新潟空港利用促進策

新潟に住んでいると飛行機というものを全く意識することはありません。

上越は特に飛行場から遠く離れているからなおさらですが、日本の地方都市というのはほとんどすべて東京や大阪を向いていますから、新潟の位置関係を見ると新幹線があれば、別に飛行場など無くても良いのです。

新潟には半世紀先を見通して国造りを考えて来た偉大なる先生がいらっしゃいましたから、もうすでに40年も前から県庁所在地に新幹線が通っていて、県民の皆様方は有難くというよりも当然のようにその恩恵を享受していますから、今どき飛行機などどうでも良いと言いますか、OUT OF 眼中なのだと思います。

新潟空港からは国内線として札幌、大阪、名古屋、成田、福岡、沖縄便が出ていますが、成田はプロペラだし、名古屋、大阪は新幹線で東京乗り継ぎで行く人の方が多いと思います。
また、新潟から札幌、福岡、沖縄へ行く人がどれだけいるかというと、はっきり言ってそれほどいませんよね。
私は新潟札幌便を何度か利用しましたが、コロナの前でも1便当たり40人から多くて50人程度でしたから、需要としてはそんなものでしょう。

でも、だからと言って新幹線があれば飛行機はいらないというものではないというのが私が以前から主張していることであります。
なぜなら、交通というものは1つあればもう1つは要らないというものではなくて、新幹線も在来線も高速道路も飛行機も、あるに越したことはないからで、そのために昭和の時代から先人たちが一生懸命交通網を整備してきたからです。

でも、令和の時代の私たちは、その先人たちが一生懸命整備してきた交通網というものを、採算が取れないから要りませんなどと目先の利益だけでいとも簡単に切り捨ててしまうようになりました。
半世紀先を見据えていたかつての偉大な大先生方が、今の私たちがやっていることを見たらどう思われるでしょうか。

私は新潟に居て常日頃からそういうことを考えているのですが、つまりは国の将来を憂いていると言える状況なのでありますが、そんな私の心配をよそに新潟県はなかなかどうして、きちんと対策を講じているというのも事実なのであります。

今日、こんなパンフレットを見かけました。
新潟空港の駐車場割引クーポンが付いたパンフレットです。

おっ、なかなかやるなあ。

そう思ってよく見てみると、

新潟県交通政策局空港課が発行しています。

今どきこういうパンフレットのような印刷物を発行するってのはどうなんでしょうか、というのは置いといて、県が空港の利用促進を積極的に進めているのです。

北陸新幹線の開業前後に富山県がやはり同じように空港利用促進を行っていましたが、空港というのはとても重要な交通インフラです。でもそこを発着する航空路線というのは、利用者が減少すると撤退してしまうという性質がありますから、積極的に利用していかないと廃止されてしまうのです。

でも、空港があって、航空会社が路線を就航しているということは、今回の東北新幹線の地震被害を見ても一目瞭然のように、交通機関として実にフレキシブルに対応できるのですから地域にとって大きなベネフィットになるのです。

ただ、それには定期便が就航していることが大前提で、スタッフが常駐していて、給油などの設備契約があり、搭載係員などがその飛行機を扱うことができなければ、いくら空港があっても機能しないのですから、ふだんからそういうことを維持しておかなければならないのです。

今回の地震で羽田―福島という短距離路線を飛行機が飛んでいます。
でも、飛んでいるのは全日空だけで日本航空は飛んでいません。
なぜなら日本航空は福島空港に定期便を飛ばしていないからで、定期便を飛ばしている全日空が設備もスタッフも常駐していますから、いざという時に対応できているのです。

こういうことをできるようにするためには、ふだんから定期便というものを維持しておくことが大切だということになりますが、このパンフレットが意味するところは、新潟県も一生懸命予算を確保して空港の利用促進をしているということで、そうすることで定期便を維持管理する努力をしているということなのです。

基本的なことを理解しているということで、安心いたしました。

机上で論じるだけの実践を知らない研究者たちは3時間とか4時間とか壁の話ばかりしていますが、交通というのは旅客輸送ばかりではありませんから、新幹線があっても飛行機の路線を維持していかなければならないということは、今や常識なのであります。