「なんにも用事はないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う」
そう言ったのは大正から昭和にかけて活躍した作家の内田百閒(うちだひゃっけん)でした。
確か「阿房列車」に書かれていたと阿川弘之氏の本で読んが記憶があります。
「阿房」と書いて「あほう」と読むらしい。
だから「阿房列車」は「あほうれっしゃ」
中学生の頃、そんな本を読んで、だったら安房鴨川へ行く外房線も「あほう列車と言うことだな。」と一人納得した覚えがあります。
房総半島の人には申し訳ありませんが、私にも房総半島の血が流れているということでお許しください。
そう、先日も福島へ行きましたが、私には福島の血が半分、房総半島の血が4分の1、そして埼玉の秩父の血が4分の1流れているようで、つまり、江戸時代の年号が墓に刻まれていたとしても、しょせん江戸っ子などというものは田舎モンの寄せ集めなのであります。
そういう私は、航空会社なんぞに勤務していましたので、20代のころから「なんにも用が無いけれど、飛行機に乗って札幌に行って来ようと思う。」などということを繰り返していて、することが無い時はとりあえず飛行機に乗る、ということをさんざんやってきた人間であります。
いすみ鉄道応援団のカケス団長にも、那覇空港の搭乗待合室でばったり出会ったことがありますが、一瞬ビックリした団長が、すぐにニヤリと笑って、「社長、よかったね、他の女の人と一緒じゃなくて。」と言われましたが、まあ、団長には見つかりませんでしたが、他の女の人と一緒だったことも何度もあるわけで、そういう時は何しろ航空会社に勤務していますから「仕事です。」ということにしていましたが、そういう時に限って誰にも見つけてもらえなかったのであります。
もちろん、用もないのに汽車にもさんざん乗っていまして、ある時、カミさんと一緒に北海道は函館本線の特急列車に乗っていたところ、「乗車券、特急券を拝見します。」と車掌さんが検札に回ってきました。
その車掌さん、私のところまで来ると、
「おや、鳥塚さん、こんにちは。ご旅行ですか?」
まぁ、知り合いだったわけですが、その場に出くわしたカミさん的には、「北海道旅行しているのに、知っている人に逢うなんて信じられない。」
降りた駅で改札口にいた駅員さんからも、
「鳥塚さん、久しぶりですね。」
と言われたもんだから、「私はもうあなたと一緒に旅行には行きません。」となったのでありまして、それ以来私は夫婦での旅行はしていないのであります。
つまり、「なんにも用が無いのに飛行機に乗る」とか、「列車に乗る」なんてことは、実に贅沢で流ちょうな江戸っ子の趣味なのであります。

ただし、それにはひとつ問題がありまして、飛行機や電車というのは、行ったら帰ってこなければならないのです。
なんとなく飛行機に乗りたいなと思って、飛行場に出かけて、飛行機に乗るまではよいとして、乗ったら札幌とか福岡とか、あるいは沖縄などへ連れていかれるわけですよ。
これは正直言って困った話です。
なぜならば、飛行機には乗りたいけれど、別に札幌に行きたいわけでもなく、沖縄に用事があるわけでもないんですからね。
ということはどういうことかというと、私が企画してきた夜行列車もそうですが、「夜行列車に乗ってみたい」と思いはするものの、別にどこかへ行きたいわけでもない。
そういう人にとってみたら、どこへも行かなくたっていいんですよ。
3往復して朝になる夜行列車があればそれでいいわけですから。
と同じように、「なんとなく飛行機に乗ってみたい」という人は、別にどこへも行かなくたっていいわけで、離陸して、ぐるっと飛んで、しばらくしたら元の場所に戻ってくる飛行機があったら、それって最高だと思いませんか。
ということで、大井川鐵道ではFDAさんと連携して、富士山の周りをぐるっと回って戻ってくる静岡発静岡行の飛行機を貸し切りで運航して、その後、あの有名な湖上駅へも行って、SL列車にも乗るという盛りだくさんのツアーを企画しています。
出発日は2月23日。
わかります、皆さん?
2月23日は富士山の日なのですよ。
そして飛行機のフライトナンバーは3776便。
富士山の高さがフライトナンバーになるのです。
ということで、「なんにも用事はないけれど、飛行機に乗りたい。」という人にはぴったりのツアー。
▼詳細はこちらからご確認下さい。
富士山の日!FDA富士山遊覧飛行と大井川鐵道と南アルプスあぷとライン【SSFDA7】 | 大鉄アドバンスツアーサイト【公式】
募集定員が限られますので、満席の場合はご容赦ください。
その他、1月25日の夜行列車企画は数席の空席がございます。
(2月15日は満席です。)
2月1日には1泊コースで私がご案内するぶらり途中下車の旅(略してぶら鳥)も企画しています。
こちらは明日詳細を発表いたします。
富士山遊覧もそうですが、冬だからこそできる企画を次々と発表していきますので、皆様どうぞご期待ください。
なんにも用が無いけれど飛行機に乗る。
これぞ江戸っ子の心意気?
粋だなあ。
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