この週末の大井川鐵道

この土日は大井川鐵道では予告通りに新金谷駅でSL列車にご乗車のお客様にプチギフトをプレゼントいたしました。

手づくりのパックに入ったお菓子です。
配っている男性は部長さんですよ。
とんがり帽子かぶってコスプレをして。

私もいろいろな鉄道会社を見てきましたが、なかなか会社の幹部が率先してこういうことをやるところはないですね。
モノを売るのが恥ずかしいとか、人に頭を下げられないとか、どうしてそんなことをしなければならないのかとか言って、イベント参加から逃げ回っている幹部職員がいる会社もたくさんあるようですが、お隣りの天竜浜名湖鉄道の松井社長さんのように、自ら率先して物を売り歩いたりイベントに参加したりしている人も居る。

会社というのは売り上げを上げることが基本で、赤字ならば幹部が率先して努力している態度を見せなければならないと思いますし、株式会社は売り上げが正義ですからね。

大活躍の松井社長さん。(松井社長さんのFacebookページより)

ということで、大井川鐵道では赤いちゃんちゃんこが似合う年のお爺さんたちが、一生懸命最前線に出て接客しているのです。
もちろん、私はひとことも「やれ!」なんて言ってませんよ。
お手伝いしようかなと思って改札口に来たら部長が率先して接客しているのですからね。

この時、改札口に並んでいた家族連れのお客様が「トーマスに乗りたいんですけど。」と言ってきました。
「ご予約は?」とお聞きすると、「してません。」とのこと。
時刻は発車3分前です。

どうするのかな?
と思って私は黙って見ていましたが、若い職員が「こちらへどうぞ」と道路の反対側のトーマスの予約切符売り場へお連れしました。
改札係の職員がすぐにホームに合図を送ります。

「発車ちょっと待って!」

そして、切符を買った家族が戻ってきました。

「さあ、どうぞお通り下さい。急がなくても結構ですよ。」

改札係がご案内をしてお客様が列車に乗ったとたんに「ポ~ッ」。

3分遅れで発車していきましたが、観光列車ですから行った先での乗り換え連絡もありませんし、途中駅で遅れを取り戻すことも可能です。
職員皆そういうことがわかってる。
だからいちいち「遅れるぞ!」などと目くじらは立てません。

だって、皆さんこの列車に乗るためにニコニコしてるんですから。

で、結局3分遅れましたけど、千円札数枚が会社の売り上げとして入ったのです。

大井川鐵道はSL運転開始からかれこれ50年近くがたっています。
そりゃそうですよね。私が高校生の頃に走り始めたのですから。

だから職員全員が観光列車とはどういうものかを理解していて、いちいち社長がハッパをかけなくても、現場は阿吽の呼吸できちんと仕事をしているのです。
「恥ずかしいからやりたくない。」などという幹部職員はいないのであります。

私は、こういう鉄道は何としてでも残さなければならないと思います。
そして、それが私の仕事なのです。

ハロウィンが終わったら今度はクリスマスですね。

以前にも書きましたが、この夏は台風の影響で列車運休して大きなダメージを受けました。
その分を取り返すようにこの秋はSLの臨時列車を増発します。
列車増発って簡単に言いますが、車両運用や乗務員手配など大変なんです。
でも、その大変な列車増発をひと月ぐらいの猶予期間で設定して走らせてくれるのですから、この会社の底力はすごいのもがあると、私の方が逆に教えられているような今日この頃です。

そうそう、社長としてなぜ幹部職員の尻を叩いて働かせようと思うかについてですが、幹部職員は残業手当も休日出勤手当も払う必要がありませんから、経営的に大きな貢献があるのです。(笑)

そういうことを拒否するようであれば、そもそも赤字会社の幹部職員になる資格はないと私は考えますが、赤いちゃんちゃんこが似合う年齢になっても、そんなことすらわからない人間がでかい顔をしているような会社は、地域の皆様方からの信頼を得ることはできないでしょうね。

大井川鐵道は、そういう点でも可能性に満ち溢れているのであります。

と、ここまで社長が持ち上げてるのですから、幹部職員の皆さん、わかってますよね。
そこんとこ、ヨロシク。

ポッポ~~!

当日売りの自由席もありますから、皆様どうぞ乗りに来てくださいね。