大原駅で発売開始したいすみ鉄道の「伊勢えび弁当」。
実は、隠された「真相」があります。
それは価格です。
実は、この伊勢えび弁当は1800円で販売する計画で準備してきました。
お弁当本体を1800円、伊勢えびの味噌汁を付けて2000円、という商品企画で、4月の発売開始を目指していたのですが、3月の大震災があって発売が延期になり、その間にキハ52が走りだし、忠勝弁当(とんかつ)も発売開始。菜の花の季節には昨年の4割程度のお客様しかいなかったのが、お客様がどんどん増えて、予想以上に対前年比での回復が早く、おかげさまで8月にはすでに昨年を上回る実績を出せるまでになりました。
この回復状況は、震災後、千葉県ばかりでなく、全国的にも他では見ることができない状況でありますから、とてもありがたいことなのです。
そこで、私は、いらしていただくお客様へ感謝の気持ちを込めて、そして、地元の高級産品を少しでも皆さまにご賞味いただける機会づくりとして、思い切って1500円で販売することに決定しました。
この価格で、お茶付きで販売したら利益は全く出ません。
いわゆる「行って来い」の状態で、右から左へお弁当を運ぶだけで、全く利益が出ないのです。
商売にはいろいろな考え方やポリシーがあります。
私が、この伊勢えび弁当で考えるポリシーは、乗客の皆さまに1人でも多く地元の味を楽しんでいただきたい。
そのためには「駅弁」の原点に立ち返るべきではないか、ということ。
もともと、国鉄時代から駅弁は鉄道の乗客に食事を供するために、沿線の味をホームで販売したことが原点ですから、鉄道会社がそれを取り扱うからといって、利益を上乗せするべきものではないはずでしたが、列車の速度が上がり、窓が開かなくなり、停車駅や停車時間が少なくなると、駅での立ち売りよりも列車に積み込んで車内で販売してもらう形式が主流になってきて、平成になるころから、(これは私の主観ですが)、駅弁は値段の割には味も中身も大したことない弁当が多くなってきたと思うのです。
ここ20年、日本では「失われた20年」と言われる不景気が続いていて、コンビニの弁当も値段の割にはおいしくなっていますし、マックも牛丼も安くても内容が充実してきていますが、こと鉄道構内で販売する物品に関しては、コンビニやファーストフードに比べて価格が高めで、その割には・・・という商品が多いように思いますから、いすみ鉄道は駅弁の原点に立ち返って、いすみ鉄道は中間マージンを取らない方針でお客様の便宜を図り、地元の業者に作ってもらっているのです。
そして、地元の業者さん(御宿の大野荘さん)も、地元のPRになればと、本腰を入れて、高級食材をふんだんに使ってくれています。
だから、完全予約制。
1個も売れ残りを出すことができません。
そして、今後、いすみ鉄道の伊勢えび弁当を駅以外で売ることがあっても、1500円では販売することができないのです。
これが「真相」。
こういうことを英語では Value for Money と言います。
だから、いすみ鉄道に乗って伊勢えび弁当を食するのが一番お得なのです。
皆さまのご予約をお待ちいたしております。
うまいですよ。
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