大学の卒論のお手伝い


先日、都留文科大学の矢崎智彦さんという学生さんがいすみ鉄道を訪ねてきました。
社会学科地域経済研究論研究室で、地域鉄道とそれを取り巻く市町村の経済的関係を勉強されていらして、論文を書かれるために勉強に来られたということで、3日間ほど滞在し、いすみ鉄道だけでなく、大多喜町内など、自分の足で歩きまわって、ローカル線がもたらす経済効果や、それを地域がどうやって取り込んでいくかということを、「地元の足」ということにとらわれずに、今後の地域のあり方を含めた広い意味での地域再生について勉強されていかれました。
今、2040年に日本中の半分近くの自治体が消えてなくなるといわれている中で、私は、ローカル線が走っているところは、それだけで活性化し、再生できる条件がそろっていると考えているとお話ししたところ、彼も同じ考えで、「日本全国、何とかしなければならない田舎ばかりですが、ローカル線があれば、立ち直りやすいですね。」とおっしゃっていましたし、「地域経済研究論」という研究のテーマから、おそらくローカル線を地域がどのように使っているかということに興味をお持ちだと思いましたので、「矢崎さん、この地元では、基本的に皆さん無関心ですよ。いや、関心は持っているかもしれませんが、特に何とかしようと行動している人は少数ですよ。」と申し上げました。
田舎の町の問題点は、自分たちが「廃れている」とか「再生が必要だ。」と思っていないところで、だから、ローカル線も「お荷物」に感じていても、「どうやって使おうか。」とは考えていないんですね。
だからふた言目には「支援してやってる。」という言葉が出てくるわけで、そうじゃなくて、ローカル線をうまく使うことが2040年に地域が消えてなくならないためのカギだ、ということを理解しなければならないのですが、そもそも消えてなくなるのは隣の町であって、自分たちのことだと思ってませんから、解らないんですね。
それともう一つ、今、田舎の町でリーダーをやっている人たちは、2040年には、町だけでなくてその方ご本人がこの世から消えてなくなってる人たちばかりですから、そんな先のことなど考えること自体が無理なんです。
私だって2040年には80歳ですから、今考えられることはといえば2025年ぐらいのローカル線のあり方であって、そこまで頑張れば、2040年も見えてくると思うのです。
ところが、「今まで支援してやってきた」いすみ鉄道が、実は地域再生の旗印だなんて思いたくもないわけで、自分たちが下だと思っていたいすみ鉄道が、実は自分たちの地域をけん引する機関車かもしれないなどということは、今さら気付いても素直になれないんですね。そして、そういうことを繰り返しているうちに、今まで衰退してきたのと同じように衰退を続けていって、ところが、その衰退のスピードには実は加速がついているんです。
私は、いすみ鉄道沿線地域が、いすみ鉄道をどう使うかを考えて、正しい使い方をしていただくことで、沿線地域がどんどん栄えていくと確信していますが、栄えることは難しくても、せめてこれ以上衰退することを食い止めるのは、それほど難しいことじゃないと思うのです。
でも、ここに悲しい事実があって、それは、「この地域がこんなに廃れてしまった原因」について考えると、その理由は「そこに長年住んできた人たちが廃れさせてしまった。」ということなんですね。
日本全国の田舎がこの問題に直面していますので、つまり、今住んでいる人たちにはどうすることもできないということで、なぜなら、今からその町に住んでいる人たちが町を活性化できるとすれば、その町はそんな姿になることなく、過去の時点でもっと栄えていたからなんです。
新政権になって日本を地方から創生する大臣が誕生したようですが、いすみ鉄道と沿線地域をモデル地区に考えていただき、大きなお金を掛けなくても、「線」であるローカル線を維持するだけで、「面」としての沿線地域が活性化するということを知っていただきたいと考えています。
地域のお荷物であるローカル線が、実はその荷物を降ろしてかばんの中をのぞいてみると、宝物がいっぱい入っているということに日本はもっと早く気付くべきだと思うのですが、皆さんはどうお考えでしょうか。
地域活性化のために予算を付けると、専門家やコンサルがその地域にやってきて、コピペの活性化策を提示して、その予算をお持ち帰りになるというような、今までのやり方は、もう終わりにしなければならないのです。
矢崎君、わかるかな?
聡明な君なら、この私の emotional な文章を rogical に組み替えてくれることを期待しています。
頑張ってくださいね。