木曽路はすべて山の中である。

長野県の御嶽山が噴火して、大変な被害が出ているようです。
火山の噴火はいつ起こるかわかりませんし、日本は火山国ですから、数年ごとに各地で噴火が起きています。
先日、NHKで大規模災害の特集をしていて、数ある災害の中でも火山の噴火が一番恐ろしいようなことを言っていましたが、それから数日で実際に噴火が起こるとは夢にも思っていませんでしたのでとても驚きました。
まして、秋の観光シーズンの土曜日で、たくさんの登山者の方がいらっしゃったのですから心配です。
御嶽山と聞いて、私がすぐに思い出すのは、中央西線。
私が小学生だった頃、国鉄のディスカバージャパンというキャンペーンで木曽路が注目されたことがありました。
木曽路というのは「これより木曽路」と標識が立っているように、中央西線でいうと落合川あたりから贄川あたりまでですが、その付近の中央西線は当時は非電化で、私が中学生のころまでは中津川―塩尻間はD51が大手を振って活躍していたんです。つまり、私の木曽路の思い出は、イコールD51で、そこに御嶽山が繋がるわけです。
当時はなぜか島崎藤村がブームで、文学少年としては「木曽路はすべて山の中である」という書き出しで始まる「夜明け前」や「破戒」などは必携でしたが、国鉄のキャンペーンで注目を浴びた馬籠宿の映像に木曽節が流れると、「行って見たいなあ。」思わせるような憧れの場所だったんです。
その木曽節も当時はCMなどでよく流れていましたので、私の世代以上の人たちは誰でも口ずさめると思うのですが、27歳の二男に「木曽節って知ってるか?」と尋ねたら、「何それ?」って言うので、「こういう歌だよ。」と口ずさんでみたら、音痴の鼻歌ではわかるすべもないようでした。
ちなみに歌詞は
木曽のな~、中のりさん、木曽のおんたけさんはなんじゃらほ~い。
夏でも寒い よいよいよい。 よいよいよいの~よいよいよい。
であります。
なんと素晴らしい歌詞でしょう。
「中のりさん」というのは、木曽川を下る材木の丸太を連ねた筏船の先頭と真ん中と後方に筏を操作する船頭さんが乗っていて、その真ん中に乗る人のことを「中のりさん」と言ったようです。
御嶽山と言えば、東京にも私が知る限り同じ地名が2か所ありますが、青梅線の御嶽駅から近いのは「みたけさん」で、「おんたけさん」ではありませんが、東京のど真ん中を走る東急池上線には御嶽山(おんたけさん)と読む駅があります。
この駅は実に面白い駅で、ホームが新幹線の線路をまたいでいるので、真下を「のぞみ」が走るのを楽しめるところです。
近くには御嶽神社という神社があって、駅名はそこから由来しているようですが、もともとは今回噴火した御嶽山にある神社が本山とする御嶽山信仰があったようで、木曽の御嶽山は遠くてお参りに行けない人たちが東京の御嶽山神社にお参りをしていたらしいです。
もっとも、わたし的には、池上線と言えばやはり何と言っても西島三重子が歌う「池上線」。
これは高校生のころに大ヒットした曲ですが、当時片思いだったガールフレンドが東横線沿線に住んでいましたので、50オヤジとしても、この歌を聴くと今でも甘酸っぱい気持ちになるから不思議ですね。
そういえば、西島三重子が歌う池上線が町中に流れていたころ、御嶽山が噴火した記憶がありますが、今回の噴火は35年ぶりということですから、なんだか考えさせられる気がしますね。
以上、御嶽山と聞いて思い出される私の青春時代でした。

中央本線、上松(あげまつ)駅。
急行列車にぬかされるため、機関士さんと機関助士さんが休憩中です。

勾配線区の中央西線ではみな集煙装置が付けられていました。
このD51688はよく見ると片方の除煙板の下のところが切り取れれています。当時は「気を付けるんだぞ」と言われるだけで、このあたりまで来ると線路に降りて撮影しても御とがめなしだったんですね。

キハ28・58の急行列車が通過していきます。
今、いすみ鉄道でキハ28が走っているって、やっぱりすごいことですね。

そして貨物列車はたっぷり煙を吐いて発車していきました。(1972-4)
後ろに見える材木の積み出し場が木曽路の雰囲気でした。