在住の私も山万さんからお声をおかけいただき、祝賀会に出席させていただきました。
ここで、ごあいさつさせていただいたのですが、私がなぜいすみ鉄道と台湾国鉄の集集線と姉妹鉄道しようと考えたかということにつきまして、今一度おさらいしておきたいと思います。
まず、私は10年以上前から台湾の鉄道の素晴らしさを日本に紹介するために、台湾国鉄のご協力の下、前面展望DVDを制作する仕事を続けてきました。
おそらく、台湾国鉄を一番よく知る日本人の一人として、また、台湾の鉄道全線を余すところなく記録した外国人としては世界一だと思いますが、そういうご縁が昔からありました。
2009年に私がいすみ鉄道の社長に就任すると、台湾国鉄幹部の皆様方が、「何か協力したい。」とおっしゃっていただきましたので、鉄道の再生を行いながら、機が熟するのを待って姉妹鉄道締結をお願いいたしました。
台湾国鉄の支線は戦前に日本が建設した路線がほとんどで、当時は石炭の産出や木材の積み出しなどに利用されていましたが、集集線も発電所建設のための資材運搬用に建設された路線です。日本もそうですが、そのようなローカル支線はすでに役割を終了しています。日本ならば、「ローカル線廃止、バス転換」となるところですが、台湾では当然廃止議論は上がりましたが、すぐに廃止にせず、「何とか使えないか?」ということで、観光鉄道化にチャレンジしました。
これが今から10年少し前の話ですが、それが実を結んで、今では沿線が大賑わいになっているのです。
もちろん、台湾の鉄道は「国鉄」ですから、そんなにサービスが良いわけではありません。観光鉄道といっても特別な列車が走っているわけではなく、通勤電車のようなロングシートの車両が外装をラッピングしただけで「観光列車」になっているわけですが、日本と違うのは、地元が大変盛り上がって、駅前にお土産物屋さんや食堂などのマーケットが出来上がり、わずか10年足らずで観光地になってしまったのです。
日本では、こんなものいらないから捨ててしまおうと、ローカル鉄道を次から次に廃止している中で、台湾は、日本が建設したローカル線など、本当は壊してしまいたい気持ちもあると思うのですが、それでも何とか上手に使って地域が活性化している。
この点においては台湾の方が一日の長があり「お兄さん」でありますから、私は、日本人も台湾から鉄道の使い方を見習うべきだと考えまして、姉妹鉄道としてのお付き合いをお願いしたのです。
先日の熊本地震で、私たちの仲間の南阿蘇鉄道が大きな被害を受けました。
マスコミの含めて、「これだけ大きな被害を受けてしまっては、もう立ち直れないだろう。」という観測が広がっています。
でも、本当にそうでしょうか?
いすみ鉄道が姉妹鉄道締結した集集線は、1999年の集集大地震の震源地を走っていて、線路や駅などの鉄道設備が大きく破壊されてしまいました。いらないローカル線、バスで十分なわずか30㎞程の支線。日本なら、地震や大雨、台風などの自然災害で被害を受けたことを理由に、いくつもの路線がそのまま復活することなく、ある日突然お亡くなりになっていますが、台湾の人たちは、集集地震で大きなダメージを受けた集集線をわずか1年半で復興させているのです。
集集線ばかりではありません。台湾には阿里山森林鉄道という世界的に名高い観光鉄道がありますが、この観光鉄道も大きな台風が来るたびに路盤が流出するなど被害を受けていますが、その度に運休となるものの、不死鳥のようによみがえっています。
阿里山森林鉄道などは、1日2往復あるかないかの観光列車が走るだけですから、鉄道そのものは赤字です。でも、観光産業のシステムの一つとして鉄道を考えた場合、その存在意義は大変大きく、「絶対に必要な存在」だから、災害を受けても必ず復旧させるのです。
これが台湾人のやり方です。
阿蘇山は以前から国際的観光地です。山並みハイウエーなど50年も前から整備されて、当時から多くの外国人観光客も訪れています。南阿蘇鉄道は、その観光地のシンボル的存在でありますから、「地震が来てある日突然動かなくなりました。復旧させる費用と、今後見込まれる運賃収入を考えた場合、復旧させる効果がありませんから、そのまま廃線になります。」などということを、もし、この国の指導者たちが本当に考えるとしたら、これは世界中から笑われることにもなります。
こういうことがお解りになりますか?
もし、外国資本が、「南阿蘇鉄道を復活させるお金を出す。」と言ってきたら、日本人はどうしますか?
「外国人に買われたくないから、廃線にします。」ということは、国際社会では通用しません。
「あなたたち日本人が捨てるというのですから、私たちがお金を出して復活させて、私たちが運用します。」と言われたら、反論できない。これが国際化です。
いすみ鉄道をはじめ、これだけ全国のローカル鉄道が一生懸命頑張って、地域を盛り上げ、観光経済に貢献している時代に、国が南阿蘇鉄道に対して知らん顔はできません。
訪日観光客2000万人の目標を、つい先日、倍の4000万人に引き上げたばかりですから、国際的観光地「阿蘇」のシンボル的存在の南阿蘇鉄道をしっかり復活させましょう。
昨日祝賀会でお会いした国会議員の奥野総一朗さんと、千葉県議会議員の西田三十五さんのお二人には、このように直接申し上げさせていただきました。
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▲台湾南投県集集鎮(町)の鎮長(町長)の陳紀衡さん。
弱冠32歳の台湾最年少の首長さんです。

▲仲良し!

▲ローカル鉄道社長の主張。
上に書いたことを申し上げました。


▲私の向かって左にいらっしゃるのが衆議院議員の奥野総一朗さん。
向かって一番左が千葉県議員の西田三十五さん。
お二人とはよく顔を合わせて意見交換をしていますので、私の性格もご存じなため、はっきりとものを言わせていただいております。
ローカル鉄道が走る地域は、輝いている。
これからの日本はそうならなければ、地方創生などありませんからね。
ローカル鉄道を要らないなどという地域があったら、私は外国資本に買ってもらおうと思います。
彼らの方が、はるかに正しい使い方をしてくれますから。
私にそのようなことを言わせないようにしましょうね。皆さん。
さあ、明日からゴールデンウィーク後半戦が始まります。
楽しみだなあ。
日本中のローカル鉄道がいっぱいいっぱい笑顔を集めたいと思います。
皆様、ローカル鉄道にどうぞご乗車ください。
きっと、その良さに気付いて、はまりますよ。