地域に感謝。

今日の夕方、台湾から戻りました。
今回の台湾国鉄との姉妹鉄道締結は、おかげさまで大成功に終わりました。
これもひとえに関係者の皆様方のご尽力に感謝する次第ですが、私にとって今回とてもうれしかったのは、いすみ鉄道の地元の大多喜町の皆様方が大挙して応援に来てくれたことです。
あるとき、台湾人の友人と話をしていたんです。
彼は彼なりにいすみ鉄道のことをいろいろ調べて私に質問してきました。
「いすみ鉄道って、大多喜にあるんでしょ?」
「大多喜ってお城があるんでしょ?」
と質問してきましたので、「そうだよ、お城があって古い町だよ。」と答えると、彼は、
「じゃあ、忍者いますか?」と聞きました。
私は「?????」となりましたが、その時に気づいたんです。
外人から見たら城下町ってそういう感覚なんだなあ、と。
で、私は答えたんです。
「忍者はいないけど、戦国武士ならいるよ。」って。
そして、姉妹鉄道締結式を盛り上げるために、大多喜の手作り甲冑隊の皆様方に、「一緒に台湾へ行きませんか?」と声をかけてみました。
忍者ではありませんが、戦国武士が行けば台湾人にもわかりやすいと思ったんです。
そうしたら、すぐに「みんなで行きたい。」とお返事がきましたので、私はあわてて、
「あの、いすみ鉄道は旅費出せませんよ。自腹ですよ。」と言いましたが、手作り甲冑隊の皆さんは、
「そんなのわかってるよ。いすみ鉄道が大変なのはみんな知ってるんだから。だから応援に行きたいんだ。」と笑いながら言ってくれたんです。
皆さん、60代70代の方々ですが、実に決断と行動が早い。
数日後には飛行機もホテルも自分たちで決めて、スケジュールを持ってきてくれました。
それが、今回の手作り甲冑隊の同行なんです。
皆様方総勢11名は、台北に2泊されましたが、いすみ鉄道に迷惑はかけられないからと、調印式の後は別行動で、夕ご飯もそれぞれで食べる計画でしたので、私は、ぜひ、祝賀会にいらしてくださいとお願いして、調印式の晩の祝賀会は盛大に盛り上がりました。
何しろ、台湾国鉄の幹部の皆様方が、「勝どき」を気に入ってしまって、ホテルの宴会場の中は「えい、えい、おー!」の勝どきが鳴り響き、お酒が酌み交わされました。
もともと、この台湾国鉄との姉妹鉄道締結は、日本と台湾の鉄道交流という民間レベルの友好が始まりで、政治的な策略は何もありませんので、地元大多喜の皆様方も、本当の友達になったんですね。
その証拠に、大多喜町の観光協会が用意してくれた大多喜のお酒(一升瓶6本)があっという間に空になりました。
私が成田空港の友達に頼んで、何とかお酒をチェックインして、トータル50キロ近い荷物をまけてもらって台北まで運んだ甲斐がありましたよ。
そこで、もう一つ気付いたんです。
ローカル線ってやっぱり地域なんだということ。
台湾でも、先住民族がたくさん生活している地域になればなるほど、国鉄としても大変配慮していて、今回の姉妹鉄道調印式にも集集線沿線の先住民族の踊りを子供たちが踊ってくれたりしましたが、日本も台湾もローカル線は「地域交通」という役割はほとんど終わっているかもしれないけれど、やっぱり地域の人たちにとってローカル線ってとても大事で、自腹を切って応援に来てくれる甲冑隊の皆様方の姿を見て、台湾国鉄の幹部の皆様方にも、いすみ鉄道の沿線にはどういう人たちが住んでいて、いすみ鉄道がどう扱われているかということが、良くご理解いただけたのではないかと思います。
大多喜町の鈴木副町長さんにも無理をお願いしていらしていただきましたが、平日の真昼間に山の中のローカル線が、立ち席が出る状況を見ていただきましたので、私がいつも申し上げている「いすみ鉄道の可能性」を少しでもご理解いただけたのではないかと思います。
大きな仕事が一つ終わって、今夜はなんだかとても幸せな気分です。
地域に感謝、感謝です。

[:up:] 本社の貴賓室で出番を待つ甲冑隊の皆様と記念撮影。

[:up:] 調印式のオープニングは集集線沿線の原住民の踊りを子供たちが披露してくれました。


[:up:] 周局長さん自ら甲冑隊の皆さんのテーブルを回ってコミュニケーション。地域の大切さを局長さんご自身が一番理解されているようでした。
大多喜町手作り甲冑隊の皆様、ありがとうございました。