最近はあちらこちらで指定席特急券とか指定席特急料金という言い方を耳にします。
鉄道会社がそういう表示をしているようですが、昭和世代としては何だかむず痒い気がします。
もともと特急券というのは座席が指定されているというものですから、そもそも論として指定席特急料金というような表現は何だか言葉として受け入れがたいのです。
特急料金(特急券)と言えば当然座席指定でありますから、これに対して座席が指定されていない特急券を自由席特急券というのは理解できるのです。
特急券に対して急行券というのがあります。
急行列車が走っていない今のJRで急行券が存在しているのは、臨時列車などの設定用なのでしょうが、急行料金というのは速達料金ですから基本的には自由席。
だから、自由席急行券というのは無くて、急行列車の指定席に乗るときには急行券と座席指定券が必要なのであります。
特急というのは特別急行ということですから、特急料金は単に早く目的地へ行かれる速達料金だけでなく、特別な何かが無ければなりません。
それが座席が指定されていることであったり、あるいは座席がリクライニングしたり、空調が聞いていたり、列車ボーイや列車ガールと呼ばれた今でいうアテンダントが乗務していて、何かとお客様のお世話をしたりしていたのが特急列車、すなわち特別急行列車でありました。
でありました、と過去形で申し上げたのは、先も述べましたが、今現在急行列車というものがなくなってしまい、すべてが特急列車になってしまいましたから、急行があって初めて特別急行があると考えている昭和の人間としては、急行がなくなったのであれば特急という呼び名を急行に格下げするべきだとも考えるのですが、いかんせん急行がなくなった理由は「特急と名乗らせた方が儲かるから」ということでありますから、みすみすその儲けを返上するような策は、民間会社ではありえないのでしょう。
若い皆様方はご存じないと思いますが、国鉄は赤字解消策として1970年代から急行列車を特急列車に格上げしていきました。
つまり、急行料金に比べて特急料金の方が金額が高いわけですから、特急にしてしまった方が手っ取り早くお金になる。
ところが、急行列車は自由席が付いているのが当たり前でしたから、それまで基本的には全車指定だった特急列車に自由席車両を連結して、特急料金より数百円値引きした自由席特急料金というのを設定した、というのが事の経緯であります。
さて、今では優等列車といえば特急のみで、その特急には自由席と指定席の車両が設けられています。
間もなくやってくる3月のダイヤ改正では「のぞみ」の指定席が3両から2両に減車されるようで、これがまた世間ではいろいろと言われているようですが、鉄道会社が自由席車両を減らして指定席を増やすとか、全車指定席にするなどと言うことは、かつての特別急行を知る身としては、やっと本来の特急の定義である全車指定席というのが戻ってきたような、ある意味錯覚ではありますが、なんとなく風格を取り戻すような、そんな気がするのです。
ということで、皆様方は基本的には指定席派ですか? それとも自由席派ですか?
基本的にはと申し上げるのは、例えば東京から新横浜とか小田原ぐらいであればふつうは自由席ですよね。
私は基本的には指定席派ですが、そうですね、東京から熱海以遠に行くときはたぶん指定席にすると思います。
東北新幹線なら宇都宮なら指定席かな。
北陸新幹線なら軽井沢。
でも、上りになるともしかしたら高崎から東京も指定席にするかもしれません。
なぜなら、下りなら東京駅から乗れば座れるでしょうが、上りだと不安ですよね。
そう考えると、鉄道会社が自由席を減らして指定席を増やすということは、弊害もあるような気がします。
敦賀から来る「はくたか」で、高崎-東京間を指定席取られちゃうと、金沢、富山、長野-東京といった長距離客が乗れなくなる可能性が出てきますから、つまり高崎-東京駅間の指定席客のために敦賀から高崎まで空気を運びかねないと思うのです。
でも、昨今鉄道会社が自由席車両を減らして指定席車両を増やしていく背景には、「とりあえず、それでも運びきれる程度の需要」なのだと思います。
昔は旺盛な移動需要がある多客期には自由席を増やして、つまり座席定員以上の人を乗せることでピーク時に対応してきていたのですが、全車指定となると座席の数しか乗客を乗せられませんから、つまり、それで事足りる程度の需要なのだということでしょう。
ということで、私は本日上越妙高を往復してきたのでありますが、4つの新幹線すべて指定席でした。
なぜなら、今の時期は閑散期ですから自由席料金と指定席料金の差額はほぼ300円。
この300円のために「座れるかどうか?」の心配はしたくありませんし、自由席車両にはそれなりの人たちが乗っていますからね。
どういうことかというと、隣の座席にカバンを置いて2席占有したり、切符を持っていない未就学児童を座らせたり、3人連れなのに座席を向かい合わせにして4席使ったりなどなど、そういう人たちと同じ箱に乗り合わせてイライラするような状況に身を置きたくないからです。

東京駅の新幹線ホーム。
こだま号は6号車まで自由席で7号車は指定席。
自由席はこれだけの列ができていますが、指定席のドア前に列はありません。
こういうことをストレスと感じるか、それとも並ぶことが楽しいと感じるか。
私も学生時代は周遊券を使って旅行する場合は急行列車の自由席しか乗れませんでしたから、友達と自由席の列に並ぶところから旅が始まると思っていましたし、それはそれで楽しい思い出になっています。
若い人にはそういう旅をしていただきたいなと思いますが、初老の身にはそういう場所に居たくないなぁ、という方が優先順位が高いのです。
まして百円玉数枚ですからね。


ストレスは並ぶだけではなくて、車内もこんなにガラガラでしたから快適でした。
もちろん指定席だって隣にヘンなオヤジが来ることはありますよ。
満席でぎゅうぎゅうの時だってあります。
でも、そういう時は自由席はさらに混んでいそうですから、私はやはり指定席派なのであります。
ていうか、最近このSワークシートやトレインデスクと呼ばれるお仕事座席は他の指定席車両に比べて空いていることが多く、この座席が取れればわざわざグリーン車に乗る必要もありません。
東海道新幹線はともかく、北陸新幹線はグリーン車が1両しかありませんから、トレインデスクで隣の席に人が来る確率よりも、グリーン車で隣に人が来る確率の方が高いように思います。
なので、普通車の指定席で私は十分なのであります。
自由席派の皆様、いかがお考えでしょうか?
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