レストラン列車 準備中です。

今、大井川鐵道では列車の中で静岡県のおいしいものを召し上がっていただくレストラン列車を準備中です。

鉄道会社の仕事は運賃収入を上げるのが基本的なお仕事ですが、それだけでは田舎の鉄道は経営が成り立ちません。
だから、付加価値を付けた商品を提供して潜在需要を掘り起こしていかなければなりません。

大井川鐵道で展開している昭和の蒸気機関車の旅やきかんしゃトーマスなどはその付加価値と付けた「商品」ですが、昭和の蒸気機関車の旅は鉄道ファンや60代以上の昭和世代がお客様ですし、きかんしゃトーマスは小さいお子さんがいるファミリー向けです。

そう考えると、ちょうどその中間層に当たる30代後半から50代ぐらいに的を絞った「商品」が無いのです。

私は東京の商店街育ちです。
子供のころから池袋や銀座など都心のデパートが遊び場でしたから、鉄道もそういう観点から考える癖があります。
例えばデパートやショッピングモールだとして、子供服売り場やおもちゃ売り場があって、呉服売り場た宝石や装飾品売り場がある。
つまり、ファミリー層とある程度の年齢層向けの売り場はあるのですが、その中間層に当たる女性やカップル向けの商品の売り場が無いのが今の大井川鐵道だと考えています。

えちごトキめき鉄道では、雪月花という高級ブランドがあって、観光急行という若者や昭和の鉄道ファン向けの商品があって、レールパークというファミリー向け商品があってと、それぞれの客層に合わせた商品展開をしてきましたが、大井川鐵道に来て気が付いたのは、シニアと鉄道ファン向けの商品(昭和のSL列車)と、ファミリー向け商品(きかんしゃトーマス)はあるのですが、ゆっくりとおいしいものを汽車の中で楽しみたいというお客様の層に向けた商品が無いのです。

まして、静岡県というところは千葉県や新潟県と同様においしいものの宝庫ですからね。

ということで、今までやってきたことの横展開をするのが一番の近道ですし、田舎の鉄道のレストラン列車はもともと自分が始めたようなものですから別にパクリでも何でもありません。
だから列車の中でおいしいものを召し上がっていただく、それもちょっと奮発して非日常感を味わっていただくレストラン車両を始めたいと就任当初から考えておりまして、現在準備中なのであります。

でもね、残念ながら大井川鐵道には新型の食堂車を導入するお金などありません。
お金をかけてやるのであれば、それは私の仕事ではありませんよね。
お金が無いなかで始めるから私の仕事なのです。

だから、使用する車両もこういう旧型の客車です。

この客車のこうしてテーブルを取り付ければレストラン車両の出来上がり。
ね、今までのやり方と同じでしょう?
私のオリジナルですから。

でも、今まではせいぜい昭和38年とか39年の車両でしたが、今度の車両は昭和17年製ですよ。
昭和17年の車両を昭和5年生まれの蒸気機関車がけん引するレストラン列車って、日本で大井川鐵道だけ。
つまり、オンリーワン。

今だけ、ここだけ、あなただけの世界なのです。

お金が無い会社はこうやって付加価値をつけていくのです。

ということで、今のところ12月にスタートできればいいなと考えています。
そしてとりあえず3月中旬ごろまででしょうかね。
そう、冬季間限定のレストラン列車です。

なぜかというと、昭和17年の車両ですから冷房が無いのです。
そして蒸気機関車がけん引する列車です。
だから、温かくなって窓を開けると機関車の煙が車内に入ってくる。
そうなると食事どころではなくなりますからね。
そういう列車ですから、レストランも冬季間限定で行こうと思うのです。

日本で唯一。
戦前、戦中型の客車を蒸気機関車がけん引するレストラン列車。

冬場はスチーム暖房ですから電気暖房の温かさとは一味違った体験もできます。

そう、レストラン列車の他にも、蒸気機関車から供給されるスチームの暖房で一晩過ごす夜行列車も計画中です。

今月中には詳細を発表いたしますので、皆様、どうぞご期待ください。